最先端は、楽しい
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
ラズパイで始める仮想化
先日、友人と一緒に仮想化環境を触ってきました。パソコンでいう仮想化というのは、1台のパソコンの中で複数のOSだったり、複数のパソコンを使うような技術のことです。なんのこっちゃ?ってなりますよね。
普通はパソコン1台で1つのOS (WindowsとかmacOSとか)が動いていて、それを使っています。仮想化という技術を使ったアプリを使うと、1台のコンピュータの中で複数のOSが動きます。ざっくり言うと、パソコンの中に小さなパソコンがあるようなイメージです。
企業ではこれらの仕組みを使うことが当たり前になってきているようで、例えばパソコンが1台必要になったというときでも、仮想上に1つOSを用意して、その中で使ったりします。何か新しいことを試す時にも活躍します。
MacでWindowsを動かすためのアプリというのも仮想化が使われていて、VMWareやParallelsという名前が有名です。
特に最近話題となったのが、VMwareという仮想化アプリを提供しているメーカーがブロードコムという会社に買収されて、その後値上げが発表されたことでした。
最大20倍の値上げも、ブロードコムのVMwareライセンス変更で顧客から悲鳴 | 日経クロステック(xTECH)
知的生産界隈で言うとEvernoteの値上げも記憶に新しいことかもしれません。思えばGoodNotes6も買い切りかサブスクかを選択するようにもなっていました。
昔は大きな四角い箱を買うことが、アプリを買うことでしたが、今ではそんな買い切り型のアプリも少なくなってきました。
値上げが発表されるとどうなるのか。当然そのまま使い続けるのか、他に移行するのかの選択に迫られます。僕も結婚して今の地で生活するようになってから、2回ほど美容院を変えました。どちらもきっかけは値上げでした。今ではシャンプーなしカットのみ2200円というお店を見つけて、本当に満足してます。
で、VMwareの値上げが他にも波及してしまったようで、企業で複数のOSを運用しているところではサービスそのものの値上げにも発展しているようです。
VMware問題でIIJやNTTコムなどが大幅値上げ、クラウド料金が2~3倍になる場合も | 日経クロステック(xTECH)
そこで代替アプリがないか探したときに、友人が話題にしていたのがProxmoxというアプリでした。これまで聞いたことがないアプリでした。
僕がこれまで使ったことがある仮想化アプリは、WindowsやMacが入っているパソコンの中で使うタイプのものでした。Macを使いながら、アプリの中でWindowsを使うようなイメージです。
でもVMwareやProxmoxというのは、パソコンそのものにはそれ専用のOSが入っていて、そこから複数のOSを立ち上げるタイプのものです。
実際に見せてもらったんですが、1つの画面に複数のパソコンの画面が映し出されていて、それぞれが触れる感じです。ワークステーションと呼ばれるハイスペックなパソコンには最小限の仮想化用のOSを入れておいて、その中でいろんなOSを入れて使うそうです。
この仕組みを導入するメリットは結構あります。普通ならパソコンを導入するとなると、本体そのものを用意しなければなりませんが、単にアプリを動かすためだけの画面が欲しいのなら、ものを増やさなくても用意できます。アプリを作ったりするときに使うテスト環境を用意するのに打ってつけです。
何よりこの仕組みを複数台のコンピュータを組み合わせて使うことで、その中の1台のコンピュータが故障して壊れてしまっても、中で動いているOSを残りのコンピュータで動かし続けてくれます。
普通なら、そのパソコンが壊れてしまったら別のパソコンを用意する必要があります。ですが複数で運用することで、トラブル発生時には片方だけで動き続けることができるわけです。
この仕組みを用意するためには、まずはこの仮想化のための専用のパソコンを用意する必要があります。またあんたはパソコンを増やすのか!と言われそうです。でもやってみたい。
そう思いながらネットで調べていると、どうやらProxmoxという仮想化アプリは無料で使うことができて、しかもRaspberry Piで動かしている人たちがいることをブログなどで知ることができました。
Raspberry Pi 5: Proxmox VE 8系のインストール手順 - RemoteRoom
こちらを参考に、ラズパイ5にM.2 SSDの2TBを挿した状態でProxmoxをインストールしてみました。
ああ、素晴らしい。ラズパイの上で、UbuntuとFedoraのコンテナが動いている。まぁ似たようなことはDockerでもやれると思いますが、ブラウザからそのまま操作できるのは素晴らしい。もちろんiPadのSafariからも動かせます。
ただ現状試せているのはあくまでコンテナで、VMマシンが起動できたわけではありません。UbuntuのARM版のISOを元にVMを作ってみたんですが、マシンそのものは起動してくれませんでした。でもまぁ、いっか。コンテナだけでも起動できたんだから。
これが自宅にあればね、いつでもLinuxが触れる環境が用意できるってことですよ。できればiPadのローカルで動いてくれると嬉しいんですけどね。iPadでできないことは、iPadの外でやるしかありません。
