意味のない会話の意味を知る
生きることにこだわりを。魚住惇です。
今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
## 意味のない会話の意味を知る
今働いている学校の職員室には、僕の席がありません。じゃあどこにあるのかというと、細かい学科に分散された、学科ごとの職員室です。担任の先生だけが普通科の職員室にも事務机が与えられます。
学科の職員室の規模は学科ごとで大小様々ですが、僕の席がある学科の職員室だと事務机の数は10。2x2の島が2つと、1x2が向かい合わせになっています。この最後の机2つのうち1つが魚住の席です。
勤務時間に関わらず、職員室では談笑する声が聞こえます。基本僕は、興味がある話題ではない限り参加することはありません。会話の内容は耳に入ってくるんですが、内容的に着地点が見つからないようなことだと、参加したところで意味はないなと思ってしまうのです。
そうでなくてもおびただしいほどのタスクが僕自身には降りかかっているので、会話をしている余裕などないのです。
一方で、僕以外にも今年度新しく赴任した先生も同じ職員室にいらっしゃるんですが、その先生はよく談笑に加わっている先生で、なんかもう打ち解けている感じ。間近で見ていると、「ああいうのがコミュ力というのか。すごいなぁ」なんて思います。そう思いながら、会話を聞きながらタスクを実行しているだけ。
なんでこんなに卑屈になっているかというと、
会話に参加しても「あなたに話してるんじゃないよ」的な空気なってしまう恐怖
自分が参加することで楽しい会話が白けてしまう恐怖
みたいなものがあるからです。楽しい時間を自分が参加することで台無しにしてはいけない。そう思うと、その会話に加わらずに仕事をしている方が有意義だと思えます。ああ、こうして圧倒的なコミュ障が出来上がるのです。
それとねぇ、内容を聞いていると、「内容の無い会話って意味があるのかなぁ」って思うんですよ。オタク同士の会話ではなく、普通の人たち同士での普通の会話。なんか僕は普通の会話のキャッチボールが苦手なんですよね。
また意味のない会話をしているなぁ。その会話の意味って何かあるのかなぁ。なんてことを思っていたら、togetterでこんなまとめを発見しました。
あ、ああ、ああああ。そういうことだったのね。あくまで、私はあなたの味方ですよっていう意思表示のために、なんてことない会話をするんだね。天気の話とか、そりゃもちろん予報は毎日チェックしてるからできなくはないけども、意味を考えてしまうと「なんで天気の話してんの」とか思っちゃうわけですよ。
いや、「他愛もない話をするモード」とかに切り替えたら、やるっちゃやるんですけどね。それもモードを切り替えないと咄嗟にはできません。また、逆にいうと僕が他愛もない話モードで話をし始めたとしても、周りが「魚住が話し始めたということは、何か含みがあるんじゃないか」と誤解されることも過去にはありました。コミュニケーションって難しい。
ひとまずTogetterでまとめられていた内容でわかったのは、意味のない会話に意味があったということ。どこか腑に落ちた瞬間でした。
これまで教師として働いている間は、例えば保護者会などで保護者の方と行う会話で困ったことはありませんでした。それはそう。会話の内容は生徒のことという、共通の話題がありましたから。
内容の無い会話の意味がわかったわけですが、やっぱり内容の無い会話というのは僕は苦手だなと思っています。相手から内容の無い会話を振られた時に、意味を考えてしまうんですよね。考えながら話してしまうと会話のテンポ、リズムが合わなくなり、相手が楽しくないと思ってしまいます。
そう、内容の無い会話で相手が求めているのはリズムなんですよね。
ちなみに、そんな僕にも唯一それができるタイミングがあります。お酒を飲んでいる時です。思考力が良い感じにアホになるので、ずっと「他愛もない話をするモード」でいられます。モードを切り替えるとか、演じるとか、そういうことまで考えずにいられるのは本当に楽ちんです。
ただ、体力が持ちません。お酒は少し弱い方なので、近頃は水とお酒を交互に飲むようになりました。そうまでしてお酒を飲みたいのかと聞かれたらYES。世の中には美味しいお酒がありますから。一定量を超えると寝てしまうので、育児に支障が出ないようにしていますけどね。
特に仕事中、誰かから話しかけない限り、僕からはあまり話しかけません。周囲で談笑している人がいたとしても、自分からその輪に入ることもほとんどありません。なんかそういう時って、それをBGMにすると結構作業が捗るんですよ。だから仕事に没頭しています。
側から見たら相当無愛想に見えるのかもしれません。でもこれが自分に振られたタスクを1つでも多く完了するための現時点での方法です。この方法でやっと、定時になったら職員室を出られます。家族のためにも、自分の体力のためにも、このスタンスを崩すわけにはいきません。
前任校ではそれでも話しかけてくれる先生方がちょくちょくいらっしゃったので、有り難かったな。またゼロから始まった人間関係の構築に、まだまだ難儀しています。
## 万年筆が育った
実は昨年度に購入した万年筆を育てていたんですが、やっと自分好みに育ってきたなと思えてきました。
ペリカンのスーベレーンM400から始まった万年筆人生も、もう9年ほど経ちました。M805、M1000とニブはどんどん大きいものが好みになるし、書きやすいなと思う軸は今では太い軸がしっくりきます。
