Storm44とHHKBの使い分け
生きることにこだわりを。魚住惇です。
現任校では先週に出校日を終え、夏休みもラスト1週間となりました。
今回も、ちょっとしたこだわりにお付き合いください。
## Storm44のアップデート
Storm44を自宅で使うようになり、40%のキーボードにも段々と慣れてきました。元々HHKBを使っていたこともあって、Fnキーでレイヤーを切り替えることには慣れていました。
HHKBというキーボードの最高峰を味わった後に、自分自身の体に適したキーボードが他にあるかを模索する。この流れに共感される方は一定数いると思います。
僕の場合は、それが自作キーボードのキットを購入して組み立てるだけではEndGameに到達できず、SU120という基板を使うことで、自分好みのキーボード「Storm44」の制作に至りました。
普段使っている道具に、不満を持ちながらも使い続けるなんてことは、僕にはできません。その道具にも失礼というものです。
前回のnewsletterでは、Storm44にLEDとロータリーエンコーダーを取り付けたところまで書きました。
ニュースレターにチラッと書いた、LED関連のキーがロータリーエンコーダに割り当てられないという不満について、Claw44作者のふくさんからアドバイスをいただき、QMK Firmwareのソースコードを修正することで解決できました。
困ったことはつぶやいてしまえば、誰かが助けてくれる。そして自分も誰かが困った時には解決案を出してみる。このやりとりが、インターネットのメリットだなって思います。特に僕は学校現場では自作キーボードを使っていたとしても、「周囲からは何も書いていない、変な形のキーボード」としてしか見られていません。エンジニアの方が働いていらっしゃるようなオフィスだともうちょっと見られ方が違ってくるのかもしれませんが、学校の先生でキーボードを自作している人は、自分以外で見たことがありません。
それでも自作キーボード関連のツイートをしている方達をTwitterでフォローすれば、たちまちタイムラインがキーボードだらけになります。
これまで自作キーボードはキットを組み立てるだけでやっとだった自分が、自分好みのキーボードの設計を試行錯誤できるようになったのは、ネットのおかげです。
改めて考えると凄いことです。
ちなみに今、Storm44をちょっと改良中です。前回の目標が「とりあえず動くものを作ろう」だったので、いつか修正版として作り直したいなって考えていました。ただ、使えば使うほど、作り込みが甘い部分があったり、そもそも作っているうちに改善案が何箇所も見えてきたので、修正版としての再設計のタイミングを見計らっていたところでした。
よくあるんですよ。3Dプリンターで印刷を開始して、途中あたりで改善案が思い付いてしまうことって。もう思い付いてしまった時点で、印刷中の部品のバージョンが古くなったんですよ。でも印刷を途中で中断するわけにもいかないし、でもアイディアが古いままだしで、金縛り状態なわけです。そんな時は、とりあえず印刷中に3Dデータを修正して、印刷が終わったタイミングですぐ次の印刷として始めるんですけどね。1つ目の印刷物は予備パーツということにしておく。というのが良くあります。
今回のアップデートというか修正版の制作は、少しだけ販売を視野に入れていました。
ただ構造が立体なので、これは3Dデータとして販売するだけなのか、キット化できるかはまだわかりません。
PCBも設計したいんですが、Storm44は既に基板を曲げなければならない箇所があるので、どうしたものかなぁと二の足を踏んでいる状態です。
基板を2枚にして、フラットケーブルで繋ぐか、それとも同線で半田付けしてもらうのか。その辺りの模索が必要です。
これまた兼職兼業の手続きが通るかどうかもポイントです。物の販売って、教員がやってよかったんでしたっけ。
ともかく量産を視野に入れつつ、作りやすいキーボードを目指して、既存の売られているサンドイッチ系と同じような作り方で作れるようなものを目指す予定です。
## Storm44とHHKBの使い分け
自分が使いやすいキーボードを使うようになると、そればかりを使いたくなります。
となるとですよ、
あんた、HHKBエバンジェリストのくせに自作キーボードしか使わなくなったんか?HHKBの魅力発信はどうした?
