DX本と問題集の進捗報告
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
DX本の進捗状況
本当は昨年の夏休みに原稿を書き終わるはずだった、学校DXについて書いた本、略してDX本。2月の終わり頃に、編集者の方とzoomで今後の打ち合わせをしました。
その編集者の方は、あまり表舞台には顔や名前を出されない方なんですが、敢えて言うなら、『教師のiPad仕事術』を担当してくださった方であり、スクールプランニングノートという僕が愛用している教員向け手帳の生みの親に当たる方です。
僕がまだアンバサダーをやったり、Twitterで本名を公開する前から付き合いがある方でして。スクールプランニングノートに挟んであったアンケートはがきに、感謝の言葉と活用方法などを書いて送ったら、後日メールが送られてきて、それからやり取りが始まりました。
時系列では、
2018年:スクールプランニングノート公式ガイドブックで達人の1人として紹介してもらう
2019年5月:『教師のiPad仕事術』に向けての初回打ち合わせ
2019年12月:HHKBミートアップ登壇に伴いTwitter実名化
2020年5月:『教師のiPad仕事術』発売
今思えば、この頃はかなり波に乗っていたなっていう感じがします。
学事出版から印税が振り込まれるのは年に2回、8月末と2月末です。大変ありがたいことに、『教師のiPad仕事術』は未だに売れています。出版してから3年が経とうとしているというのに、まだこんなにも買ってくださる方がいるんだということに、僕自身もびっくりです。
過去のnewsletterにも少しは書いたかもしれませんが、2022年の5月ごろに編集者の方から連絡があって、
「魚住先生、2冊目を書きませんか?iPad本から2年経ったので、営業部からも頃合いじゃないかと声がかかっています。」(1冊目は社内では「iPad本」と略して呼ばれているようです)
なんていう話を聞きました。聞くと、1冊目だけで終わるよりかは2冊目を出した方が、2冊目にも期待がかかる上に1冊目も長く売れるという効果が期待できるそうです。
そして僕へのメリットとして、2冊目を出版することで、”定期的に紙の本を出版している教師”というイメージがつき、書いた文章を定期的に世に送り出すことができる人間として見られるようになる。なんていう話も聞きました。
うん、聞いているだけで顔がほころび、涎が出そうになりました。この時点でまだ2冊目の内容なんて書き始めてもいないのに、出版した後のことを想像するだけで、大物になった気がします。
で、当時の打ち合わせの話に戻すと、その時に「iPad本から2年経った今、次に本として書けそうな内容は何かありますか?」と言われて、思いついたものが2つありました。
「デジタルノート」と「学校DX」です。
金風舎さんから情報整理術大全の話をいただいて、3万字くらい書いた内容でKindle本になったものがありますが、どこか中途半端な感じがして、前置きだけで終わったような感覚で終わっていました。
ここからっていうタイミングで、それとなく抽象化した文章でお茶を濁して、あまり詳しい内容まで書かずに世に出てしまいました。
個人的に消化不良だったあの本を、完全体として出版したい。2022年3月以降ずっと思っていました。それに、2021年にはTAKE NITES!という本も出てしまったので、もうそろそろデジタルノートの本がわんさか出てくるんじゃないかとも思っていました。
2023年は、デジタルノートがもっと広く認知される予感がします。今はまだ、一部のマニアによって愛用されている程度に留まっていますが、その方達がどんどん本を出すことによって、2023年がデジタルノート元年みたいに呼ばれるんじゃ?なんて想像してます。
それを言ったら、Scrapboxは何年前からあるんだよwとも思いますけどね。
でも、僕が2冊目の話をいただいた時には、中途半端なものしか生み出せなかったことが引っかかっていました。書くことで、今の自分の実力がはっきり分かったというか、示してしまった。
そうそう、その内容をちゃんと理解できているかどうかって、書けるかどうかでわかるんですよ。その内容を書くことにどこか引っかかっているなら、まだそれについて分かってないってことですよね。
情報整理術大全を書いた頃は、僕はその程度しか理解できていなかったってことです。だから余計に悔しかったんです。
自分はまだまだ、理解していないことが多い。
そう思うと、「デジタルノート」について書くということは、まだまだ先送りにしたいなと思いました。
残るは、「学校DX」です。
うん、これなら書けそう。当時もそう思いました。
僕が書いている学校DXは、最先端の実践本ではありません。打ち合わせの時も、編集者さんにその話をしました。
「僕の勤務校ね、コロナ禍なのにスマホを使わせないし、ICTの活用を全否定されるしで、もう散々だったんですよ。それでも最近、少しは進めることができたんですけどね。」
「それを書きませんか?」
え?ホントに?
