西洋木苺に振り回された話
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
西洋木苺に振り回された話
カッコつけたくて、無理やり日本名にしました。ラズベリーパイという名前のコンピュータのことですはい。
ブログをWordPressからHugoに以降したときにも活用したRaspberry Pi。今回は、このコンピュータについて、今こだわっていることを話そうと思います。
世の中には多くのコンピュータがあります。パソコンだったり、スマホだったり、形は様々です。
そんな中、2012年に発売されてからその界隈でバカ売れしているコンピュータがあります。それがRaspberry Piです。ラズベリーパイと読みます。日本ではラズパイと略して呼ばれることもあります。僕もラズパイと呼んでます。言いやすいし短い。死ぬまでに100万回くらい言うような単語はね、略すに限るんですよ。
このラズパイは何が良いかというと、まずサイズ。名刺サイズのコンピュータです。それでいて、NIC(有線LANポート)もついてるし、USB端子もあるし、HDMI端子もある。つまり画面とキーボードやマウスを接続すれば、もうそれだけだけで使えるということです。
開発元はRaspberry Pi財団で、学校でのコンピュータサイエンスの研究を促進するために設立された慈善団体です。学校にも導入しやすいようにと作られた端末なので、価格も安価です。サイズが名刺くらい小さくて、価格が安い上に性能もそこそこなので、特定の作業を任せる専用機や、その実験機としてバカ売れするようになりました。
ただし、動作するOSはWindowsではなく独自の調整が施されたLinuxなので、Linuxが使えるようなプログラマーやエンジニア向けのコンピュータです。それでも名刺サイズでLinuxが動くとは!みたいな感じに大ウケで、今でもラズパイの中で新発売のモデルは入荷するたびに数日で品切れになるほどの売れ行きです。
ちなみにラズパイの中でもRaspberry Pi Picoや、日本向けのラズパイの一部は、愛知県稲沢市のソニーの工場(ソニー稲沢テック)で製造されています。僕の勤務校も同市にあるのでかなりの親近感が湧いてきます。
お前はりんご漬けじゃなかったのか
確かにiPad2を購入してからはスマホもiPhoneに変えて、メインマシンもMacになりました。が、これでも元々はWindowsを長く使っていましたし、大学時代はLinuxも愛用していました。一時はWindowsServerも自宅で動かしていました。
なので、一度はジョブズがかじったリンゴに魂を奪われながらも、ラズパイにはロマンを感じたわけです。
スペック不足で沼入り
これまで持っていたラズパイをリストアップするとこんな感じ。
Raspberry Pi 4 8GB
Raspberry Pi 2
Raspberry Pi Zero
このうちラスパイ2は、友人から借りているものです。また、Zeroという機種が本当にすごくて、名刺サイズではなくフリスクサイズです。ただ、ラズパイZeroはメモリが512MBしかないうえに、性能は初代ラズパイなので、重たい動作には不向きです。
Linux環境を用意しようと思ったときにはパソコンを1台が必要ですが、これらラズパイがあればあっという間です。しかもラズパイの良いところは、性能ではなく必要な電源です。USB電源で動くので、iPhoneなどに使われているACアダプタはもちろん、すでに動かしているPCなどのUSB端子からも電源を取ることができます。モバイルバッテリーでも動きます。すばらしい。
Linuxの学習用や、サーバ管理の練習台としても、ラズパイは大活躍なわけです。それをそのまま運用している人もいます。
ところがです。1台のラズパイであれやこれやと試すには、荷が重いんですよ。「あなたはここを見張る係ね」と、特定の作業を任命するには安いし小さいしで、本当に役立つんですけど、「これもお願いね、あと昨日頼んでおいたやつはどうだった?それと追加でこっちもね。」なんていう調子に仕事を任せていくと、すぐにフリーズします。
最新版の4は割と高性能になってきていて、メモリも8GBモデルだと比較的余裕があるので、割と重たい処理も任せられるようになりました。
とはいえ現存のラズパイ4はブログ用に本格運用を始めちゃいましたし、「ちょっとこれを試そうかな」と思っていろいろやるには、あまり使いたくありません。僕としては、本格的に運用しているのとは別に、実験機が欲しいんです。
IT系の仕事でもよくある話だと思うんですが、本番環境で試したいことを実験して、失敗してシステムごと巻き込んだ不具合が出たりすると洒落になりません。
なので、運用するための機体は動き続けることを第一にして、その他に実験機が欲しいんですよ。
そこで4以外の残る機種はというと、2かZeroです。Zeroは実質初代と同じ性能なので、1か2しか所持していないことになります。
じゃあもう1台4を買えばいいじゃんと思うかもしれませんが、最新版の4も発売が2019年と割と年月が経ってしまっています。それに、円安で本体価格も値段が上がってしまっているので、当時の価格を考えると今の価格で買いたくないのが正直なところです。
昔はね、75ドルで売れれてたんですよ。コロナ禍の半導体不足により一時は18000円まで上がり、なんじゃこりゃ状態でした。
Raspberry Pi CEO: ‘Million-Unit Months’ Are Ahead | Tom's Hardware
それが2023年に入ってから増産しているからか、今は徐々に価格が下がってきて、新品で15000円前後で買えるようになってきました。それでも当時の2倍近くまで上がってるって思っちゃうんですけどね。
