生きることにこだわりを。魚住惇です。
iPad Pro 2021年モデルの予約が始まるのが明後日の4月30日です。 M1が搭載されたiPad、本当に楽しみです。いつか誰かがBigSurでも動かすようにハックしてくれるんじゃないかとか、夢が広がります。夢ですけどね。
iPhoneが登場した頃も、Mac OSの基盤となるDarwinが動くモバイルとして話題だったので、当時は「Macが手のひらに」なんて思いながらワクワクしていました。
Darwinというのは、Appleが開発しているOSの名前です。スティーブ・ジョブズがAppleから離れてから立ち上げたNeXTのコンピュータに搭載されていたOSが元となっているBSD系UNIXです。
最初はPowerPCだったMacも、Intel Macに移行した際には「x86版Darwinが出た」と話題になりました。
アーキテクチャのお引っ越しにはロマンを感じます。まるで、ゲームボーイ版ときめきメモリアルが発売された時のようです。
そんなiPad Proのことでこの1週間、頭がいっぱいだったのかというと、そうではありません。僕のTwitterのつぶやきを見てくださっている方はご存知かと思いますが、先週の土日は自作キーボードに熱が入っておりました。
今回は、HHKBエバンジェリストが自作キーボードにどハマりした話に、お付き合いください。
実はHHKBミートアップvol.3直後に自作キーボードを購入していた
今から書く内容は、妻のゆかさんにも詳しく話していない話です。
2019年12月10日、HHKBユーザーミートアップvol.3が東京で開催されました。魚住惇、33歳一人での東京旅行、ゆかさんは11月19日に出産を無事に終え、里帰り中でした。
https://happyhackingkb.com/jp/event/usermeetup03/
ユーザーミートアップでの目玉は新型HHKBでした。有線とBluetooth両方に対応させたHybrid Type-Sは、今でも僕の大切な相棒です。
ひょんなことからミートアップに登壇することになり、「HHKBケーキの人」として人前に出ることになったこの頃は、著書『教師のiPad仕事術』の原稿に追われる毎日でした。仕事では期末考査の成績処理と保護者会準備の真っ只中でした。
ミートアップに登壇していた時、ユーザーの方からの質問で「今のHHKBに不満はないのか」と聞かれた僕は、「左右分割型が出てくれると、もっと打ちやすくなるのではないか」と発言しました。新型HHKBの発表イベントで発言して良い内容か迷いましたが、思わず出てしまった本音でした。
その後の懇親会で、僕は新たな世界を見ることになります。
それが自作キーボードでした。
こいつは一体なんだ。HHKBと同じ配列をしていて、左右に分割している。まさに僕が求めていたキーボードじゃないか。
ミートアップは、ただHHKB好きが集まっただけではなくて、キーボードが大好きな人たちが一同に集うビッグイベントでした。当然自作キーボードユーザーも大勢集まっていました。
どんどん視界に入ってくる個性的なキーボードに、心奪われた瞬間でした。
世の中には、市販のキーボードに不満を持ち、数々のキーボードを試してもなお満足せず、自分でキーボードを設計した人がいるのか。しかもミートアップに来てみたら、そんな猛者たちが目の前にいて、僕と話している。
IT社会だからこそ、自分の右腕となるのはキーボード。人間とコンピュータを繋ぐ伝統あるインターフェイス。慣れ親しんだもののはずなのに、目の前には見たこともない景色が広がっているのではないか。
この日の夜はホテルに宿泊しましたが、そんなことばかり考えていたら興奮して目が冴えてしまい、3時ごろまで寝られませんでした。
帰りの新幹線は夜の時間を予約していたので、翌日は秋葉原を満喫すると決めていました。 秋葉館やソフマップを巡り、ふと思うところが出てきて、このお店に立ち寄ったのでした。
自作キーボードのお店、遊舎工房です。
まさか、HHKBミートアップの次の日に遊舎工房に足を運ぶなんてね。でも、興味が出てしまったんですよ。出てしまった興味を、好奇心を抑え込むなんてこと、僕はできませんでした。
Choco60!君に決めた!
目的はたった一つです。HHKBの形をした、分割型キーボードの購入でした。 とりあえず深く考えることなく、その場にあったChoco60を選びました。
数多くある中で選んだキーキャップは、Gateron Silentの赤です。
お店のスタッフの方から、「HHKBと同じくらいになりましたねー」と言われながらも、HHKBではなく自作キーボード手を出したエバンジェリストとは僕のことです。
写真に写っているのは、キットの部品、基盤、イヤホン同じ形状をしているTRRSケーブルです。
キースイッチの分のダイオードが入っていたのですべて半田付けしました。
こんな感じです。もう完全な流作業でした。
キー1つ1つを半田付けして、
全部つけたのがこちらです。この時すでに遊舎工房に来てから3時間は経過していました。
当時用意したキーキャップはこちらでしCHERRYプロファイルのブランクキーキャップです。 その頃は、無刻印となるとこれしかないと言われたので、これしか選択肢がなかったのです。
このキーキャップを当時選択したことが、今後このキーボードを押し入れに入れっぱなしになり使わなくなってしまったことの原因となります。
このキーキャップ談義についてはもう少し先話すとしましょう。
これが完成した時の写真です。
しばらくしてからお蔵入りに
東京から愛知に帰ってからというもの、このChoco60は日の目を浴びることも稀で、ずっと引き出しの奥に入れっぱなしにしていました。 その頃はHHKB Hybrid Type-Sに惚れ込んでいましたし、当時の自作キーボードはほとんどが有線接続にしか対応しておらず、Bluetooth接続できたとしてもマルチペアリングには非対応でした。 こうした使い勝手を考えると、HHKBの方が製品としての完成度が圧倒的に高かったのです。
2021年自作キーボード熱が再燃
伝説のミートアップから1年と4ヶ月が経ちました。2020年はミートアップそのものはあったものの、オンラインでの開催でした。初めて参加したvol3の方が、懇親会もあって楽しかったなと思っています。
Choco60の存在はほぼ忘れていました。 そんな僕が、今年の2月にごりゅごCastの自作キーボード回を聴きました。
https://anchor.fm/goryugocom/episodes/Claw44yfuku_-er3c1d/a-a4a0rc2
面白い。僕も小学生の頃から電子工作でラジオを作ったり、デジモンを分解してスピーカーに並列してLEDを取り付けて音が鳴る度に光ように改造したり、 電子工作で物を作る楽しさを、思い出してしまいました。
自分の楽しみである工作と、生き甲斐を感じるキーボード。
夢中にならないはずがありません。
今の自宅の机上です。Choco60を使っていて、気づいたことがありました。
「いざ分割キーボードを使っていると、ホームポジションから指を離したくないな。例えそれがEnterやShiftであっても。」
自作キーボードの世界に再び身を投じました。新しい試行錯誤の始まりです。
キーボードは毎日使う道具です。その道具を工作で作る。カスタマイズする。
これがワクワクしないはずがない。
この話、現在進行中であることと、話が更に長くなりそうなので、次回に続きます。
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