キーボードから己を知る
生きることにこだわりを。魚住惇です。
新居で初めての初夏を迎えつつあります。一条工務店で建てた平屋の一軒家です。窓は基本的には開けません。網戸もつけませんでした。外の空気が大量に入り込む瞬間は、玄関の開閉くらいです。あと例外があるとすれば、書斎で僕が塗装ブースを使っている時くらいかしら。家の中に匂いがこもりやすいので、コーヒー豆の焙煎も近頃は焙煎機を外に持って行き、外壁に備え付けたコンセントでやるようになりました。
一条工務店の家って気密性が高いので、冬の間は床暖房のみで家全体が温まります。これは本当に素晴らしくて、おかげさまで寒い時期に風邪を引いても1日で復活できました。家の中だけ季節を忘れることができるのが、人生においてかなり幸福度を上げてくれました。家って本当にすごい買い物ですね。DIYやっていて楽しいし、家具屋さんを見に行くのも楽しい。何より妻と家の中のことを考えたりするのが楽しい。ガンプラなどの他の趣味と違って、家の中の話をするだけでゆかさんが「あ、今この人家庭のことを考えてくれてる」認定してくれるのもありがたい。
しかし妻とは言えど元を辿れば他人。それぞれ違った人生を過ごしてきた人と一緒に暮らします。特に感覚が違うなと思ったのは温度の肌感覚です。どれくらいの温度を寒いと感じるのか、暑いと感じるのか。これが本当に変わります。しかもそれは温度計上の温度だけではありません。室温がどれくらいで、エアコンでここまで下げたという感覚もまた違ってきます。例えば冷房で室温を下げた状態と、暖房で室温を上げた状態。室内に温度計があって同じ温度を示しているとしても、元となる外気温が違う以上感覚も違ってくるのです。
そして厄介なのが年齢や体質による変化です。特に妻の場合は妊娠・出産を経てから体質が変わってきたんじゃないかと見ていて思うようになりました。結婚したての頃ってこんなに暑がりじゃなかったよなぁなんて思う場面をよく見かけます。健康状態や年齢によるホルモンバランスの変化が「快適に過ごせる気温や湿度」に直結するんですね。
ここで問題になってくるのが床暖の設定温度です。一条工務店の床暖房は設定した温度に変化するまでに数日を要します。だから例え1週間の間の1日だけ猛暑日だったとしても、そこに合わせて温度を調整してしまっては他の日が寒く感じるようになってしまいます。あとは男性と女性との違いもあるんでしょうか。なんだろうなぁ、ひじ・ひざを隠したくないんですよね。僕だけでしょうか。寒くないのであれば極力半袖と短パンで過ごしたいのです。この生活を維持するためには、長袖で過ごすよりも高い温度を設定する必要があります。これに対して妻は、多少の寒さなどへっちゃらな方です。それよりも許せないのは暑さです。寒さは着込めば耐えられるが暑さに対応するために服を脱ぐのは限界がある。だから基本的には少し寒いくらいがちょうど良いという考え方です。無論自分だって暑苦しいのは好きではありません。いくら半袖短パンで過ごせるからと言っても耐え難い気温というのは存在します。
かつて床暖房の設定温度はどうやって調整したら良いのか。それをYouTubeの動画を参考にしようとして検索してみると、自分と似たような心の叫びを動画にしている方を見つけました。
一条工務店の全館床暖房は冬、本当に寒くないのか?高気密、高断熱の新築注文住宅、グランスマートで過ごした、初めての冬の感想を話します。 - YouTube
この動画のちょうど2分頃からの、夫による語りの部分です。見ていて常に激しく同意しまくりでした。これと似たようなことが我が家でも起きました。妻のゆかさんの寒暖基準に合わせていたら、僕も子どもたちも寒い寒いと言い出したのです。思えばアパート暮らしの頃も、自分の「部屋全体を暖めたい」派と妻の「着込んで体のみを暖める」派との派閥争いが絶えませんでした。僕としては部屋全体を暖めないと、キーボードをタイプするその手が冷え込んでしまいます。そして体よりも足のつま先が冷えることがストレスだったので、小型の電気ヒーターを足元に置いていました。その電気ヒーターが思ったよりも消費電力が高くて、スマホで電気量をチェックしていた妻が度々プンスカされていました。
