生きることにこだわりを。魚住惇です。 今週もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
今回のAppleの新製品は、どれも買わないよ
9月15日深夜2時、Appleが新デバイスを発表するイベントを開きました。 iPhone、iPad、Apple Watchが以前から噂されていましたが、実際に発表されたのは次の通りでした。
無印iPad
iPad mini
Apple Watch
iPhone
うん、個人的には、あまりときめくものがありませんでした。 iPad miniはガジェットとして美しいなとは思います。
僕は何を隠そう過去にはiPad mini大好きユーザーだった頃がありまして。iPad miniは初代、第2世代と買い続けてきました。 その頃は高校の非常勤講師と塾講師を掛け持ちして仕事をしながら、公民の教員免許を取得する通信制大学の勉強をしながら、教員採用試験の勉強をしながらフラペチーノ先生をやっていた頃でした。 もう2度とできねーわあんな生活。
iPad miniが活躍していたのは塾講師をやっている時間帯でした。当時GoodNotes3に取り込んだ問題集のPDFに解答を書き込んだり、白紙のページに解答しながら生徒に見せるっていうことをやっていました。
その時、特に数学を教えている時に思ったのです。
iPad miniは、画面が狭い。スタイラスペンを使って文字を書いていると、どうも画面が狭く感じてしまう。
Kindleで本を読んだり、漫画を読むには最高でした。また、車載するのも手軽でした。 でも、文字を書くには狭かったのです。
このことに気づき、2014年にはその年に発売されたiPad mini3を買わずに、iPad Air2を買ったのでした。 そこからペンシルの偉大さに気づき、後のiPad Pro 9.7インチ購入の流れに続きます。
PDFを見たり、本を読んだり、特に漫画を読むのにはminiって最高なんですけどね。 クリエイティブなことをやろうとすると、どうしても領域が狭い。 これが従来までのiPad miniのサイズにおける、僕の結論です。
今はiPad Pro 11インチのバランスの良さに惚れ惚れしています。
ただ、新型iPad miniは、画面が少しだけ広くなりましたね。その進化が、僕が一度たどり着いた答えをどう覆してくれるか。ある意味楽しみです。
新型も白衣のポケットに入るということは、大きさは変わってないということを意味します。 新型iPad miniが、手書きデバイスとしてどこまで快適に使えるのか。 購入者のレビューを楽しみに待つことにしましょう。
Google 認定教育者レベル1の勉強から見えてきた、Googleの思想
先日、Google Certified Educator Level 1という試験に合格しました。こちらが合格証です。
1ヶ月短期集中講座みたいなものに申し込んでいて、9月の上旬にレベル1を受験し、下旬にレベル2を受験していくスケジュールとなっています。 ただ何が辛かったかって、新型コロナウイルスワクチンの副反応で熱が38℃出ていたタイミングで認定試験が始まったんですよ。 まぁそんな予定を立ててしまった自分が悪いと言えばそれまでなんですが。
ワクチン接種は職場を通しての申し込みで8月14日に1回目を打ったので、そこから2回目の日程も自動的に9月11日に決まってしまいました。ある意味これは学校生活に影響がない日程で組まれてしまった感があります。 月曜日には副反応がなくなり無事出勤できてしまったあたり、ちょっとモヤモヤします。 あーあ、休みの日に副反応が出るように日程を組んだんだなきっと。副反応で苦しんで日曜日が終わってしまった。どうせなら平日に打ちに行って、翌日合法的に休みたかったわ←
ここだけの話にしてくださいね。
そんな冗談はさておき、GoogleClassroomの導入自体は愛知県が進めていたものの、ほぼ同時に愛知県はMicrosoftと包括契約を提携したことで、MicrosoftTeamsを使っていこうという流れが始まりました。
僕の勤務校では、この流れを受けて、というか僕がこの流れを組んで、Teamsでいこうと決めました。
