新型HHKB、「HHKB Studio」発売
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
新型HHKB、「HHKB Studio」発売
これが配信されている今頃、HHKB Studioが話題になっていることでしょう。 25日の午前0時にプレスリリースが更新されることになっています。
PRESS RELEASE | ポインティングスティック、ジェスチャーパッドを搭載した「HHKB Studio」新登場 | PFU
新機能をざっくり言えば、静音リニアのメカニカルスイッチを搭載して、ポインティングスティック(トラックポイントはLenovoの商標)を搭載して、左右と下部にジェスチャーパッドを備えています。一言で言えば、「PFUが本気で作った自作キーボード型のHHKB」というわけです。
このHHKBについては本日の15時15分以降にブログ記事をアップする予定なので、そっちを見てください。かなり長文で書いてしまった、新型HHKB登場恒例記事です。
僕の手元には実は少し前からありました。10日間ほど使い込んだレビューを投稿する予定です。なので18日のティザー動画発表時にも手元にあり、早くXに投稿したい。あああ、言いたい。でもこれは企業秘密。ああああ語りたい。良いHHKBだって語りたい。そんな気持ちを抑えて過ごした10日間でした。やっとお口のチャックが取れるぅ。
でも価格は上がりました。税込で44000円です。うん、高い。高いけども、Kailh社に作ってもらった静音リニア45gは本当に打ち心地が良い。良いものはお値段もお高い。HHKBブランドなら尚更です。これは多分お布施。
ちなみにKailh製のスイッチはストロークが3.6mmです。元々のHHKBのストロークが4mmで、Type-Sが3.8mm。これと比べると3.6mmはやや浅めの印象を受けます。これは好みが分かれるところです。個人的には、速さを求めるタイピングの時は浅めの方が好きです。押し込んだキーが上に上がってくる距離が短いから、連打に向いています。変換中にスペースキーを連打する時も、この0.2mmの違いによる影響は無視できないレベルです。
ただ、タクタイル感を味わいたいとなると、どうしても深めの方が好みです。これまでのHHKB Professionalで味わってきた静電容量無接点方式のタクタイル感が大好きだっていう人にとっては、このHHKBは受け入れられないかもしれません。何せ今回のスイッチは静音リニアですから。リニアというのは押し始めから底につくまでそのままキーが沈む方式なので、これまでのうち心地とは印象が全然違います。
とはいえ今回のHHKB Studioはかなり自作キーボード寄りのカスタマイズ性を意識しています。QMKではないのでREMAPにも対応していませんが、PFU社製のキーマップ変更ツールからキーの変更ができたり、しかも今回は複数キーの組み合わせも登録できるので、ショートカットキーが1つのキーに割り当てられます。タップとホールドはありませんがそれ以外はやっと自作キーボードに並んだ感じがします。
これまでのHHKBのラインナップを見ると大体こんな感じです。
初代HHKB:1996年
HHKB Professional:2003年
HHKB Professional2:2006年
HHKB Professional2 Type-S:2011年
HHKB Professional BT:2016年
HHKB Professional HYBRID:2019年
HHKB Studio:2023年←NEW
※LiteやHGを除く
僕がPro2を購入したのは2008年3月のこと。こうして振り返ると、一生物のキーボードが数年おきに発売しているんだなっていうことがわかります。全部買う人にとって、このペースでキーボードが増え続けるのはお布施レベル。
でもまぁ、金額的にはiPhoneよりもマシなのかな。
こうしてみると、4〜5年の間には新作が登場するので、次に何かを期待するとしたら2027年ごろでしょうか。その時期にはどんな時代を迎えていて、どんなキーボードが求められているのか。そんな時代背景を探りながら次の新作を想像してみるのも楽しみの一つだと思います。
ちなみに今回のHHKB Studioは、US方面からのリーク情報が出てしまいました。
もう発表があったからここにも書けるわけですが、まずredditという海外の掲示板。ここでリーク情報が出ました。
そして、未公開の時期に撮影された写真が出回りました。
こちらのサイトはFCC IDデータベースです。FCC IDとは連邦通信委員会のことで、アメリカ国内で無線デバイスを販売するためにはここの認証を取得する必要が出てきます。
当然発売前にはFCCの認証を通過する必要がありますが、ここの登録情報を見ることで、「あ、この会社が何かしらのデバイスを登録したから、新製品を出すに違いない」と思われるわけです。
Appleの新製品についても同じことが言えて、型番そのものではないものの、「この時期にこの種類の登録があったってことは、iPadが発売されるのかな?」みたいな予測が立てられます。
HHKB Studioは、そのFCC IDデータベースにマニュアル類が登録されていたため、その内容を見た人に新機能がバレてしまいました。
ただあくまで操作方法だけがリークされただけなので、詳しい使い方や思想の部分に触れられるのは、メディア向け発表会からとなります。
HHKB Studioがどんな使い勝手で、何ができて、これまでのHHKBとどう違うのか。これは実際に使って、比較してみないと、どうしてもわからない部分があります。
redditに書いてあったコメントには、HHKB StudioがTopre軸ではないことに対して、ネガティブなご意見がありました。これはあって当然です。これまでのHHKB Professionalはずっと静電容量無接点方式を採用したTopre軸を採用してきましたから。
それに、海外ではDESKEYSなどの他社メーカーが交換用ラバードームを販売しているので、割と従来のHHKBであってもカスタマイズする文化があるのでしょう。
何せ、こんな素敵なまとめサイトも存在するのですから。
hhkb is love, hhkb is life
なんて素晴らしいキャッチフレーズでしょう。そして、そのサイトでも紹介されていますが、外側のケースをアルミフレームに変更するという技があったりします。
the Heavy Grail (HHKB Housing) – Norbauer & Co.