妻は自分よりも換気することを大切にされていました。特にコロナ禍では外の空気と室内の空気を1日数回は入れ替えないとという徹底ぶりでした。しかし一方で、換気のためにどこの窓をいつ開けたのかが追えなくなっていることもあり、寝室の窓が開けっぱなしであることに寝る前に気づくこともしばしばありました。下手したら窓が開いていることに気づかずにみんなで寝ることもありました。するとどうなるでしょう。朝起きたらそこは外気温の世界です。
うわっ、さむっ、なんだここは。とても家の中とは思えない。慌てて起き上がりパソコンの前に行き、足元の電気ヒーターのスイッチを入れる。そのあとはお分かりですね。プンスカプンスカです。自分がその原因を作っているとは思われないのです。電気ヒーターのスイッチを入れた僕が悪いのです。
一条工務店で夢の高断熱&床暖房を手に入れたわけですが、これに加えて素晴らしいのが全館換気システム。我が家には網戸はありません。室内の特定の場所から空気が吸い込まれ、全部屋に新鮮な空気が流れてきます。換気システムに空調が組み合わさっていないものの、室内の空気は人の手で換気しなくとも常に新鮮です。もう窓を開ける時代は終わったのです。
ちなみに床暖房システムでは、部屋ごとの温度が個別に設定できます。寝室、書斎、リビング、脱衣所、子供部屋などと部屋ごとに温度を分けて温度調節が可能です。営業さんからは「床暖は温めた水を床下に張り巡らせたパイプを通して循環させるシステムなので、理論上では全ての部屋の温度を同じに設定するのがコスパが良い」と言っていました。でも今はコスパなんかよりも書斎が暖かい方が僕の人生において重要です。妻の「暑い」という声に応えるべく床暖の設定温度を下げたのは、寝室やリビングなどの、妻の居住スペースのみにしました。僕の書斎は暖かいのです。
冬の間はこれで良かったんですよ。これで。でももう時期としては初夏。夜はまだ少し寒いし昼間は夏のように暑いしで、床暖の設定が難しい時期に入りました。ひとまずここ数日ずっと30℃近くまで気温が上がるようになったので、床暖をオフにしました。あとはもうひたすら様子見です。これだけ気温が上がってしまうと、今度は汗のにおいが部屋中に広がってしまうという地獄も考えられます。あ、そうそう、この地獄についてはまたちょっと続きがあって、これについてはまたどこかでお話したいと考えているところです。
ついに我が家でも始まったエアコン生活。これから始まる夏という季節を、妻や子どもたちとどうやって折り合いをつけていくのか。誰かが諦めることになるのか。来月あたりにはまた違った事情を抱えているかもしれません。その時にまたご報告したいと思います。
今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
自作キーボードのタップとホールドを細かく設定してみる
話はまた自作キーボードの話。Shiftキーを「F」や「J」に割り当ててみたという話はどこかでしたと思います。今回はそれに続いて、他の装飾キーも似たような割り当てをしてみたらどうかという試みをしました。
それまではCtrlやAltなどは右下に配置していて、コピペなどを中心によく使うショートカットキーなどは直接レイヤーに割り当てていました。スクショやコピペ、ウインドウを閉じるための組み合わせなどを設定しています。しかしまれに、特定のアプリのみに設定されたショートカットキーを入力したい時があります。そのアプリが良く使うアプリなら、レイヤーに専用キーとしてその組み合わせを割り当てたらそれで終わりです。でもそうではなく、ちょっとCtrlとアルファベットを組み合わせたいだけなんだっていうときに、ちょっとだけ装飾キーを使いたくなるのです。
この考え方で重要なキーワードはタップとホールドという考え方です。タップというのはキーを押してから話したら反応する場合で、ホールドというのはそのキーを押している間の話です。この場合でいうと、タップした場合は通常通りのアルファベットとして反応して、ホールドしながら他のキーを押すとShiftキーとして反応するということになります。