そこそこの性能のラズパイが欲しい。だって2やZeroでは性能が低いんだから。でも当時の2倍の価格で4を買うのも、なんかヤダ。
それに、4が発売してから5年目に入っているので5が2024年に発売されるんじゃないかという話も出てきています。
新型ラズパイ登場か? 英Raspberry Pi財団、「Pi 5」とつぶやく - ITmedia NEWS
つまり、来年に5が出るなら、ラズパイ4は今は買わないほうが良いと判断できます。
でも、欲しい。今欲しい。
なんで今までそんなに欲しいと言っていなかったのに、ここまで物欲が刺激されているのか。
それは、iPadにラズパイをつなぐことで、iPadから操作できることがわかったからです。
iPadとRaspberry PiをUSBで接続してHugoの実行環境を作る - さおとめらいふ-魚住惇のブログ
ここ最近はThinkPadでWindows11を使っていて、VSCodeやGitHubDesktopやらを使って作業している時間が増えました。Windows10までは、メインマシンにするのはなぁなんて毛嫌いしてたんですけどWindows11だとターミナルも使いやすいし、フォントも割ときれいになったなって思ったので、割と気に入っていました。
そうなると、逆にiPadが浮くんですよね。
あ、この場合の浮くって、浮遊するっていう意味じゃなくて、あまり使わなくなるっていう意味です。
そりゃ、まぁ、iPadは浮かせてますが。そうじゃなくて。
iPad Pro用VESAマウントでモニターアームに取り付けたら、世界が変わった - さおとめらいふ-魚住惇のブログ
でもiPadから電源を供給しながらラズパイが動いて、なおかつSSHで入れるって、よだれが出るじゃないですか。だからこそ、iPadに接続するラズパイは、高性能であってほしいんですよ。
とはいえ、少なくともラズパイ4を買うなら、できれば1万円前後で買いたいところです。これはこれで、メルカリやAmazonアウトレットを注視していこうかと思うようになりました。
Orange Piという選択肢
ラズパイはシングルボードコンピュータと呼ばれています。1枚の基板に必要な部品が全部載っているからです。アルファベットのみだと、SBCとも略されます。
ラズパイが発売して人気を博してからというもの、競合商品が出回るようになりました。その中でも競合としてまずますの人気が出てきたのが、Orange Piです。
ラズベリーパイに対してオレンジパイ。ね、もう名前も狙ってるようなもんでしょ。今のところ日本のAmazonには高額転売されているものしか存在しておらず、購入するためにはAliExpressを利用する必要があります。
実はOrange Piには5世代目が登場していて、発売が2022年なんですよ。きっとラズパイ5も、これに似た進化をしてくるのではないかという想定で、Orange Piの5が登場しました。
これがかなり高性能で、ディスプレイには8K出力対応していたり、オクタコア(8コア)だったり、メモリは32GBが用意されていたりもします。いっちょ前にデスクトップと並ぶ性能です。
ただし、ラズパイを意識したつくりとは言うもののこのOrange Pi5は名刺サイズよりも少し大きめのサイズです。
それに、USB-C端子を搭載していますが、ラズパイ4みたいにUSB OTGに対応しているかどうかは不明です。この性能からして、iPad ProのUSB-C端子からの電源供給のみで起動してくれるかもわかりません。
ちなみにOrange Pi 5でARM版Windows11が起動したぞ!という話が海外で話題でした。
今となってはWindows11のインストール方法も手順化されたので、割と簡単に試せます。
How to install on Rockchip devices | Windows on R
ただしNICが使えないなどの制約もあるので、本格運用するには厳しいかなとも思います。それでも面白い試みです。
いかんいかん。こういうロマンに魅せられると、また物欲が加速してしまう。自分の目的を忘れそうになりました。僕の目的はiPadで使うコンピュータ。僕の目的はiPadで使うコンピュータです。
Raspberry Pi Zero 2 w
試しに手持ちのラズパイZeroをiPadに接続して、しばらく使ってみました。するとまぁ、そんなに使えなくはないかなという印象でした。
ただ1つ気になったのは、ラズパイZeroに搭載されているCPUが32bitだということ。今は64bitが主流なので、最新版のアプリやパッケージが入らないことがあります。
Hugoだと0.82くらいでした。最新版は0.117です。これでは今のブログ環境が整えられません。
どうしようかなと思っていたところ、2022年、つまり昨年にはラズパイZero2が発売されていたことがわかりました。
スイッチサイエンス、「Raspberry Pi Zero 2 W」を2022年6月21日販売開始|株式会社スイッチサイエンスのプレスリリース
これは、お恥ずかしながら、知らなかったなぁ。搭載されているCPUはラズパイ3相当なので、64bit対応です。
僕が抱えている問題は、ラズパイ2を購入することによって解決できる可能性が見えてきました。
しかもね、タイミングがすばらしいことに、このことに気づいたときにちょうどラズパイZero2が再入荷したことが話題にもなっていました。
「Raspberry Pi Zero 2 W」が久しぶりの入荷、OS+周辺機器セット - AKIBA PC Hotline!