この専用金属フレーム、10万円ですけどね。元のHHKBの価格の5倍くらい高くなります。でもHHKBを一生物だと考えている人は、いつかはキートップ以外の外観部分が金属でできているHHKBを使いたいと思うものです。
金属ボディのHHKBのボディが10万円っていうのは、安いんですよ。昔、2006年にPFUが公式で作ったHHKB HGという限定モデルが25万円で受注生産されていましたから。キートップの漆塗りバージョンは50万円。
50万円の“輪島塗”キーボード:これはいいものだ…… - ITmedia PC USER
いやいやいやいや、キーボードだぞ?ここまでするか?
でも高級品と言えば、自作キーボードのMX軸用のキーキャップでは、セラミック、つまり陶器で出来たものも製造されたことがありました。
新体験!セラミック製キーキャップ、洗練された陶磁器のタイピング音と触感|マクアケ - アタラシイものや体験の応援購入サービス
これもまた美しい。どんな打ち心地だろう、どんな音を奏でてくれるのだろう。 ※入力装置としてのキーボードの話ですよ。
話を戻すと、主に海外でHHKBを愛している人、特にTopre軸のタクタイル感を好んでいる人にとって、このコンパクトなボディにフルサイズと同じキーピッチ・ストロークを実現しているHHKBは唯一無二の存在だそうで、他にもFC660Cというキーボードも他社から出ていますが、これはあくまでUS配列だし、何よりAの左がCtrlではない。打ち心地は似ているかもしれませんが、もう配列がHHKBではない時点で僕としてはお断りなわけです。
FC660C 静音モデル(英語配列) - 株式会社アーキサイト
とはいえ、僕もHHKBだけに固執してしまったがために、他の人たちが絶賛している世界を蔑ろにするわけにはいきません。万年筆の世界と同じで、他の世界があるのなら、それらを知った上で、今あるものを愛でたい。
なので僕は、自作キーボードにも手を出しました。このnewsletterで言うと、2年前の夏頃に配信していた内容が、ほとんど自作キーボード関連だったと思います。数々の分割キーボードやAlice配列のキーボードを試した結果、僕はHHKBに落ち着きましたが、今でもたまに触りたくなります。無理だよ。一度増えたものを減らすなんて。
あまり大きな声では言えませんが、各メディアやHHKBエバンジェリストのメンバーの方が、どれほどHHKBをべた褒めするのか、僕は楽しみにしています。エバンジェリストの方々はあくまでHHKBのPRに適している人と認められたメンバーです。ただ、PRに適しているのと、マニアックな属性であることは、イコールではありません。
昨年行われたミートアップで、HHKBのルブについて教えてもらい、新たな世界を見ました。ただそれはたまたま出会えただけで、そこまで分かってる人は、集まったとしても何人いるんだろうというのは正直なところです。僕はもっと、キーボードの変態達と会って話したいんです。
というわけで、僕はこれから、HHKBミートアップに向けて出発します。まずはアキバのジャンク通りを見て、それからどうしようかな。ミートアップは19時からなので、それまでは時間があります。万年筆のお店に行ってみようかしら。でも銀座の伊東屋は行ったことがあるし。
ちなみにミートアップはYoutubeでも配信される予定です。今回は僕は登壇者ではないので映ることはないかもしれませんが、キーボードの奥が深い世界を楽しみたい方は、そちらから会場の様子をご覧になってください。
今回のnewsletterは以上となります。熱量の入ったブログ記事を書いた片手間に書いたものなので、今週は文章が少なめです。ご容赦ください。「いいね」を押していただけるとうれしいです。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。