WordPressとHugoをお弁当屋さんに例えてみる
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
WordPressとお別れするための準備
先週の配信では、夏休みにやってみたいことについて書きました。
その中からここ1週間の間に、一気に火がついて、それ以来ずっと取り組んでいるものがあります。
脱WordPressです。
2008年に立ち上げてみたブログ「さおとめらいふ」は、WordPress(しかもまだバージョンが1か2だった頃)の勉強のために作ったのがきっかけで、運用を始めました。
その頃ちょうど、LAMPで動くウェブアプリが流行っていてWordPressもその一つでした。
LAMPとは
Linux(OS)
Apache(Webサーバ)
MySQL(データベース)
PHP(プログラミング言語)
の略で、これらのアプリをインストールして、連動して動くように設定すれば、ブラウザ上で動くサイトやアプリが簡単に作れるよというものを組み合わせたものです。
WindowsならXAMPPというアプリを入れるだけで、ほぼ同じアプリが一度にインストールできるので、細かい設定をすることなくサービスを立ち上げることができるようになりました。
そう、ブログを始めたきっかけを話し出すと、どうしても似たような話をしてしまうんですけどね。ブログそのものは高校1年生の頃からやっていました。
マイぷれす、SeeSaaブログなどを転々としていく中で、大学でLInuxというOSを知り、サーバーを立てて運用していくようになり、ブログもそこで公開するようになりました。
2008年からWordPressで記事を更新し始めたブログ。でも2009年には県立高校の常勤講師となり、更新頻度が落ちました。教員採用試験も受かってないのに学校の先生と同じような仕事をやることになったもんだから、全然ブログを更新する余裕なんてなかったんですよ。
それに、その頃はバスケ部の主顧問もやらされていたので、土日の自分の時間のほとんどを子どもたちに捧げていました。
そんな常勤講師も3年やって、他の高校から情報の教員が転勤してくるからと、他の学校で非常勤講師として働くようになった2012年。ここが自分にとっての、ブログ人生の大きな転換点となります。
ブログをちゃんと更新して、収入の柱にしようと考えました。
非常勤講師は、それこそ時間数にもよりますが、週に16コマ入って、大体17万円前後の給料がもらえていました。でも国民年金やら住民税やら、奨学金の返済やらで、かなり取られました。
今でこそ住民税が給料から天引きされるようになりましたが、当時はまだ自分で振り込まなければならず、住民税は3ヶ月に1回ずつ支払いが発生しました。これがかなり自分の懐を圧迫してて、あの時は本当に、生きた心地がしませんでした。
そこで、ちゃんとブログを更新すれば、多少なりとも生活の足しになるんじゃないかと考えたのです。
で、そこから広がった世界は、一言で言えば「ブログで稼ぐ」という世界。そのためにはSEO対策をして、クリックしたがるボタンのデザインにして。商品を買いたくなるようなレビューをする。
僕自身もその世界にどっぷりと使っていました。相性が良かったんですよ。たまたまWordPressを使っていたというだけに。
HTMLの知識がなくても、それらしいデザインでサイトを作ることができたり、機能を追加することができる。それがWordPressです。他にも似たようなシステムがあったりもしますが、今でもCMSのほとんどはWordPressが使われていると思います。
で、このWordPressを使ってブログやサイトを公開するためには、当然それが動作するためのサーバーが必要となるわけです。
僕はそれを、自宅に用意しました。ただ、家のルーターの調子が悪かったり、契約しているケーブルテレビがメンテナンスに入ったりすると、もうそれだけでブログそのものにアクセスできなくなります。
これはもう、トラブルが起こるたびに、ヒヤヒヤした生活でした。自分が公開しているブログが、ちゃんと外部から見られる状態になっているかどうか。それが自宅のネットと電気によって左右されるって言うのが、かなりのストレスでした。
それで調べてみると、多くのブロガーがWordPressを使ってブログを始める場合、サーバーをレンタルするんだとか。そうか。知らなかった。
そして調べてみると、500円から借りることができて、あとはサーバーのスペックに応じて毎月の料金が違ってくる。
しかもWordPressをボタン1つで始めることができるくらい簡単で、なんかもう、WordPressのために自宅にサーバーを置くことが如何に少数派なのか、調べれば調べるほど痛感しました。
って言っても、そうやって調べて出てきたブログも、レンタルサーバーのアフィリエイトが目的の記事だったりしたんですけどね。
それからは、色々と試しました。最初はただのレンタルサーバーで満足してたんですが、そのうちスペックが良いものや、あたかもサーバーそのものを使わせてもらっているように感じるVPSにも手を出しました。