しかし、実際には他校ではTeamsではなくGoogleClassroomを採用している県立高校もあります。 この辺りについては各学校の担当者の思想の違いが出ていると思います。特にGoogleを選択すれば、GoogleClassroom自体は無料で使えますし、Google系はブラウザからアクセスして使うことが前提のサービスなので、使う機種を選びません。 SurfaceだろうがiPadだろうがChromebookだろうが、どれも変わらずGoogleにアクセスできるわけです。 Microsoftのサービスもブラウザからアクセスできるように設計されてはいるものの、Chromebookからアクセスするとなると、実際にはGoogleアカウントでログインしてからMicrosoftのサービスにサインインすることになるのでアカウントが2種類必要となり効率的ではありません。 それなら、愛知県がMicrosoftとの契約を終わらせた後のことを考えてGoogleを選択する理由も十分納得できます。
さて、僕は元々Apple製品も使っていたので、Googleについて学ぶことで、Google、Apple、Microsoftの3種類のサービス全てを使ってみたことになります。 また、新たな日本のサービスとして、ロイロノートも実際に使いこなしています。
自分で言うのもあれですけど、GoogleもAppleもMicrosoftもロイロもそこそこ使ってみたのって、あまりいないんじゃ?と思います。
ここまであらゆるサービスを使ってみると、全体を通して、それぞれの思想みたいなものが見えてきました。
Googleは10年越しに見たクラウドの夢を実現した
そもそもGoogleは検索やGmailなどから発展してきた企業なので、全てのデータをクラウド上で管理することに長けています。Google Workspace for Educationも、クラウドであることが前提です。 GoogleがChromeOSを発表したとき、「まじかよ、こんなん学校で使えると思っとんの?」って思ったのを今でも覚えています。 GoogleChromeが起動するだけのChromebookに一体何ができるって言うんだ。と当時は思っていました。
でもそれは2009年の話です。あれから10年以上経ち、ネットに繋がるのが当たり前、クラウドが当たり前という時代になりました。 Googleが着々と用意してきたものが、教育という巨大なマーケットで花開くことになったわけです。
検索、Gmail、GoogleChrome、AndroidOS、そしてChromeOS。この流れを作りながらも、Gmailが残っているというか、GmailがGoogleのほぼ中心にいるんじゃないかと思うくらいの存在感を出していることに、僕自身驚いています。
インターネットの歴史を振り返ると、ここまでSNSが進化してきて、メールなんて最早レガシーと呼ばれても良いんじゃないかとも思えてきそうな印象を受けますが、Googleはそうは考えていないと言うことです。
Google Certified Educator Level 1でも、特にGmailの問題が必ず出題されますし、生徒や保護者とメールでコミュニケーションを取ることが前提で教育サービスを設計しています。
これは、ここまでインターネットが進化しながらも、メールと言う仕組みそのものが今後もなくならずに残っていく。というか、むしろメールこそ積極的に使っていくものなのでは?と思わせてくれるくらいに存在感を大きく見せて、推してくるのです。
Gmailを中心に、Googleアプリが繋がっていて、そのファイルはGoogleDriveにある。 仕事をするにしても、プライベートの生活面も、人がインターネットを使って暮らしていく上で最低限必要なものに、Googleはなろうとしている。 そんな方向性が見えてきました。
そしてメールを書くためには、文字を入力する必要があります。だからChromebookには物理キーボードがついているのかと納得できました。
クラウドに接続したコンピュータを使うためには、物理キーボードが必要だ。ドキュメントもスプレットシートもスライドもGmailも、キーボードで文字を入力するんだ。 コミュニケーションを取るための言葉のやり取りも、キーボードを使う。 これからの世の中で生きていく上でのリテラシーとしてのキーボード。これが世界標準。Chromebookは、そう言いたげな端末に見えてきます。 いつでもどこでもクラムシェルラップトップを持ち歩いて、さっと開いてさっと入力する。それを実現しようという考えが、今回僕が読み取ったGoogleの思想でした。
