こだわりを書いた先にあるもの
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
こだわりを書いた先にあるもの
年末からこだわり始めた、HHKBの新たな沼、ルブ。
僕はHHKBエバンジェリスト仲間のダニエルさんから教えてもらってから、すっかりTopre軸のルブにハマってしまいました。
元から自作キーボード界隈ではキースイッチを専用の器具を使って分解して、潤滑剤を塗る作業をルブと呼び、愛好家によって親しまれている。くらいのことは知っていました。
ただし最近は、ファクトリールブと言って、キースイッチが製造・出荷される段階で、工場で機械が潤滑剤を注入し組み立てる仕組みがあるようです。ファクトリールブ済みのキースイッチなら買った時すでにルブされているので、手間が省けます。
僕はこの存在を知ってからは、キースイッチを購入する際にルブ済みかどうかを気にするようになりました。
ちなみに最近購入したキースイッチは、遊舎工房さん独自のキースイッチ、「Yushakobo Fairy Silent Linear Switch」です。
[[Pre-order] Yushakobo Fairy Silent Linear Switch](https://shop.yushakobo.jp/products/5636)
35gで静音リニア、しかもファクトリールブ済み。これはもう買うしかないなと思って、プレオーダーが始まった瞬間に自作キーボード1つ分ほどの数を注文しました。
この時は何に使おうかなと言っていますが、使い道はある程度決めています。7sPro MAXです。
さて、話をルブに戻します。自作キーボード用のスイッチはファクトリールブがしてあればまぁ良いかなと思っていましたが、ダニエルさんの勧めによってHHKBを分解してルブを行うということが、年末の大きな発見であり、新たに踏み入れた沼でした。
それこそ僕にとっては大発見に値することで、これからも大いにこだわっていきたいとも思っています。
そしてこの熱い思いをなんとか冷めないうちに記事にしようと、年末年始は特にブログのHHKBの記事ばっかり書いていました。4記事くらいかな。
書いた成果が実り、2023年1月の時点ではGoogle検索で「HHKB ラバードーム」で一番上に出てくるようになりました。
検索結果に伴うアクセスは、全然ありませんでした。多分ニッチすぎるんですよね。つまり「HHKB ラバードーム」で検索する人がそもそも少ないということです。
多くのPV数を見込む記事を書くのなら、ターゲット層の人数が多くて、その人たちが知りたそうな内容を書くのがセオリーだと思います。
HHKBなら、初めてHHKBを買った人向けにおすすめのケーブルを紹介するとか。あとはDIPスイッチの設定をどうしているとか。
でも残念ながら、今のところそういう記事を書くことは優先順位が低くて、すぐには書けそうにありません。今、心の中で燃えているのはルブですから。
そして僕は熱量だけで仕事をしているような人間なので、熱量だけで文章を書いています。多分このnewsletterが書けているのも、熱量が続いているからです。
で、ラバードームやらルブやらについてブログに書いて、この時はひとまず書いたぞという自己満足で終わりました。
ところが、話はこれで終わりませんでした。
13日金曜日の朝のことです。ブロガーのはしくれとして、Google Analyticsをチェックしていたのですが、普段のブログでは考えられないような数値が出ていることに気づきました。
すぐに元を辿ることができて、この方のツイートが発端になっていたことがわかりました。
ちゃんとね、ラバードームの記事の中から、僕が一番正解だと思っていたキャロットドームを紹介していたURLを貼っていただけていたことが、個人的には嬉しかったポイントです。
このツイートを見かけるまで、この方がどんな方なのかは存じ上げませんでしたが、ここ最近のツイートを見かける限り、どうやらキーボード沼にハマってしまった様子でした。
(後になってこのツイートの主が、はてなブックマークを開発した伊藤直也さんだと知った時には腰を抜かしそうになりました)
TopreのRealforceを試したり、TopreCloneのNizを試したり。そうそう、かつての僕と同じ道を歩んでいるのが手に取るようにわかりました。
そして僕が2023年1月現在での最適解としている、HHKBにdeskeysのキャロットドーム35gを入れて、その軸にルブを行うという組み合わせ。ここに辿り着こうとされていました。
ただし僕がブログにキャロットドーム35gの話を書いた頃にはまだルブをしていなかったので、その後にAmazonで潤滑剤を購入しました。こうしてようやくHHKBが完全体になったんですが、キャロットドームの記事にはそこまで書いてなかったんですよね。
なので先ほどの方のツイートに対して、ルブの話も振ってみました。
するとやり取りの中では、ルブにも興味が出てきたようで、キャロットドームが届くまでにルブを行ってみるともおっしゃっていました。
この自分の見解に理解を示してもらえたことが、特に嬉しかったんですよ。
自分自身が満足するまで、その分野を追い求めていくことが、こだわりだと思っています。でもそれは、誰かに見て欲しいからこだわるんじゃなくて、あくまで自分が満足できるかどうかが指標です。