そうこうこだわっているのを、妻のゆかさんにも話すには話すんですが、サーバーの知識がない人に話そうとしても、どこから話して良いのかわかりません。
なのでここは、ブログのサーバーについての話をするために、何か良い例えが何かと考えたんですが、ふと「お弁当屋さん」というフレーズを思いつきました。
お弁当屋さんに例えてみる
ブログをお弁当に例えます。材料は、畑から育てるなら無料です。それを自宅で売ることもできます。
ただし、自宅を店舗にするとなると、24時間対応しなければならないので苦労します。設備投資だってしないといけないし、何より24時間売り続けなければならないので、維持することが大変です。
そこで、お弁当屋さん専用の貸店舗があることを知りました。材料さえそこに持っていくなら、その場で調理して売ることができるようになります。
いろんな貸店舗がありますが、毎月支払う家賃で、その店舗の快適さが違ってきます。広い土地に最新設備が整ってる貸店舗を利用すると、お弁当そのものを早く作ることができます。
反対に、格安の家賃で借りるような貸店舗では、スペースも限られているのでお弁当を早く作ることができません。ここで何が違ってくるかというと、そもそもお弁当を作るスピードが遅いということは、それだけお弁当を数作ることができないので、売り上げもそれなりになります。
そもそもそのお弁当が美味しいかどうかにもよるんですが、そこそこの美味しさだとするなら、買いに来るお客さんになるべく早く作って渡したほうが、その分数多く売れます。
そうなると、お弁当屋さんたちの間で、どこの貸店舗でお店を開くのが良いのかという情報のやり取りが始まります。家賃、捌けるお客さんの数、お弁当を作るスピードなどが基準です。
ちなみにですが、お弁当屋さんがここまで流行る前までは、そもそもそのお弁当に入れる料理を作ることが、専門家やそれなりに知識を備えた人じゃないとできませんでした。そこで、お弁当のおかず程度の料理ならこの調理器具で簡単に作れるわという便利な道具が出始めてきて、結果としてお弁当屋さんの増加につながりました。
店舗でお弁当を作る意味、ある?
料理を多くの人に提供したいから、お弁当にする。そのお弁当を貸店舗で売ると効率が良い。
じゃあもっと効率を上げるためには?広い店舗を借りる。もしくは、最新の調理器具が揃っている場所を借りる。
そこでふと気がついたんですよ。お弁当そのものは先にある程度作っておいて、店舗では販売だけにしたほうが、本当は効率が良いんじゃないか?って言うことに。
みんながどこの貸店舗でお店を開いたら良いのかばかり話していたから、そもそもの話を見落としていました。
もしも、自分の家でお弁当の作り置きをたくさん作ったら、それをお店においてもらうだけで販売ができるわけです。これができるなら、調理スペースがない貸店舗でもお弁当屋さんとしてやっていけます。
しかも最近なら、ある一定のスペースだけに留まるなら無料で場所を貸してくれるようなタイプの無人販売所も増えてきました。
これまでの貸店舗では、お店で注文が入ってから調理してお客さんに渡すという、言わば”ほっともっと”みたいな形式でした。
でも実際のお弁当ではなく、それが時間が経っても形が変化しない”情報”だったら。それならその場で調理する意味はますますなくなります。ただこれまでは、”ほっともっと”型の方のノウハウが完成の域にまで達していたので、新規の参入がしやすかったというだけです。
僕はそのノウハウを極めるよりも、「ここに調理スペースを置くでしょ?、で、こっちが販売所。そうしたら、お弁当屋さんができるんだよね。」と言った具合に、仕組みを考えたり、作ったりすることのほうが好きでした。別にお弁当屋さんを極めたいわけでも、チェーン店として展開したくて、フランチャイズを企んでいるようなビジネス的な感覚があるわけでもありません。
しかもね、ここ数年の間に、一定のスペースで良いなら無料で調理スペースを貸してくれる業者も出てきました。これはね、今までなんでもどんとこいな貸店舗を借りるしか無かった時代と比べて、費用も安く済みますし、無料の範囲で事業を実現できる場合もあります。
ここ最近、貸店舗の家賃を見直そうと思った時に、その家賃を払ってまで、自分はその店舗で調理もやりたいんだろうかと思うようになりました。
WordPressからHugoへ
さて、お弁当屋さんに例えて話をしてみました。サーバーとかWordPressとか、静的サイトとか。色々とそのまま話すよりかは、理解しやすかったんじゃないかと思います。
サーバー→お弁当屋さん ブログのデータ→お弁当 記事の文章やデザインのデータ→食材
こんな感じに例えてみました。お弁当を作るには食材が必要で、その食材を調理するための道具と、それらを使いこなす技術が必要です。そして、作った料理をお弁当箱に詰めておかないと、売れる形にはできません。
