HHKBは、ルブをするだけでは極上にはならない
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
ただルブするだけじゃだと気づいた日
先週のnewsletterでは、HHKBの軸の部分に潤滑剤を塗る”ルブ”という作業をやってみて、その後の打ち心地に感動した話を書きました。
ダニエルさんとはその後もやり取りをして、「あなたと私のルブの好みは違うと思う。でも、ルブはやらないよりもやった方がいいのは同じ!新しいHHKBの世界へようこそ!」みたいなメッセージをいただきました。
この、互いの好みの違いをリスペクトしつつ、共通している点のみで意気投合する感じ、日本にもあるといいのにね。
ICTが得意でも苦手でも、生徒を思う心な同じ!みたいな。
ならんか、残念笑。
話をルブに戻しますね。
僕がルブを行ったのは2019年に発売されたHHKB Professional HYBRID Type-Sです。このHHKBは1年前の2021年12月に、ラバードームという内部のゴム部品を社外品に交換していました。
HHKBのラバードームをDESKEYSの「DES-DOMES BKE Tactile」に交換してみた – さおとめらいふ
で、この記事にも書きましたが、ラバードームを社外品に交換したことで、どうも打ち心地が安っぽくなったというか、安定しないというか、キーを押し込んでいる時にどうもグラグラする感触がありました。
軽くはなったんですけどね、ちょっと安っぽい感じがあまり好みではありませんでした。
そのHHKBを実験台にして、練習がてらルブを試してみたところ、大当たりしたというわけです。
HHKBをルブしてみただけで、ここまで打ち心地が違うんだ。これはもう、所有している全てのキーボードにルブしてみたい。そんな気持ちでいっぱいになりました。
でもね、これはそんな単純な話じゃなくて、新たな沼の始まりとなってしまったんですよ。
RealForceで試すも、”これじゃない”
勤務校で顧問をしている商業部では、毎日パソコン入力コンクールの上位入賞を目指して、日々タイピングに励んでいます。
良いキーボードを使って練習をすれば、上達も良いだろう。そう思って、静電容量無接点方式のキーボードを活動場所に用意して、部員たちには自由に使ってもらっています。
もちろん、ルブ済みのHHKBも触らせてみたんですが、たまたま触らせてみた時が部活終了後だったため、ちょっとキーを押してみたくらいに留めていました。
実際に僕がルブの魅力に取り憑かれたのは、それから生徒が帰宅したあとも活動場所に残って、試しにタイピングをした時でした。
これは、やばいぞ。ルブってのはここまですごいことになるのか。ヨダレが出そうだ。
この感触を、早く部員たちに伝えなければ。
そう思って、次の活動日に、ルブ済みHHKBを部員に渡して、しばらくタイピングを試してもらいました。
魚住「この前ちょっとだけ触ったこのHHKBな、使ってみ。やばいキーボードに仕上がった。俺が初めてHHKBを触った時と、同じくらい感動したものに進化したぞ。これで寿司打をやってみ。」
寿司打開始 部員「・・・!!はっはっはっ笑」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
魚住「やばいだろう?」
部員「やばいですね。」
その後、もう1人の部員にも試してもらいましたが、タイピングでこれまでになかった記録を出せたと報告してくれました。
ここまで気に入ってくれたらね、もうそりゃ、部活で使っているRealForceにもやってあげたくなりますよ。ルブ。
というわけで、1年生の男子を集合させて、ルブ作業をやらせました。
こちらがRealForceを分解させている様子です。本体のケースを取り外す部分は僕がやって、その後の基板を取り外すためのネジを外す作業を部員にお願いしました。
今年の1年生男子、ガンプラを作ったこともなければ、小学生時代にミニ四駆もやったこともなくて、工作も学校の授業でしかやったことがないって言うんですよ。
とても信じられない。僕なんてプラモデルに電子工作に、ゲーム機の分解までを高校入学前に済ませたというのに。この子たちは、小中学生時代は何をして過ごしてきたんだろう。
多少不安が残りましたが、ルブのやり方、筆を使った潤滑剤の塗り方を伝授したので、それも部員にやらせました。
手の器用さが試される作業ですが、見ている限り適量塗ることができていました。
やればできるじゃないか。先生は嬉しいぞ。
作業だけで活動時間が終わってしまったので、残りの組み立てる作業は僕がやりました。
本体のケースに基板をネジで止めて、完成。誰もいない中で黙々と作業しました。
よし、これで完成だ。ちょっと試しに寿司打でもやってみようか。
そう思って完成したキーボードをPCに接続して、寿司打をやってみました。
・・・思ってたのと違う。
あの、ルブを施したHHKBを触った時の感動を、味わえなかったんですよ。RealForceでは。
HHKBとRealForceは配列が違うだけで、中身は同じ静電容量無接点方式です。それなのに、打っていてあまり感動しませんでした。
違和感の原因はゴムの劣化
何が違う。どうして違う。
使っていてわかったのが、ラバードームの重さでした。僕が初めにルブをやったHHKBは、社外品の42gのラバードームに付け替えていました。