きっとこれが「他人に認められるためにこだわる」とかになると、精神的におかしくなるんでしょうね。
僕のこのHHKBへのこだわりは、他人から見てどうこうじゃなくて、タイピング時の指先の感触とひたすら向き合った結果だと思っています。
別に誰かを満足させたいとか、キャロットドームを売り込みたいとか、そういう意味は込めていませんでした。そんな自分が感動してしまったHHKBのカスタマイズ方法があった。それを記事として書きました。
きっと、自分自身にしか刺さらない記事だろうと思ったものが、実は他の人の心にも刺さった。
それがわかったからこそ、余計に嬉しかったんですよ。
あぁ、自分以外にも、キーボードの打ち心地に疑問を抱いて、こだわってみようと思った人がいるんだ。人のためにこだわったわけではないものの、自分が追い求めてきたものが、誰かの役に立つ時に、やっぱり人は嬉しいと思うんですね。
例えばこのnewsletterにも僕のこだわりを書きまくっていますが、読者の方全員にHHKBを買って欲しいわけでもありません。
あぁまた魚住という男が、すんごい変態な文章を書いているわぁ(褒め言葉
これくらいの感覚で、読み物として楽しんでもらえていることを想定しています。だからこそ、毎週僕のこだわりに付き合っていただけて、本当に嬉しいですよ。
きっとリアルでの行動に例えると、うんうんと聞いてくださっている感覚に近いと思います。ただその姿が今のところアクセス数でしかわからないので、「いいね」などの他の指標などにも現れると、めちゃくちゃ嬉しいんですけどね。
毎週必ず「いいね」を押してくださってる方には、本当に感謝してます。あぁ、また今週も僕のこだわりに付き合ってくれたんだって思うと、嬉しい気持ちになります。
で、この「こだわりに付き合ってもらえて嬉しい」ではない、別の感覚。「自分のこだわりが誰かのこだわりに呼応した」という感覚が、稀に味わう感覚でした。
別に誰かにわかって欲しくて話しているわけじゃない。だけども、わかってくれる人がいたら、それはそれで嬉しい。そんな感情です。
とはいえラバードームの交換は奥が深い。
deskeysのサイトで販売されているラバードームは4種類、押下圧もそれぞれ
V1で4種類
V2で7種類
V3で4種類
キャロットで3種類
用意されているので、合計18種類あります。ルブ用の潤滑剤だって、それこそ代表的な商品こそあるものの、多くの配合が用意されています。
組み合わせを考えると、数え切れません。
その中で自分の唯一の組み合わせを見つけることは、不可能に近いです。それこそ、如何にこの組み合わせが自分の中での正解に近いのかという認識でいるくらいがちょうど良いと思っています。
もし自分の好みが時間と共に変化したら、それが今の自分にとっての正解だという認識に変わるだけ。「現段階での最適解」という感覚です。今回僕は、使えるお金が少ない中で、試せるだけ試した結果、自分にとっての最適解に辿り着いたんだと思っています。
2021年から自作キーボードの沼にも浸るようになり、改めてHHKBの良さを実感することにも繋がり、HHKBをカスタマイズする段階まで来ました。HHKBを買ったからゴールだという考え方に満足せず、最適解を常にアップデートしてきたからこそここまで来れたと思います。
頭文字Dに登場するS2000のドライバー、城島俊也は、主人公である藤原拓海にこんな言葉を残しました。
「どれほどの技術を習得していても、これでもういいと思ってしまえば
その状態を維持することもむずかしい。 常に上を向いて努力をつづけていなければ、上のレベルに移行する事はできない。道を極めるという事は、そういう事だと思っている」 頭文字D Fourth Stage 24話より
このキャラクターは公道ドライバーとしては古参の世代に当たるようで、このセリフの後に「僕はもう、若くない。現状維持が精一杯なんだよ。」と続けていました。
一つの道について極めていくと、こういう考え方になっていくのかと、このセリフを聞いた時には勉強になったものです。
キーボードという入力装置が、今後どうなっていくのか。僕にはまだまだ予想もつきません。いつかキーを入力することも不要になる可能性だってあります。
それでも今は、キーボードについての知識を深めたい。コンピュータを触る時に必ず触るものだからこそ、積極的にこだわりたい。
自分から意識的に「探究心を持とう!」みたいなことを考えずに、こだわりの矛先が向いている。そんなキーボードに対して、これからもこだわり続けたい。改めてそう思えた出来事でした。
手は2つしかありませんけどね。
ちょっとだけ追記
たま〜にのぞいている、5ch。ハードウェア板のHHKBのスレを見てみると、こんな記述を見つけました。
ははは、魚住氏って言われると少し恥ずかしい気もしますが、嬉しいですね。
伊藤さんのツイートからもルブの世界を初めて知った方がいらしてて、実際にチャレンジもされていました。
1人だけじゃなかったんだ。参考にしてくださっていた方が、こんなにもいたんだ。
今週も自己肯定感、爆上がりです。いつもありがとうございます。
ごちゃごちゃしたノートを見たくない現象
こだわりの話だけでは字数が足りなさそうだったので、ちょっと現在進行形の話をします。
昨年10月ごろから、今抱えているプロジェクトをまとめたノートを作り、そこに進捗などを書き込んでいました。