そう考えると、あまり料理をしたことがなくて、道具にも詳しくない人がお弁当屋さんを経営しようとした時には、キッチンも併設されたお弁当専用のテナントを借りるのが理にかなっているようにも思います。
でもこれはあくまでブログとかWebサイトの話なので、作ったお弁当にあたるデータは、情報の鮮度という点においてはある意味賞味期限はあるものの、作ったデータそのものは一度作ったらそのまま使い回せます。
しかもね、WordPressはキャッシュをうまく使わない限り、ブラウザからのリクエストがあってからhtmlを吐き出す仕組みなので、あらかじめhtmlを作っておく仕組みと比べるとどうしても速度が目劣りします。
そんな中で、WordPressを使いながら速度を追い求めていくことばかり考えてました。
でも、ここ最近、僕の身の回りではWordPressをやめて、静的サイトジェネレータを使うようになった人たちがちょくちょく増えてきた印象があります。僕が試しに使ってみているのがHugoという名前の静的サイトジェネレータですが、Obsidianで書いたmdファイルをちょちょいと手を加えるだけで、そのままサイトとして公開できるのが画期的というか、理に適ってる感じがして気に入っています。
WordPressでなくても、今はもうそこそこのデザインのサイトが作れる仕組みがたくさんあるだなってのが、自分の中での発見でした。
WordPressも、仕組みを最初みた時には「はぇ〜、実際にはそこにはそのファイルがないのに、あたかもhtmlファイルがあるかのように返すんだ。すげ〜。」と思ってました。勉強会にも参加しましたし、知れば知るほど、夢中になる要素があります。
でも今の自分にとって、文章を公開する場としてのWordPressってのを考えると、文章を書くこと意外に、プラグインだの、速度だの、気になってしまうことが多すぎて。文章そのものだけを皆さんに届けるだけならWordPress以外にも選択肢があるんじゃないかと思うようになったわけです。
こうしてnewsletterを配信するようになったのがきっかけです。まさか毎週、僕の文章を300人ほどの方が読んでくださってるなんて、配信を始めた当時は想像もできなかったんですよ。内容が無かったり、マニアックすぎたりするんですけどね。本当に毎週ありがとうございます。
それなら自分は、何もデザインとかに拘らなくても、最低限の見出しや画像があれば、自分の表現したいものができるんじゃないかと考えました。
あ、それと、Hugoについてなんですけど、これがまた奥が深くて。しかもGitHub Actionでビルドできて、それが本当に、いじっていて面白いんですよ。
目標は、iPadでmdファイルに文章を書いて、それをパッとアップしてパッとブログが更新できるような仕組みづくりです。ノートパソコンを持ち歩いているなら話は別なんですけど、iPadだけでってのが本当に縛りとしては厳しくて、仕組みづくりにめちゃくちゃ時間がかかってます。
おかげさまでデイリーノートが汚れる汚れる。整理している暇がありません。でも仕方ありませんよね。プロジェクトに没頭している最中って、それ以外が本当に疎かになります。
ちなみに今はもう、ほとんどの仕組みが出来上がっていて、あとはどのタイミングで正式に移行しようかなと、タイミングを見計らっている状態です。
ただねぇ、GitHub Actionで”さおとめらいふ”をHugoでビルドしようとすると、ビルドそのものにはそこまで時間がかからないものの、FTPでレンタルサーバに送るのに時間がかかることがわかってきたんですよ。
GitHub Actionの実行時間は、1時間程度です。ただ単に、ブログを更新したいだけなのに、記事のmdファイルと画像を元に更新しようとするだけで、どうしても時間がかかります。
しかもGitHubにはコミットの履歴が残っている限り、ストレージの容量を無駄に消費してしまうのも気になるところです。
これでもマシになったほうなんですよ。wp-contentをGitHubに全部入れておこうとすると、重たすぎてエラーが出るし、もうSSHが使えるサーバーでも借りて、そこにリモートリポジトリを置いたら良いじゃんって思いました。
それでも4GBほどのファイルを一気にコミットすると、どうしてもエラーが出る。GitHubにも10回以上に分けてプッシュして、やっと全部入りました。
でもそんな巨大なリポジトリでHugoをビルドすると、借りてるレンタルサーバにFTPで転送するだけで、4時間経っても転送が終わりませんでした。これはあかんわ。
というわけで、来週にはきっと、新しい仕組みのブログが誕生しているんじゃないかと思っています。まだまだ調整すること山積みですけどね。やっと、やっと仕組み作りが終わりそうなんですよ。Hugo楽しい。
そう、文章やデザインにはこだわらなくなったんですけどね、結局別のところにこだわってます。今回も、人生こだわりが大事ですよというお話でした。
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