そんな流れで、2022年夏頃からDX本を書き始めました。技術面では本当に大したことない内容です。今となっては多くの学校で導入されている仕組みなので、僕の感覚ではむしろ今更?って感じです。
だから逆に、学事出版で出せるということらしいです。iPad本の最初の打ち合わせの時も、iPadを活用するための50の法則をまとめたものになる予定でしたが、結果的に文章中心のあの本が出来上がりました。
編集者さんも、やれ法則だ、10ヶ条だ、みたいな本を僕が書けないことを十分に分かってくださっています。
じゃあ、学校にICTを導入してDXを進めたときの苦労話にしましょうっていう流れになりました。そういう流れもあって、2022年夏ごろから書き始めました。
書くと言っても、iPad本よりも苦労した感じがしませんでした。今の僕にはObsidianがあるから。NotePlan3の時代から貯めてきたデイリーノート、ここに取り組んだ記録が全て残っていました。
苦労したことと言えば、デイリーノートに書いた内容を、事例ごとにまとめる作業くらいです。
くらいですって言うほど簡単じゃなかったんですけどね。プロジェクトごとに内容をまとめていなかったので、ざっと2年分のデイリーノートを見返しました。
2023年3月8日現在では、各エピソードの内容がまとまって、あとがきを書いています。
ただ、あとがきを書いていると、またどんどん書きたい内容が出てきて、それを抽象化して見えてくるものが書きたくなって。
なんだかDX本について考えるたびに、新しく見えてくるものがどんどん出てきてしまって、なかなか書き終わりません。
締め切りが決まっていることなので、どこかで区切らないといけないんですけどね、でも「これだけはどこかに入れたい」って思う話が、それこそ毎日のように思いついちゃうんですよ。ボスケテ。
でもちゃんと、終わりに向かっている感覚があるので、もうそろそろです。
早くて5月には世に出てくると思います。先日、台割とスケジュール案を作っていただいたので、概ね内容も決まっていて、あとは少し付け足すくらいです。
学校DX本のタイトルもまだ正式に決定していませんが、Amazonなどに登録されるあたりには、何かしらのご案内ができるかなと思います。
それまで、楽しみにしていてください。
情報Ⅰの問題集はどうなった?
まだ出版社は明かせませんが、高校の情報Ⅰという科目の問題集の原稿を書いています。 これも少し前のnewsletterかどこかに書いた気がします。
書いてた時はね、Obsidianの活用先が増えた増えたって喜んどったんですよ。
でも今、ちょっと、仕事が思ったように進まない自分がいます。最後にここで、モヤモヤを吐かせてください。
僕が担当している問題集の単元は、「問題解決」です。情報Ⅰっていう科目では、問題解決が単元になってるんですよ。しかも、統計やプログラミングの単元より前に。
情報の科学という科目名だった頃は、問題解決という大きなテーマの中に、プログラミングや、データベースや、データ分析が入っていました。プログラミングも、コーディングそのものを楽しみましょうではなく、問題解決を行うためにプログラミングを活用しましょうという位置付けでした。
情報Ⅰも基本はその流れを踏襲していますが、多くの教科書で、問題解決が第1章に含まれることになりました。
第1章の問題解決の単元をひとまず後回しにして、プログラミングやデータ分析に絡めていくとするなら、従来通りの授業を行うことができます。しかし、敢えて切り離してある意図を汲むのであれば、問題を解決するために情報収集を行い、集約し、結論を見つけるという流れを教えることも可能です。
で、具体的にどんな内容が問題解決の単元に載っているかというのは、教科書を手に入れなくても文科省が公開している教員研修用の資料からある程度読みとることができます。
ブレーンストーミングとか、KJ法とか、図解とかが出てくるわけですよ。
ここが自分にとっての問題で、知的生産に関心があり川喜田二郎先生の『発想法』を読んでいる身としては、教科書に出てくる紹介程度のKJ法が妙に胡散臭く見えちゃうんです。
それに、日本人とブレーンストーミングの相性の悪さも嫌というほど痛感してます。自由に出てきた意見を何もなしに褒め合えるわけないじゃん。本当に違いの意見を尊重し合うブレーンストーミングができるのなら、そこはもう日本じゃないですよ。
DXの本を書いていることもあって、学校全体で何かを変えようとすると、内容さえ見てもらえずとにかく反発するような作用が働く。そんな場面を嫌というほど見てきました。
言ってしまえば、学校なんて解決できない問題ばかりです。現実問題、そういう場面を数多く見てきた上で「問題解決の手法を解説してください。その後で、作問してください。」と言われると、
うーむ、ブレーンストーミングっていう単語そのものを覚えたとしても全く意味ないし、相手の意見を尊重するっていう言い回しを空欄に書いたところで、いざ本当にブレストした時に、尊重するとは限らんだろうし。
なんてことを思っちゃうんです。 競合他社の参考書を見ると、KJ法がいいだのマインドマップで思考を可視化するといいだの、あれこれ書いてあります。
恐らく僕が契約した出版社の問題集の担当者さんも、そういうのを書いて欲しいんだと思うんですけどね。問題解決の手法がちゃんと分かってたら、今こうして悩み事をウダウダと書いてないと思うんですよ。
でも、それでも、書くと言ったからには、書かなければなりません。それに、これだけ不満を撒き散らしながらも、書きたいと思ったのは僕本人です。正直な話、問題集の著者になったら、もうちょっと格好良い魚住先生になれると思ったんですよ。
2月末の締切になんとか間に合ったと思えば、次の諸々の締め切りは3月末。ここが踏ん張りどころだと思っています。
DX本は、自分で言うのもなんなんですけど、面白い本になると思います。世に出していいのか?と思えるほど、ニヤニヤできる本に仕上がりそうです。
今週は、僕が今現在抱えている2つの本のお話でした。
今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。あぁそうそう、Amazonで「教師 iPad」で検索したら面白そうなものを見つけたので、ちょっとこの場を借りて最後に一言だけ言わせてください。
だからwなんでw教師がiPadの本を出すときiPadくり抜き+青帯の表紙にするのwこれで2回目だよw