今ではメインにしているものが1本と、気分転換にM805を使う感じになりました。このメインの1本というのが本当に曲者でした。インクの粘度や表面張力を気にしなければならないほどに、最初はインクが出てくれなかったんですよ。
いや、正確に言うと、最初に吸入したインクでは普通に出てくれていました。むしろ出過ぎかと思うくらいです。油断していると字が滲んでしまうので、ちょっとなぁと思うほど、フローが良好でした。ただその色そのものは自分の好みではなかったので、早く使い切って自分のお気に入りを入れたいなぁと考えながら書き続けました。
で、ようやくインクを使い切って、インクが変わるので一旦洗浄して。それでお気に入りのインクを吸入したというわけです。
ちなみに今のメインのインクはペリカンのロイヤルブルーです。Amazonだと62.5mlで1500円ほどで購入できるので、万年筆のインクにしてはコスパが良いなと思います。少し前までは1300円で買えてたんですけどね。
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これを大体、5日に1回吸入します。今のメインはピストン吸入式なのでそこそこ入ると思いますが、それでも1週間もすればタンクの中はほとんど空です。インクカートリッジ式の万年筆だったらもっと早く使い切ります。早くて3日くらいです。
インクカートリッジに対応している万年筆を吸入式として使うためのコンバーターというものがありますが、あれは本当に自分に向いてない。ピストン機構をそのままカートリッジの大きさにしてしまうと、その分入れられるインクの分量が減ります。
キングプロフィットSTを使っていると、インク残量が常に気になってしまって、本体ネジを回してインクの状態を頻繁に確認していました。何回もバラすと、その分本体を痛めるよなぁってのはわかるんですが、インク残量が気になってしまうと一気に集中できなくなってしまって、確認しないと先に進めなくなってしまいます。
その点、ペリカンの万年筆で、しかも僕が使っているのはデモンストレーターなので、インクの残量を常に見ながら書けるというのが精神の安定につながりました。
でも今のメインがね、ペリカンのインクを入れた途端にインクがスキップするようになってしまって、もうこれがここ最近まで悩みの種でした。どうしたインクでてくれるの。なんで出ないのって。
よくあるパターンだと思うんですが、書き初めに必ずインクが出ませんでした。そして書いているうちに出るようになって、ああインク出てくれるじゃんと思う頃にはまたインクが出なくなるんですよ。もうイライラしまくり。
この現象はインクスキップと呼ばれているもので、特に海外の万年筆で日本語を書く際に起こるんだとか。いやいやそうは言っても、ペン先を紙に触れさせて、点を書こうとすると、その時はその時でインクが紙についてくれるもんだから、もう僕では説明できない状態でした。
ペン先にティッシュが触れたら、これまた普通にインクが滲んでいくんですよ。ということはインクそのものはペン先まで流れてきているんだなってことが確認できました。
こうなるともう仕事にならなくてね。ノートに万年筆で書くことと言えば、「あ、今ならインクが出てくれる。あ、また出なくなった。」みたいなことばかりが頭に浮かんでくるので、ノートに書き出した内容も大体そんな内容ばかり書いていました。
それでもこうして無駄なことを書いてでも、早くペン先に育ってほしくて。自分の書き方や筆記角度でインクが出てくれるようにペン先が磨耗してくれるのを信じて書き続けました。それでも改善されることはありませんでした。
結局その後、1回ペン先を取り外して中身を洗浄してみることにしました。とはいえペン先をバラすと組み上げるのが大変そうだったので、あくまでペン先のユニットをそのまま取り外しただけです。ニブそのものはバラしていません。ただこれも状況変化せず。
こうなりゃやけだ。そう思って、ペン先ユニットを水を入れた紙コップの中に漬け込んで2時間くらい放置しました。するとその後、潤沢なインクフローの万年筆に仕上がったのです。
これだぁぁぁぁぁ。求めていたのはぁぁぁぁぁ。
とも思ったのですが、まだまだ紙に擦れる感じがちょっと気になって。今もなお書き続けています。それにしてもペン芯を水につけておくだけで、ペン芯の中にあるインクが溶けてフローが良くなるなんて。
プリンターに例えると、インクでインクを洗い流すヘッドクリーニングよりも、分解洗浄の方が効果があったということですね。まさか本当に効果があるとは思いませんでした。
万年筆の旅は、まだまだ終わりそうにありません。インクはもうお気に入りのがあるし、ノートもある。あとは万年筆だけなんですよね。それでもPenBBSとか見ちゃうと、1本くらい持っておくか。なんて思ってしまうんですよね。
現代での万年筆の用途って、実用筆記の世界にはあまりありません。ボールペンや擦ったら消えるインクのペンが主流の今では、わざわざ万年筆を使うことのハードルがとても高いと思われがちです。そもそも愛用者の人口が少ないんですよね。
それでもちょっとはわかってくれる方がいらっしゃることを信じて、こうして定期的に万年筆についての現状などを書き溜めています。
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