インターネットの歴史を作ってきたGoogleだからこそ、考えついた答えなのかもしれません。
OfficeとTeamsで勝負したいMicrosoft
MicrosoftはWindowsを発表する以前から、Office製品を手がけてきました。初代OfficeがAppleのMacintosh向けに開発されたことも、今となっては有名な話です。
そんなOfficeと共にWindowsを作ってきたMicrosoftは、ネットブックと言う市場を作りました。これまでのラップトップよりも小さい、手軽に持ち運べるようなクラムシェル端末でした。 僕もモバイルガジェットには並々ならぬ情熱がありまして、SigmarionもWindowsCE機もW-ZERO3も使ってきた身です。もちろんネットブックにも飛びつきました。 僕のブログは元々、MSI Windというネットブックについての記事をまとめていたブログでした。それくらいネットブックには情熱を注いでいたものです。
しかし、ネットブックはiPadに敗れました。キーボード不要なデバイスとしてAppleがiPadを発表し、その手軽さが人気となったのです。
ここでMicrosoftも考えました。Windowsをタブレット化しよう。 そこでネットブックをタブレット化する流れが出てきます。 Windows8がその頃でした。ただし、タブレットに特化しすぎて、デスクトップOSとしてはあまりにも不便すぎる代物でした。Windows8の頃なんて、「スタートボタンは右クリックしてなんぼ」と言われたほどです。 そこから8.1、10と続き、Surfaceと呼ばれるMicrosoft純正端末を発売するようになっていきました。
ソフトウェアの面ではこれまでのOffice製品とは別枠でOffice365というクラウドサービスをリリースし、SunriseカレンダーやWunderlist、Skypeなどを買収しながらOutlookを進化させたりTeamsを作ったりしてきました。
そうそう、今でこそOneDriveと呼ばれているMicrosoftのクラウドストレージサービスですが、登場当初はSkyDriveでしたね。覚えていますか?
Windowsが代表格として世界を圧巻してきたMicrosoftですが、クラウドの時代を予見し、クラウドサーバー提供サービスであるAzureを初めて、Office製品もクラウドに移行しました。 ただ、つい最近になって、Office365と言うネーミングがブラックすぎたので、Microsoft365に名前が変わりましたけど。
そのOfficeを教育に応用しようと言うのがMicrosoftの思惑です。
働いたら、企業に就職したら、使うのはOfficeだよ?Word、Excel、PowerPointだよ?Teamsだよ? これまで企業の活動を支えてきたOffice製品を、そのまま教育に落とし込むことで、Office製品を使ったことがある大人が、ほぼそのままの操作感で導入できる素敵な教育ソリューションに移行できたのでした。
Microsoft製品の最大のメリットは、クラウド連携が手軽にやれつつ、オフライン環境であっても使えるということ。 そもそもインターネットに繋がることが当たり前になる時代以前からOffice製品はオフラインで動くアプリとして提供されてきたのです。 WIFIが貧弱な学校でも十分に使えます。OSがWindowsなら、クラウドにもローカルにもユーザーが作れます。
昔ながらの資産を踏襲しつつ、クラウドも取り入れた。それがMicrosoftの方向性です。
iPadを教育にそのままぶっ込んだApple
Microsoft編でiPadがラップトップとスマホの間部門で勝ったと書きました。しかし、当時のiPadは、まだまだメディア消費マシンでした。
僕はiPad2から買い続けてきました。確かに当時からkeynoteなどが入っていましたが、僕はあまり使えませんでした。PowerPointに慣れてしまった身としては、使い方があまりにも独特すぎました。
Appleが教育分野を意識し出したのは、実はiPadからではありません。AppleⅡの頃から学校に導入されていた学校があリマした。
