HHKBユーザーミートアップVol.6で見た世界
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
HHKBユーザーミートアップVol.6で見た世界
12月9日の18時より、HHKBユーザーミートアップVol.6が開催されました。
年に一度のHHKB好きが集まるイベントです。コロナ以前はリアルイベントで開催されていましたが、コロナ禍では一般の方が参加できるイベントはオンラインに限られるようになりました。
そう、一般の人は。
僕はというと、HHKBエバンジェリスト枠として、ミートアップを東京の別会場から参加しようという話をいただいたので、当日の15時ごろの新幹線に乗って、会場へと向かいました。
僕がミートアップ参加のお話を聞いたのは、実は2018年のことで、ちょうど今の勤務校に赴任した年でした。
HHKBケーキの投稿がTwitterでバズって、「一生に一度の結婚式で披露するウェディングケーキにHHKBを乗せた変態」としてガジェット界隈に名を知られることになったのがきっかけでした。
愛知県の県立高校では、毎年11月下旬ごろに期末考査が行われていて、12月上旬のこの時期は成績処理で忙しく、他の先生方もてんやわんやしています。
そんな中で情報科の成績処理の勝手がわかっていないまま週末のしかも平日の夕方に東京に行くなんてことは、空気が読めないにも程があるぞという感覚でいました。そういった事情があったので、2018年のミートアップの出演は辞退することにしたのです。
2018年といえば、RealforceのPFUモデルが発売された年でしたね。HHKBと同じ45gで、個人的には使いやすいと感じるリアフォです。
それから1年経った2019年に、HHKBのHYBRIDモデルの発売に合わせて開かれたミートアップが開催されました。この年にも、「今年こそは出演を」という声をいただいて、イベントに登壇することになりました。
勤務校でも2年目を過ごしていた時で、成績処理の勝手などもわかった上で、時間を作って参加しました。
この時に見た光景については、過去のニュースレターで配信しました。 HHKBミートアップvol3で出会った自作キーボードの世界 - by 魚住惇⌨️『教師のiPad仕事術』
その翌年の2020年に開かれたミートアップvol.4にはオンラインで参加し、2019年に発売されたHYBRIDモデル発売1周年を一緒にお祝いしました。
それから更に翌年の2021年、HHKB雪モデルが限定販売された年のミートアップはまた異質で、あの落合陽一さんが参加されるというまた違った世界からのHHKBについての話を話を見ることになりました。もうここまで来ると、別次元な感じです。
そんなこんなで、僕がミートアップにメンバーとして出演する形で参加したのは、この2回に留まりました。
少なくとも会場に到着するまでは。
「魚住先生にも少し喋っていただくことになってるんですよ」
新幹線で品川駅に到着して、会場から少し離れた場所にあるホテルにチェックインして荷物を置いて、ミートアップが始まる15分前に現地に到着しました。
そんな中でいきなり聞かされたのが、1分間の出演の話でした。
というかね、会場の受付からもうビビりまくりだったんですよ。
会場となった原価BARの2階まで階段で登った先、そこの受付には3人ほどの社員がいて、手元に名簿があったのが見えたので、「あぁ、えっとー」と声に出したところ、PFU社員より「あ、大丈夫です。存じてますよ。」と言われました。
そうか。僕はもうHHKBケーキの変態として顔が割れているんだった。HHKBの部署の方には。そりゃそうか。
ということで、東京で初めてお会いする社員の方と名刺交換して、席についたその時に、見出しに書いたセリフを聞きました。
出てくるアジェンダ、しかも細かい。大体の時間と、自分が喋る時間を聞かされました。なるほど、エバンジェリスト3人のトークの後の1分間か。
その話の後に、ミートアップ開催に合わせてビールを乾杯しましたが、僕はすぐに見せる写真の選定に入りました。
皆さんが談笑されている隅っこで、ただひたすらiPadの写真アプリの中から良さそうな写真をピックアップする作業です。