あぁ、これはポチれってことなんだな。価格も3000円。言うことありません。ポチった翌日には発送、翌々日には自宅に届きました。名刺サイズのラズパイ3が、なんとまぁフリスクサイズになっちゃって。これは良い働きが期待できそうだ。なんてったって64bitだし。そう期待を膨らませました。
しかし、あれやこれやと試していくうちに、そうも言ってられない状況になりました。僕がやりたいことを試していくうちに動作は段々と重たくなり、フリーズするようになりました。
CPUの部分を触ると、そのまま触っていられないくら熱くなっていました。熱暴走か。
そう思って冷却のことも考えて、ヒートシンクも兼ねているアルミケースを買いました。
このケースの冷却性能がかなり良くて、これはこれでラズパイZero2は完成系だと思いました。
ただしそれでも、フリーズは頻繁に起こりました。もしかして、熱暴走の原因は別にある?
そう思ってもしやと思い、メモリの使用量を調べてみると、かなりスワップしている様子でした。
スワップというのは、足りないメモリの容量をストレージで補い、メモリが処理しきれないデータの処理をストレージが行う機能です。ラズパイで言うと、SDカードをメモリ代わりに使うということです。
そこで改めて調べてみて分かったのが、ラズパイZero2のメモリ容量が512MBしかなかったことと、ラズパイOSのデフォルトの設定ではスワップ領域が100MBに設定されていたということでした。これは予想外。もっとよく考えて買うべきだった。
現状、ひとまずはスワップ領域を100MBから2048MB(つまり2GB)に増やしているので、メモリ不足だったとしてもスワップがうまく働いてなんとか動いてくれていました。なんとか、ね。やっぱり動作は重たくなるし、それにスワップ中はmicroSDカードを酷使することになるので、microSDの寿命を縮めます。データが読み書きできなくなるのが普通よりも早いことを考えると、大切なデータを入れておく場所にはあまり使えません。
うーむ、これはちょっと、想定していたのと違う。
ラズパイZero2の代替
さてどうしたものか。ラズパイZero2を触ってみて分かったのが、自分の用途には不向きだったということでした。しかし、このフリスクの大きさのコンピュータという魅力も捨てがたい。
で、次に発見したのがRADXA ZeroというSBCでした。
RADXA Zero — ameriDroid これはね、そこそこすごいんですよ。ラズパイ4とほぼ同じCPUで動いて、SDカード以外にもeMMCというストレージが積んであって、メモリ容量は最大4GBです。
AliExpressで調べた大体の価格は、メモリ4GBとストレージ64GBで、15000円くらい。ラズパイ4とほぼ同じ価格で、メモリは4GBであるもののSSDを搭載していて、さらにフリスクサイズです。うまくトレードオフできてるし、魅力的な性能です。発見した時に早速アリエクでポチりました。
ところがその後、このSBCの次世代機種に当たる、RADXA Zero 2という記述を発見しました。
アリエクにもeBayにもまだ売られていないようでしたが、初代RADXA Zeroよりもさらに高性能になったようでした。
Zero2/Hardware/compare - Radxa Wiki
メモリ容量も8GBだし、ストレージも128GBまで選択できる。この性能で大きさがフリスクとか、すごいもんだな。
こんなものを発見してしまったので、今更初代RADXA Zeroを買うのも、ちょっと待ったほうが良いなと思って、アリエクで注文中だったRADXA Zeroをキャンセルしました。
この沼はどこへ向かうのか
もう。早くこの沼を終わらせたい。だんだん訳がわからなくなってきました。
今の目標は、ラズパイ4(2個目)をなるべく安く購入すること。それが叶うまで、ラズパイZero2でできることをやらせてみる。という感じになりました。
SBC系のブログなどを漁ってみても、圧倒的に数が多く記録が残されているのがラズパイ関連です。ユーザーが多ければ多いほど、良い資料が残るものです。
でも一方で、Orange PiやRockなどの競合メーカーの製品にも興味が出ています。買ってる人が少なすぎて、日本人のブログが全然ないんですよね。いや、だからこそ美味しいのか。
きっと、ラズパイ4かな、買うのは。でも来年には5が出るしな。
本当なら夏休み最後の配信ということで、夏休みにやりたかったリストの結果をお伝えしたかったんですけど、それどころじゃなくなりました。
来週結論が出ていたら、続報を書きたいと思います。
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