ただし、iPhoneで培われたノウハウを活かしてiPadが発売され、さらにApple Pencilも登場して、いよいよ教科書とノートの代わりになるんじゃないかと言われるようになります。その後Appleは無印iPadの第6世代からApple Pencilに対応させることで、学校向けの安価なiPadを用意するようになりました。
あくまで物理キーボードはおまけと言う扱いで、これまでの紙とペンの代替となることを目指してきた。そんな印象があります。
個人的に素晴らしいと思うのは、iPadこそが、ChromebookやSurfaceと比べて、性能が桁違いに高いということです。 動画の編集でさえも手軽にやれてしまうその性能、AppleがiPhoneの開発で培ってきたCPU開発がここにも生きています。それがM1チップにも繋がりました。
iPadはApple製アプリをそのまま教育に生かすことも全然可能ですが、それ以外にもGoogleアプリもMicrosoftOfficeでさえもiPad版をリリースしていることが、GoogleもMicrosoftも、iPadの性能を認めていることに他なりません。
僕自身、コンピュータとしての性能が高いからこそ、iPadに感動し、使い倒そうと考えていたりします。 iPadだけを見ると歴史は他と比べて浅いものの、性能の高さと今後の変革性の高さから見て、楽しみだと言えます。 GoogleやMicrosoftにはない、ワクワクさせてくれる感じが、Appleの方向性には感じられます。
どこにも順応できる授業支援アプリ「ロイロノート」
Googleでも、Microsoftでも、Appleでもありません。日本のロイロノート社がブラウザからアクセスできるカード型ノートアプリ「ロイロノート」を学校向けに開発しました。 元々は映像編集アプリを開発していたらしいですが、今の印象はノートアプリ一色です。
現在ではブラウザからもアクセスでき、アプリ版もリリースされています。特にiPadやiPhoneと相性が良い作りです。Android版もありますが、中でブラウザが動いている仕組みです。
特に小中学校での導入が増えていて、GIGAスクール構想という波に乗って異様な盛り上がりを見せています。 データは自社のサーバーで管理されているので、使う端末を変えても変わらず引き継ぐことができます。
何より凄いのが、Google、Microsoft、Appleとのライバル関係を望まずに、共存していく姿勢が伺えるところです。 ちなみに、サポートページがScrapboxが使われていたりと、なかなか分かっているなぁという印象があります。 それに、採用情報を見る限り、かなり儲かっている感じもしますね。
今、とっても勢いのある会社です。株、買いたいなぁ。上場してくれないかしら。
知ると視野が広がり、見えてくるものがある
僕なりにGIGAスクール構想に乗っかろうとした企業の端末やサービスを使ってみました。iPad向けサービスでMetamojiなどはまだ使ったことがありませんが、主要な部分を抑えたと個人的には思っています。
特に端末を用意している3メーカーは、比べる対象にすることすら失礼なくらい、思想が違います。 ライバル関係にはあるんでしょうけど、どの思想にも共感できる部分があって、非常に興味深い。
巷ではiPad最高だの、現実的にはChromebookだの、ある意味宗教みたいな論争が起こっていたりします。僕はどれかに加担するよりも、全体を見る方が好きです。 例えばiPhone vs Androidという話題でも、僕は現在はiPhoneユーザーでしたが、昔はAndroidを使っていましたし、iPhoneとAndroid2台もち時代もありました。どちらも得て不得手があるので、どちらかに滅んで欲しいとは思いません。 気になることは全部試したら良いんですよ。
来週からGoogle Certified Educator Level 2の講習が始まります。とりあえずGoogle認定トレーナーを目指します。 いつか異動する先でGoogleClassroomが使われていても対応できるようにと考えての準備です。 準備のつもりだったんですが、知識が増えたことで視野が広がりました。GIGAスクール構想がよりメーカーサイドの思惑が見られるようになって、結構面白く思えてきました。
勉強は楽しい。Googleの次は何を勉強しようかしら。
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