教師がただ喋るだけの授業からの脱却
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
教師がただ喋るだけの授業からの脱却
僕が担当している「情報の科学」。今は第2章のネットワークの仕組みという単元の辺りを進めています。 ネットワークの仕組み。かつてCCNA(Cisco Certified Network Associateというシスコのベンダー資格)を取得した経験をもつ僕にとって、専門分野です。
専門分野であるということは、知識が豊富であることと、実際に業務に活かせていること、分かりやすく噛み砕いて教えることができることとしては良いことだとは思います。 でもね、いくら僕がネットワークの専門家だと名乗ったとしても、それだけでは「良い授業」ができるとは限りません。
自分の周りに、聞いてもないのに勝手に得意分野をひたすら喋りまくるオタクがいたらどうでしょう。聞いている人にとって、確かにその人はそれの専門だという認識はできますが、聞いてもいない時に知識が流れ込んでくる時、人は不快を感じます。 反対に、専門家だということは周囲が知っている状態で、トラブル発生など何か困りごとが起きた際に、専門知識を持ってさっと解決する方が、オタクにとっても周囲の人にとっても気持ちの良いことのように思います。
つまり、専門分野の知識をただひけらかす授業は、聞いている生徒にとって、最高につまらないものです。 「聞いてない、誰もそこまで、聞いてない」状態を生徒が1コマずっと味わうことになるわけです。
では、そんなコンピュータオタク魚住惇が、オタクであることをウザがられないようにして、如何に語るのか。手順化してみます。
動画教材(NHK高校講座など)を生徒に事前に見てもらう
授業では動画教材を見たら解答できる問題をひたすら解く
授業の最後5分で解説
まだまだ試行錯誤の途中ですが、最近試している授業形態はこんな感じです。 まず、学びを進めていく上で必要な、「知識の伝達」。これが一番たるい部分ですが、ここを僕がやるのを辞めました。授業の時間ずっと話し続けることも、それをずっと聞き続けることも、お互いに苦痛だからです。 なので、それを動画教材を事前に見てもらうことで解決しました。つまり「知識の伝達」を、事前にやっておくのです。 それって動画を見ないまま授業を迎える生徒がいたらどうするのっていう心配も当初ありましたが、Teamsで動画を共有したり、家庭にWIFIがない人のためにDVDを用意することで環境は整えましたし、「事前に動画を見ないと、授業中に解く問題に取り組めません。」と伝えると、割と多くの生徒が動画を視聴してから授業を迎えてくれました。 それに、動画教材はあくまで教科書の内容をわかりやすく説明するための補助教材なので、本当に動画の視聴を忘れてしまった場合は、教科書を隈なく読めば良い話です。その後に動画を見ても学習効果はあると思います。
次に授業では、動画を見て、ある程度知識を頭に入れた状態で問題を解かせます。例えば、「回線交換方式とはどんな通信方式ですか?」や「通信規約のことをカタカナで何というか」などの知識を問う問題もあれば、「192.168.4.105というIPアドレスを2進数に変換せよ」という計算問題もあります。 知識を問う問題の答えは、教科書を読み込んだりGoogle検索すれば情報は無限に出てきますし、PC上で解答して提出するのでコピペもできます。
ただ、「回線交換方式はどんな方式ですか?」という問いに対して、
回線交換 (Circuit switching) とは、通信開始から終了まで、物理的または仮想的な伝送路を設定し、回線を占有して行う通信の交換方式であり、またその方式によるデータ通信を言う。コネクション指向(Connection oriented)通信とも言う。対義概念としてパケット通信(蓄積交換)がある。
なんていうWikipediaからの文字をベタッと貼られても困ります。 なのでここは、 「調べたい情報にたどり着くことができたか。」 「他の人に分かりやすく説明できたか。」などを基準にして評価していきます。
生徒にはあらかじめ、「ネットに書かれている文章をそのままベタッと貼り付けて、自分の文章として提出することは著作権法違反です。絶対にやってはいけません。そして、ネットからパクった文章か自分で書いた文章かを見破る超能力が魚住にはあります。」と生徒に伝えておきます。この言葉を事前に言っておくと、割と気をつけてくれるものです。
そして最後の解説。ここは5分だけにしました。長めにしても10分かからないようにも気をつけています。 生徒はここまでで、一度動画教材や教科書で知識を蓄え、問題演習を行っているので、用語については「見たことがある」以上の状態にあります。自分の言葉で説明するという課題のおかげで、知識を頭の中で整理することも既に終わっています。 クラス全員ではないにしても、ほとんどの生徒が課題を終えたを整えた状態で、さっと解説するわけです。 すると、最初から僕が知識をひけらかして喋りまくるオタク丸出しの授業なんかよりも、言葉が生徒に刺さるのです。 教師というのは、自分が教える分野での「とっておきの言葉」というのを用意しているものです。こういう例えなら生徒は分かりやすいと思ってくれる!というものです。例えば僕でいうとビットを電球に例えたりとか。 全部を語るのではなく、生徒がある程度調べ上げた上で、その「とっておきの言葉」というのを使えば、教材研究で用意したその言葉がより鋭く生徒の心に刺さるわけです。 何せ聞いている相手は、問題演習が終わって答えを聞きたがっていますから、聞く状態で聞いてくれます。
ここまでの下積みをした上、教科書には載ってないような言葉を使って、重要なところだけサッと分かりやすく解説する。 すると「あ、この先生は、教科書をただ読んでいるだけじゃないし、詳しいし、分かりやすいんだな」って思ってくれます。しかも聞いていてくどくない。
まだまだ最近始めた手法ですが、始めたばかりにしては感触が良くて、しかも授業中にかかる労力も最小限に留められるので、連続で授業をしていてもそこまで疲れません。 授業でやらなければならないことのほとんどを、授業前に済ませることでここまで効果があるのか!と、自分でも驚いています。 もうしばらく続けてみて、変化があれば報告しようと思います。
Kindle PaperWhite 第11世代シグニチャーエディションが最高すぎる
本当は感想をまとめてブログに書こうかと思っているんですが時間が取れないのでこっちに。
Kindle PaperWhiteの最新版、第11世代のシグニチャーエディションを購入しました。 僕がこれまで使っていたのが2012年モデルだったので、画面の大きさから処理速度から、信じられないほど進化しているなっていう印象です。 USB-Cで防水、Qi充電にも対応していて32GB。最高かよ。
iPad miniを購入しない分、こういう専用端末にお金を使いました。
Youtubeや記事などで第11世代のレビューを結構読み漁っていたんですが、どれも2018年モデルとの比較ばかりでした。 当然といえば当然なんですけどね。 でも電子インクの画面って、仕組み的にそこまで早くならないよねとか、普通のタブレット端末と比べると性能的にはこれくらいなもんかとか。割と割り切って使っていると、2012年モデルでも使えないことがなかったんですよ。
あと一番の魅力が、画面の大きさ。僕の中での一番の決め手がこれでした。 6.8インチは最高ですよ。 これまではずっとiPhoneをお風呂に持っていった生活を送っていましたが、ここ最近はKindleをお風呂に持っていき、子どもと一緒に入って、子どもだけ先に上がらせてからの読書タイムを10分ほど確保しています。 Kindle Unlimitedも3ヶ月分ついてきたので、色々と読み漁っています。読書の時間はかなり増えました。
2012年モデルのKindleを、どうしようかなぁと考え中です。本を共有したい人に貸してみるか。でもどんな本を買ったのか全てバレてしまうのはちょっと。 考えることが多い今日この頃です。
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