しかし最近、そのプロジェクトのノートを見ていない自分がいることに気づきました。ちょっとそのことについて書こうと思います。
忙しい時に、プロジェクトのノートを作って、そこに各プロジェクトの進捗を書いていく。これまでデイリーノートだけでタスクがこなせていた自分にとって、初めての試みでした。
昨年の10月から12月にかけてがかなり忙しかった次期で、年末にはひと段落していました。プロジェクトノートを初めて運用した自分にしては思いの外うまくいって、無事いくつかのプロジェクトを完遂させることができました。
ただし年が明けたことで、また新たに迫ってくる締切がいくつかあり、ここ数日は常に何かしらに追われている毎日です。
そこでふとプロジェクトのノートを見ると、12月のまま止まっていました。つまり、各プロジェクトの近況が書かれていない状況でした。
現状、あのプロジェクトはこの辺りまで進んでいるなという情報が、頭の中にしかありませんでした。
これはちょっと、まずい状況じゃないかと思ったわけです。文章で表現していると、「じゃあ次はこうしようか」と自然と思えてくるので、そのプロジェクトを進める上で次にやることが見えてきます。
でもこれが、頭の中で「あぁ、あれはここまでやったか。」なんて思っていると、次につながる内容が浮かんできません。
僕にとって、プロジェクトノートは、進捗を管理するとともに、次に何をするべきかがプロジェクトごとに把握するためのツールだということに気づきました。
これに気づかず、結局は頭の中でやっていた。別にそれでプロジェクトが完結しているのなら全然良いんですけど、そうではないプロジェクトがたくさんあるなぁと思い始めたのが、プロジェクトノートの破綻を知るきっかけとなりました。
プロジェクトノートといってもObsidianで作ったテキストファイルなので、最悪新しく作り直せば済む話です。ですが、似たようなゴミノートを量産するわけにも行かないので、使うことに躊躇するようになっていたプロジェクトノートの中身を整理整頓することにしました。
内容の整理整頓をしていけば、使い続けられるノートになると思ったからです。
これはアウトライナーあるあるにも同じことが言えるかもしれません。おお、これがアウトライナーか、フリーライティングで書き出していけば、なんかアイデアがたくさん出てくるぞ。
そう思いながら書き出すだけ書き出して、結局使えないゴミばかりが増えていき、そのアウトライナーを使わなくなっていく。 ごちゃごちゃしている内容をそのままにしておくと、そのアプリを開くのも億劫になるんですよ。
デイリーノートは日付が変わると新しく作ることになるので、良い意味でリセットされて、毎日スッキリした気分で使うことができています。
しかし、プロジェクトノートでそれをやると、忘れ去られてしまうプロジェクトが出てきそうで嫌なんですよ。
なのでここは、プロジェクトノートの内容をスッキリさせつつ、使いたくなるようなノート作りを目指しました。
見出しと同じ文字のノートを作って退避
僕のプロジェクトノート、今はこんな感じです。一部ぼかしてあります。
本当はもっと、進捗やら締め切りやら、取り組んだ時の状況を書き込んでいました。
でもそのプロジェクトに取り組んでいた当時は有益な情報も、旬を過ぎれば邪魔な情報で、下の方までスクロールしないと次のプロジェクトが見られない状態でした。
それだと、下までスクロールしようという気すらなくなって、せっかく今抱えているものを書き出したのに、それを見たい気分に全くならなくなってしまいました。
こうなるともう、雑草生え放題の状態です。放置されたデジタルガーデンの成れの果てです。手入れが行き届いてないと、使うノートにもならないし、内容を見なくなると、プロジェクト管理そのものの破綻を意味します。
一応プロジェクトごとに少しずつタスクが進んでいるのは、デイリーノートのテンプレートにタスクを入れてあって、ちょっとずつ進めることができているからでした。毎日少しずつプロジェクトを進めるだけなら、デイリーノートを工夫すればある程度はいけるんじゃないかと思いました。
ただしそれは、あくまで進めることだけが目標の場合です。僕としては、抱えているプロジェクトの全体像を眺めながら、進捗を把握し、力を入れる部分を調整したりと、デイリーの視点よりも1つ上の視点からも考えたいと思うのです。
だからこそたまには、プロジェクトノートの中で散らかった部分を一旦整理しておきたい。片付けた部分をどうやって分離して、見えなくするかも含めて、この辺りの部分をルーティン化しておきたいなと考えています。
今回は、具体的なプロジェクト名のノートを作って、そこに書き散らかした内容を対比させることにしました。こうすれば、プロジェクトをまとめたノートを見ただけでは、そこまでの内容が見えなくなります。
もしこれがアウトライナーだったら、折りたたむと済む話なんでしょうが、Obsidianの見出しを折りたたむ機能は、折り畳みたい見出しの位置にカーソルがないと、その見出しで折りたたんでくれないのがちょっと不満なんですよ。
これがNotePlan3だったら、今のカーソル位置に近い見出しで折りたたんでくれたんですけどね。
プロジェクトノートをどうやって運用していくのか。
デイリーノートの運用方法は割と固まりつつある中で最近出てきた、新たな課題です。
今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。