それに対して商業部で使っているRealForceは、PFU Limited Editionという45gのラバードームが使われているモデルです。さらに、普段使っていても、どことなく重たい感じがしていたものでした。
体感では45gどころではなく、50g近くあるんじゃないかって思えるほどです。
多分これだな。キー荷重だ。それが打ち心地にダイレクトに影響を与えているんだ。
ラバードームというのは、静電容量無接点方式のキーボードの中に入っている、スプリングを覆っている部分のゴムのこと。
ゴムは経年劣化により固くなります。これは車のタイヤも同じ。
経年劣化によって硬化したゴムは、普通に考えたらよくはなりません。輪ゴムも同じで、固くなったらもろくなり、ちぎれてしまいます。
今のところ考えられる対応策は、3つあります。
ラバードームに穴をあける
ゴムの劣化防止剤を塗る
他社製ラバードームに交換する
ラバードームに穴をあけることで、固くて重たく感じる押下圧を下げるのが、一番お金がかからない方法です。
実際にHHKBで試したことがあります。
HHKBのラバードームに穴を開けて押下圧を軽くした – さおとめらいふ
これならまた部員に作業をお願いすれば、部員たちにも貴重な経験をさせることができて、尚且つみんなが使うキーボードの使い心地を良くすることができます。
2つ目のゴムの劣化防止剤を塗る方法も、HHKBのメンテナンスについて検索してみると、結構やっている人を見かけます。
具体的にいうと、クレ556で有名な呉工業が販売しているラバープロテクタントを塗るという方法です。
[Amazon | KURE(呉工業) ラバープロテクタント (300ml) ゴム製パーツ保護剤 [ 品番 ] 1036 [HTRC2.1] | 車&バイク | 車&バイク](https://amzn.to/3WJbZmz)
本来ならゴムの劣化を防ぐために、ゴムが新品のうちに塗っておくためのものなんですが、ダメもとで劣化したラバードームに塗ってみたら、柔らかくなったという記事をいくつか見ました。
穴をあけることに抵抗があるのなら、これもやってみると良いかなと思ったので、実はヨドバシで既にに購入済みです。
ふと思いました。穴を開けたラバードームにラバープロテクタントを塗ったら最高なんじゃないかなと。これはどこかでやってみたいので、またいつか語ります。
最後の、社外品のラバードームを買うってのは、僕が今所有しているHHKBで、まだルブをしていないものに対しての物欲です。RealForceにやろうとすると、1万円ほどかかってしまうので、流石に部費を使うことには躊躇します。
いやね、なんで三番目の選択肢を残したかというと、僕が初めてラバードームに穴を開けたHHKBに取り付けた静音リングの厚さが好みではなくて、静音リング販売元のdeskeysのサイトを見てたんですよ。
使っている静音リングと、購入したラバードームの製造・販売元が同じなので、どうせ静音リングを買うなら、ラバードームも買っちゃうか!と、物欲がホクホクしていました。
元々のラバードームに穴を開けたらそりゃタダで済むんでしょうけど、それで自分の好みのキーボードに仕上がるかどうかなんてわかりません。
今わかっているのは、社外品ラバードーム+ルブが、自分の中で極上なHHKBに仕上がるということだけ。
ラバードームのセットが58ドルで、静音化用のシリコンリングが28ドル。
合わせて、86ドル。ううむ、高い。記事を書いてる日付の時点では15000円くらいになってしまう。
という感じに、思い立っては商品をカートに入れ、そしてセッションが切れて時間切れ。また思い出してはカートに入れて・・・という行動を繰り返していました。
劣化防止剤を塗ったが"これじゃない"
ちなみに上の方の文章を書いたのは日曜日のこと。実は金曜日にはKUREのラバープロテクタントをヨドバシのポイントを使って購入していました。
そして月曜日に未調整のHHKBのラバードームに向かって噴射して、ついでにルブもやりました。
ところがこれまたdeskeysのラバードーム+ルブとは違った感じで、個人的には期待外れに終わったのでした。
完全に好みの話ですが、純正ラバードームでは自分が望む打ち心地にならないことがこれでわかりました。
つまりあれだ。やっぱりdeskeysのラバードームで押下圧の軽いものに入れ替えるしかなさそう。 柔らかい、それでいてタクタイル感がある。さらに軽い。ここまでくるとメーカーの製品としてのHHKBとは少し違った打ち心地になってきます。
確かにHHKBは素晴らしい。一つの製品として、配列から打ち心地まで、常に完璧であり続ける。しかしそれと好みは別です。あぁ、なんでルブなんてものをやり始めてしまったんだろう。新しい沼の扉を開けてしまった。
そして、1台は自分が思う極上のHHKBが作れました。しかし1台だけでは足りない。家と職場の両方で同じHHKBを使う必要がある。
これは・・・、カートに入れたものを、そのままポチるしかないのか・・・。出費が痛いなぁ・・・。
結局買った
上の文章を書いていたのが月曜日、そして今追記しているのは火曜日の夜のこと。 結局、買っちゃいました。 海外通販なので、レビューはちょっと先になると思いますが、年内には届くといいなぁと思いつつ、楽しみに待ちたいと思います。
なんでポチった直後に、円高が進んだ?泣きたい。
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