あぁ、皆さん、ビール片手に語り合ってる。料理も食べてる。あぁ名刺交換してる。いいなぁ。じゃなかった。早く写真を選ばないと。
そうしてようやく写真を用意して、急遽飛び入り参加したのがこちらです。
本当なら、画面共有とかして、もっと見やすい感じにしたかったなぁ。今思えばですけどね。話す内容も完全にアドリブですし、あの頃すでに酔っ払っていました。
学校とはかけ離れた世界
無事に1分間の語りを終えた僕は、ようやくお酒と食べ物と喋りに行動をシフトできるようになりました。
が、周囲はもう常連な感じで、しかも皆さん、HHKBエバンジェリスト以外にもメディア関係の肩書をお持ちの方々なので、なんかもうHHKBの話なんてほとんど誰もしていない状態でした。
僕くらいですよ。HHKBがどうのこうのって、飲み会の中でも語っているのが。他の皆さんは、エバンジェリストとしてその会場にいながらも、元々の経歴が凄い方達ばかりでした。ディズニー映画の声優さんだったり、メディア関係者の方だったり。
ちょっと圧倒されてしまいました。僕の方が勉強不足で、他のエバンジェリストの方のことを、詳しく知らなかったんですよ。それなのに僕のことはHHKBケーキで知っているという。名刺交換するときにも「初めまして」「知ってるよ」っていうやりとり。
HHKBのイベント♪な気分で出かけちゃいかんかったと反省しました。業界関係者とか、メディア関係者と呼べる方達がめっちゃ来てました。
そんな方達が喋っている内容、もうこんなところでは絶対に書いちゃいけないことを話しまくっていました。
学校とは社会の縮図だと言われますが、本当にITやらメディア関連の世の中っていうのは、どうやったらその世界で仕事をしていくのか、僕からは想像がつきません。
下請けのライター業をやられている方が大勢いる中で、どうやったらメディア関係者となり、大手のメディアで生きていけるようになるのか。
声優さんとして働くのも一握りの世界なのに、どうやってディズニー映画の声優になるのか。
ただ学校で働いているだけだと、「選ばれた人にしかなれない職業なんだよ?大変なんだよ?」っていう誰もが言えてしまう人並みのアドバイスしかできません。
多分、僕だってそう。どうやったら情報の教員になれますか?っていう質問には「高校一種情報の教員免許を取得して、教員採用試験に合格すると良いよ」と助言することはできたとしても、「どうやったらHHKBエバンジェリストになれますか?」という質問には答えることができません。
というかこういうのって、称号を目的にしてしまったらなれないものですよね。自分の心の中の”好き”を形にして情報発信してきたら、いつの間にか周囲からそう評価されるようになっていた。正直これだと思っています。
それでもエバンジェリストの中で言えば、僕はかなり一般人な分類だなって思うんですよ。普通に高校に進学して、普通に大学に進学して、教員採用試験に合格した。
メディア関係者としてその業界で生きている人たちは、いわゆる普通の人生を送っている途中で何かがあり、その世界に入っていったはずです。側から見て輝いているその世界に進めるのは、まさにほんの一握り。
そんな方達がHHKBという理由だけで集まっていました。
果たして、自分なんかが見てよかった世界なのか。他の方達の凄みに押されて、HHKBケーキが霞んでいくのが見えました。
話はそれますが、業界が違うわけなので、特に『教師のiPad仕事術』は認知すらされてませんでした。本を1冊出したところで、この方達には特別なことでもなく、むしろ一発屋。
別に自分の人生について書いているほど悲観的に見えたわけではありませんが、世の中の凄い人たちを目の当たりにして、自分のこだわりにもっと磨きをかけなければと思った次第です。
それと、今回のミートアップ会場に集まった方々は、あくまで他のエバンジェリストの方達とメディア関係者。自作キーボードの界隈の方たちともまた違ったクラスターです。逆にいうと、HHKBを手にしたことでエンドゲームを迎えている方達なので、HHKBを特に不満なく使えているわけです。