っていう声が、胸の内から聞こえてきました。
結論から言うと、HHKBはかなり役に立っています。特に、入力しなければならない事柄が決まっている場合などです。
### 会議の議事録作成にHHKB
今年度から、僕は愛知県高等学校情報科研究会の役員になりました。この研究会の役員会が定期的にオンラインなどで開かれるんですが、決まって「魚住先生、今回も議事録頼むよ」という依頼を受けます。
時は先週の8月19日のお昼過ぎ。僕はZoomで開かれるオンライン役員会に出席しました。そしていつものように「議事録頼むよ」と言われたので、Storm44で入力する気満々でした。
しかし、Zoomとはいえ皆さんの話すスピードが早く、「これはレイヤーをいちいち切り替えていては、間に合わないぞ」となったのです。
通常のキーボードよりもコンパクトなキーボードは、レイヤー機能を使ってキーの数を減らしています。
キーを減らしてコンパクトにする理由は、ホームポジションから指を動かさないようにするためです。ホームポジションから指を離して遠くにあるキーを押すよりも、レイヤーを切り替えて現在地からそのまま押せる位置のキーを押す方が楽なのです。
ただし入力スピードの面で言うと、レイヤーを切り替えるだけで遅れが生じました。レイヤーを切り替えるなんて、ほんの一瞬のことなんですが、耳から入ってきた情報を画面に出す間に、一瞬たりとも入力するためのキー以外のことに気を取られたくありません。話し合っている内容をリアルタイムに洩れなく入力していくには、レイヤーを切り替えるボタンすらストレスだったのです。
それと、どのレイヤーにどのキーを割り当てたのかもまだ完璧に頭に入っているわけではありません。(ここはそもそもの慣れの話でしょうけど。)
リアルタイムで字幕を起こしていくレベルでタイピングを行うとなると、HHKBの方が手の動きについてきてくれたのです。
ゆっくりじっくり考えるのならStorm44の方が都合が良いのですが、どんどん流れてくる情報をとにかく文字として起こすためには、HHKBが必要でした。
毎日パソコン入力コンクールを一緒に戦い抜いてきた相棒は、僕のタイピングスピードについてきてくれるのは、HHKBだけです。
### Apex LegendsにHHKB
以前からちょくちょくゲーム配信をやっていますが、配信をしていない間もApexは続けています。
ただちょっと、一緒に始めた友人らがプラチナ帯に行ってしまったので、僕が一緒にやると僕が単独でやるより遥かに強いメンバーと当たってしまうので、1人で細々とプレイすることが多いです。
で、Apex LegendsというのはFPSゲームの名前なんですが、そのゲームと自作キーボードはちょっと相性が悪いところがあるんですよ。
キーマップでTapとHoldを設定している時です。
TapとHoldというのは、単押しと組み合わせでキーの役割を変更できる、自作キーボード特有の機能のことです。
例えば、Storm44で言うと、親指のキーの一部に「Tap:アルファベット入力、Hold:Shift」と設定しているキーがあります。この設定にすると、そのキーを押しながら他のキーを押すとShiftキーとして認識され、他のキーを押さずに指を離すと言語が英語に切り替ります。この機能を使えば、これまで一つの役割しかなかったキーに、2つ目の役割を持たせることができるのです。
TapにEnter、Holdにレイヤーと設定することもできます。
で、これがゲームの何と相性が悪いかというと、キーが押された時の判定に影響が出るわけです。
Tapとして設定したキーは、キーが押された瞬間ではなく、キーから指が離れて元の位置に戻ったタイミングです。
例えば、Tap:スペース、Hold:レイヤーと設定すると、ゲーム内でキャラクターをジャンプさせる時に困ります。
多くのゲームではスペースキーにジャンプを割り当てています。これが押した瞬間に反応せず、指を上げたタイミングで反応するとなると、戦闘中に一瞬遅れが生じます。もっと言うと、Tapに設定したキーを長押しする時も一手間必要で、タップダンスという2回連続でキーを押して、2回目に押すときに押し続ける必要が出てきます。
ゲーム中はスペースキーを長押しすることもあるので、Holdに役割を設定していると、それだけで操作に手間がかかるようになるのです。
FPSゲームも、それこそ一瞬が命取りとなるゲームです。ゲーム用として組み上げたキーボードなら話は別ですが、文字入力の効率化に特化したStorm44ではゲームの操作が厳しい印象でした。
そこで重宝しているのがHHKBです。押したら反応する。これを保証してくれるデバイスとして大変ありがたい。
世の中にはゲーミングキーボードというジャンルが存在していますが、どこもかしこも特許の切れたCherryMX軸を使ったメカニカルキーボードがほとんどです。
僕は入力に対してちゃんとついてきてくれるHHKBを一番信頼しています。もちろんゲームをプレイする際は有線接続です。
以上のことから、ざっくり言うと「速く打った内容に確実に反応する」ことを求めるのならば自作キーボードではなくHHKBです。
キーボードを自作してみて、改めて思いました。自作キーボードはキーボードとして機能するものを作ることには成功したものの、工業製品と比べるとまだまだ作り込みが甘かったりします。剛健性の高さではHHKBには敵いません。
親元を離れてから、初めて親の有り難さに気付くような感覚を味わいました。
それに、Storm44は持ち運ぶには不向きです。持ち運ぶ際の頑丈さはHHKBが最高です。
## 愛知県は8月27日から緊急事態宣言か
[愛知県、緊急事態宣言を要請 - Yahoo!ニュース](https://news.yahoo.co.jp/pickup/6402238)
愛知県もいよいよ3度目の緊急事態宣言が出ようとしています。
一応、愛知県教育委員会からの通知文書があれば、県教委のサイトに出るはずなので、毎日見張っています。
ただ今のところは、緊急事態宣言そのものは出ていないので、新型コロナウイルス関連の通知文書は8月6日付で止まっています。
第5波と言われている今回の感染拡大に対して、愛知県の対応がこれまで通りなのか、新たな対応基準を設けるのか、このnewsletter配信時には分かっていません。
現場の教員にも知らされていません。
緊急事態宣言が出たら、修学旅行や遠足の中止や延期は決まっているものの、学校祭などの行事は学校の判断に委ねられています。
現任校の今年の3年生は、昨年度に修学旅行に行けませんでした。せめて学校祭くらいはやってあげたい。
しかし、時代がそれを許してくれるだろうか。
全ては緊急事態宣言が出されて、始業式を迎えたところで明らかになるはずです。
今回のnewsletterは以上となります。
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