でも流石にここから本格的に運用するとなると、ラズパイでは性能不足を感じぜざるを得ません。どうしようかな。そこそこな性能のミニPCでも買おうかな。
おっといけない。最近ますます出費が続いているというのに、また新たな散財を始めようとしてしまっている。こういう最先端のデバイスを好き勝手に動作検証する、研究費というものが欲しくなります。あったらいいなぁ。年間決まった金額の中で、研究活動を行うの。
授業でChatGPT、使い始めました
昨年度、文科省が授業での活用についてのガイドラインを定めた生成AI。勤務校でもようやく授業での活用を始めることができました。
僕自身はというと、今はClaudeに課金中です。もうなしでは生活できません。MicrosoftのCopilotもですが、ここ最近の生成AIは、トークンの量によって制限がかかります。わかりやすく言うと、使う頻度です。
最初はClaudeを無料版の範囲で使っていたんですけどね。でも込み入った相談をしていたり、回数を重ねることで良い内容を出力させようとすると、どうしても無料分を使い切ってしまい、数時間ほど待たされることになりました。
これでは使いたいように使えないなと思ったので、課金した次第です。なんだろう、出会い系サイトのサクラにそそのかされて、続けてメッセージのやり取りを行うために泣く泣く課金する感覚に、どことなく似ている気がします。
でもいいんです。これで。自分が使いたいように使うことで、確実に進めることができた仕事もありましたから。
Claudeそのものは18歳未満は利用禁止なので、授業で生徒に使わせるのはChatGPTにしました。コンピュータ室のクライアントから一度に大量のアクセスを行うとログインを求めてくるので、GIGAタブレット端末の出番です。
ちなみにどのクラスでも、5人くらいはユーザーアカウントを登録して、利用したことがあることがわかりました。多数派ではないものの、既に使っている生徒がいるんですね。履歴が残るメリットもあるので、僕はユーザー登録を勧めてみました。
これまで出ていた出版物や、活用事例などを見てみると、既に誰かが作ってくれた良いプロンプトが山のように出てきます。子供達はそこまでたどり着くことが、できるかなぁ。
授業で生徒が使うからには、主な目的は学習支援です。子どもたちが勉強進めるときのサポート役としてChatGPTを使うことを想定しています。
ChatGPTが登場した時は、それこそネットではどんな文章を入れたらどんな回答が返ってきたのかという事例のスクショが多く拡散されました。今では効果的に活用するためのプロンプト集を企業や自治体が無料で配布してくれていることもあります。
勤務校では既に職員向けの研修を、昨年度に学校に来てくれたICT支援員さんに実施していただきました。あれから先生方が校務に使っていたり、授業中に使っている事例はあまり聞いたことがありません。
あれから年度が変わりましたが、1年生の保護者の方は全員、子どもが授業中に生成AIを活用することに同意してくださったので、情報Ⅰで活用する目処が立ちました。これ逆に考えると、同意書出したのに使ってないってことになったら、それこそご指摘の材料です。
この段階まできたら、危険性がどうのとか、悪影響がどうのなんて言っていられません。むしろ正しい使い方の習得が求められます。僕自身そこまで生成AIに長けているとは自信を持っては言えませんが、授業で活用するための土台が出来上がった今、やっと子どもたちに活用方法を模索させることができるようになりました。
飛行機が発明された今では、いくら墜落の危険性があるからと心配されても、飛行機そのものがなくなることはありません。ただし、GIGAスクール端末だと話は別で、あまり効果的ではなかったから紙の教科書とノートに戻そうよなんて言い出す人たちがいます。
でももう戻れないんですよね。もう。生成AIがなかった頃の時代には。だからせめて、そんな社会に参画していく子どもたちには、なるべく多くのことを経験してから卒業してもらう。何か新しいことを授業に導入する際は、なるべくこの考え方で動くようにしています。
ChatGPTを授業中に子どもたちが使う光景が当たり前になれば、これまで僕が答えていたような知識を話すような場面が、割と減るんじゃないかと思っています。教科書に載っているようなことをただ話すだけの先生が、必要とされなくなるわけです。教師側が、確実にこれまでの考え方のままでは過ごせなくなります。
自分で高いハードルを目の前に置くスタイル。僕は嫌いではありません。
それとね、全員の保護者から同意書を集めるのって、めちゃくちゃ大変なことなんですよ。1年生の担任の先生方には本当に感謝しています。中には未提出の生徒の保護者に電話までしてくださっていた先生もいて。この学年は、本当に新しいことに意欲的に取り組んでくださるし、何事も前向きに協力してくれるんだなと、温かみを感じます。
いくら自分が普段から生成AIを使っているからといって、すぐに授業に活用できるわけではありません。周囲の先生が協力してくれて、保護者からも理解されて、子どもたちも前向きな気持ちになって、初めて新しいことが実現できます。
こりゃ失敗するわけにはいかないわ。そんな程よい緊張がありながらも、僕は今、ワクワクしていますよ。
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