このnewsletterやブログを読んでくださっている方々はご存知の通り、僕はHHKBへの不満を自作キーボードへの原動力にして、そしてまたHHKBに回帰するというのを繰り返しています。工業製品の一つとして、自作キーボードを使っていると、定期的に帰ってきたくなる。そしてまたしばらく使い込む。それが僕にとってのHHKBです。キーボードを使えば使い込むほど、HHKBに戻ってきて、あぁ、やっぱり自分の入力にちゃんとついてくるのはHHKBなんだなと感じながら、タイピングを楽しんでいます。
こういう話をするのではと思ってワクワクして参加したら、実際はかなり凄い方達が一堂に会するイベントだったというお話でした。
あまり詳しくは書けないものですが、本当に不思議な感覚。いろんな業界の方がHHKBを中心に集まる、異様な光景でした。
「HHKBケーキ、so coolね」
そんな中、ただ純粋にHHKBに惚れ込んでいる1人の男性に出会いました。
ちょっとここからは、個人的には明るい話です。
Daniel Overstreetさんという方とお話しする機会がありました。というよりDanielさん自身がHHKBケーキに感激されたようで、僕に話しかけてきてくれました。
https://dhoboy.github.io/#work
この方は、フロントエンドエンジニアとして働いている方で、友人に勧められてHHKBを購入したそうです。
それからHHKBのファンとなり、ついにはエバンジェリストとして注目されることになりました。
ミートアップ会場には、Heavy Grailのアルミケースに換装されたHHKBを持ってきていました。ケースだけで9万円ほどする筐体に、HHKBの基板が入れられているその姿は、見る人の心を奪うほどの美しさでした。
僕も試しに打たせてもらいましたが、打ち心地がなんともまぁ滑らかで、柔らかくて、すごかったんですよ。
思わず、「なんでこんなに素晴らしい?」と日本語で聞いてしまうほどでした。Danielさん、日本語はカタコトで、酔っ払うと英語になるのでコミュニケーションが大変でした。僕がもっと英語を話せたらよかったんですけどね。
で、どうにかやりとりできてわかったのが、「このHHKBはルブしてあるよ」ということでした。
なるほど、だからかなり打ち心地が柔らかい感じがしたのか。
ルブと言えば、潤滑剤を使ってキーボードのスイッチ部分の動きを滑らかにする作業のこと。
これをHHKBに施せば、もっとタイピングの感触が良くなるというわけです。
そこでまぁDanielさんと意気投合したのもあって、ミートアップの翌日に遊舎工房さんにお邪魔して、ルブのための潤滑剤を購入してから愛知県に戻ってきました。
そして実際にHHKBにルブを施してみたという記事をアップしました。
最後に書いた感想なんかは、入力しながら考えた、まさに心の底から湧き出てくる感情をそのまま文章にしました。
いろんな世界で活躍されている、すんごいメディア関係者の方と知り合うことが出来たり、有名なブロガーの方ともお話しできて、ミートアップそのものは非常に勉強になりました。ただ個人的には、Danielさんみたいな方とHHKBについて深いところまで語り合う方が、心が躍っていたような気がします。
そうそう、Danielさんはお酒の席で、「VimかEmacsか、ジュンさんはどっち?」みたいな質問をしてきたので、僕は迷わず「Vim」と答えました。
macに組み込まれているショートカットの多くはEmacsのキーバインドですが、僕はどちらかというと、Vimの方が好みです。右手でカーソル移動ができるのも合理的さを感じます。
そんな挨拶からHHKBの話に花を咲かせてたどり着いたのが、ルブでした。
僕のHHKB Lifeに、新たな視点が加わりました。僕はもう、ルブなしのHHKBを使うのは、考えられません。
色々と思うところがあったものの、個人的にはHHKBへの変態度が増したことで、かなり充実した旅行になりました。
もう一度、リンク貼っておきますね。HHKBのルブについてまとめた記事です。
HHKBミートアップについて語り尽くしたので、今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。