ただしここで問題になってくるのが、連続でキーを入力したときの挙動です。自分のように高速でタイピングしている場合、1つのキーを押して離すまでに他のキーの入力があるわけです。ホールドの挙動を普通にそのまま適用させるとなると、例えば上の画像のように「K」キーを押している間に「A」を押してしまうと、画面上には「か」と入力されずにCtrlを押しながらAを押したと認識されてしまいます。でも実際は画面上に表示させたいのは「か」なんです。文字を入力したいはずが、ホールドが先に働いてしまって結果的に「全て選択」というショートカットキーとして動作してしまう。これが通称「誤爆」と呼ばれる誤作動の真相です。
ではこの誤爆問題をどうやって解決するのかという話です。QMKという自作キーボード用ファームウェアには「#define TAPPING_TERM 200」という機能を定義することができるようになっています。これを記述してコンパイルすると、200msよりも早いタイミングでキーから指が離れたら、それはホールドではなくタップとして認識させますよというルールで入力を解釈するようになります。キーを押してから上がるまでの時間を設定するわけです。この秒数を自分のタイプする感覚との整合性を考えながら調整していくことで、キー入力中にホールドとして認識されずにタップし続けられるのです。
これもまた、結構シビアに自分を見つめ直す機会です。自分がどれくらいのスピードで普段タイプしているのか、気分によって変わることがあります。特にタイピングゲームで速度を競っている場合とTeamsでメッセージの返信内容を入力している時とでも速度はかなり違ってきます。もちろん普段の業務中からタイピングゲームでスコアを出すための入力スタイルでタイプしているわけではないので、合わせるとしたら普段使いの速度です。でもこれまで生きてきた中で、「自分はタップとホールドとの認識の差に、○○ms必要です」なんてこと考えたこともありませんでしたから、これをうまく言語化するのが結構大変です。
自作キーボードは本当に楽しい。キーボードというコンピュータを使う際に皆が当たり前のように使ってきたこのデバイスの挙動を、自分で書いたプログラムで制御するんです。これはただ単に、自分が欲しいと思うキーボードを作ってみたという制作体験に留まりません。自分がコンピュータをどう使いたいのか。文章を入力する際にどういうことを考えているのか。どう指を動かしたいのか。そんなレベルのところまで言語化する必要があります。まさに、これまで無意識で指を動かしてきただけの領域に踏み込む作業です。自分という人間がどういう人間なのかを見つめ直すだけでも大変だというのに、ここまでの解像度で今度は自分のキー操作時の指遣いについて探求することを求められるのです。自分のことが分かってないと、自分が欲しいと思うキーボードが作れませんから。
これも含めて楽しいんですよ。僕はただ単に、自分が快適に使えるキーボードを作りたい。ただそれだけだったんです。でもそれが結果的に自分自身を見つめ直して、これまで考えられなかったレベルで理解する必要が出てきました。そんなことを最初からやりたくてキーボードを調整し始めたわけじゃないんですけどね。こうしてプログラムを書いたり調整していく中で、思わぬ発見があまりにも多すぎてね、気持ちの整理も追いつかないし、自作キーボードという沼からしばらく出られそうにもありません。
でもやっぱり、不満は出てくるものです。キーボードを使っていると、もっとこうだったらいいのになぁなんて思いがどんどん出てきます。これを全て叶えるためには、いよいよ設計しか選択肢がありません。2021年ごろに一度キーボードの設計にはトライしましたが、あれからもう4年も経っているので、きっと時代も変わっているはず。この扉、今開けちゃって大丈夫なのかなぁ。そんなことを考えながら、今週はキーボードをいじっています。
今回のnewsletterは以上となります。
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