ガンプラとマイコンカーはロマンの塊
生きることにこだわりを。魚住惇です。
今回はロマンについてです。一般的な解釈としてロマンとは、夢や理想を追い求める心情や情緒を指します。物語とかだと現実離れだとか理想の実現に使われるんですけどね。まぁ大体似ています。
統計的なアレはおいといて、女性が現実的であることに対して、男性がロマンを求める傾向が魚住調べでは明らかになっています。また、ロマンを求める傾向の強さは、その精神年齢にも指数関数の右肩下がりのグラフのようになると思っています。いくら男がロマンを求める存在であっても、加齢とともにその求めるエネルギーが下がっていくと思うのです。
ロマンを追い求めるエネルギーが現実的判断と交差する時が妥協点だと言えます。僕自身も結婚した身であるため、今後追い求められるロマンには妻の現実的判断や、許容される範囲内という条件が課されることになりました。要するに金と時間ってことです。
一応自覚はあるんですよ。妻は僕に振り回されながらも、「仕方ないわね」と大抵のことは許してくれます。そして僕もまた、様々な要素を吟味しつつ許容範囲内に収束させます。それが死ぬまで隣に寄り添ってくれる妻への礼儀というものです。
ただ現実的な選択をすることにロマン要素が皆無かと言われると、全然そうではなくて。今では現実的な判断をするゆかさんを、如何に気を悪くせず、現実的な判断をしたように見せ、ロマン側の選択に持ち込むかというのが新しい趣味になりつつあります。財務省とて実際に動かしているのは人なのです。
今回のお話は、そんなロマンのお話です。ちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
6歳と作るMGガンプラ
「誕生日、ガンプラが欲しい」11月19日、まさしくこの配信日に6歳の誕生日を迎える長男が言いました。我ながら完璧な英才教育です。
ただ、販売されているガンプラの対象年齢は最低でも8歳以上なので、ニッパなどの工具を使う部分は僕がやり、簡単な組み立てのみやらせていました。
ガンプラにはいくつか種類があり、部品の細かさや作りやすさで対象年齢が異なります。ここ最近は次男がゴジュウジャーのおもちゃで変身ごっこ遊びをするようになったので、長男は卒業気味になりました。
アンパンマン、スーパー戦隊、仮面ライダー、ウルトラマンなど、男の子が夢中になるコンテンツは変化していきます。そのおもちゃで遊ばなくなったときが、卒業のときです。
そして、「誕生日プレゼントにガンプラが欲しい」と言ってくれたそのときこそ、僕は息子がヒーローごっこのおもちゃから卒業するときが来たんだと実感しました。少し寂しい気もしますが、育児での新たなステージがやってきたんだなと思います。来年には卒園です。
もう変身ごっこ遊びを一緒にできないのか。という一抹の寂しさを味わいつつも、心の成長を感じ取った出来事でした。
ともかくガンプラを欲しいと言ってくれた。この願いを叶える必要があります。まずは中古ガンプラショップに行って、誰かが組み立てた後のガンプラが大量に売られている売り場を見に行きました。ガンプラは戦争を題材としたアニメなので、ドラマ性が高い本編はまだ見せていません。少し残虐ですしね。なので、まずは売り場で売られているガンプラを眺めてもらって、欲しい形のものを決めてもらうことにしました。
最初に選んだのは、トールギスでした。うーん、渋い。しかもこれはガンダムではない。
RG 1/144 トールギス EW|バンダイ ホビーサイト
※参考URL
「これはガンダムじゃないよ。それでも大丈夫?でも、これはウイングガンダムの元となったすごいやつだから、これは良いと思うよ。あとは他にもかっこいいやつがあるかもしれないから、もう少し探してみようか。」
それからしばらく歩いてみて息子が興味を示したのは、エアリアルでした。
HG 1/144 ガンダムエアリアル|バンダイ ホビーサイト
どうやら関節部分のキラキラが気に入った様子。
「これはガンダムエアリアルだね。優しい女の子が操縦している、きれいなガンダムだね。でもこれなら誕生日プレゼントじゃないときでも買ってあげるから、今回はもっと大きなやつを選ぼうか。」
「じゃあお父さんがこの前作ってたやつの、もっと大きいのがいい。」
「あ、あ。まって、それはちょっと飾るのも大きいし、これにしたらお母さんに怒られるよ。これはもうちょっと、大きくなったら買おうか。」
「これかっこいい。これがいい。」
MG 1/100 RX-0 ユニコーンガンダム|バンダイ ホビーサイト
おー、1/100というそこそこの大きさで、しかも作り甲斐のあるMG。しかも誕生日プレゼントくらいの価格でグッド。
「ユニコーンガンダムね。これなら変形もできるし、お父さんも作るの手伝える。白くてかっこいい。これにしよう。」
というわけで、MGユニコーンガンダムにしました。
ユニコーンガンダムはガンダムの中でも結構人気機種で、限定版プラモデルも数多く販売されています。かれこれ10年以上前のアニメですが、未だに人気が絶えません。
どうせならユニコーンガンダムの中でも選択肢を増やしたかったので、ガンダムベース名古屋やヨドバシなどにも足を運んでみました。ただ昨今のガンプラの品薄が影響していることもあって、ガンダムベース名古屋にはガンダムベース限定ガンプラがほとんどありませんでした。人気商品の再販品も在庫なし。少し拍子抜けでした。
というわけで、以前行ったことのある某所のプラモデル屋で、MGユニコーンガンダムを購入しました。近頃再販があったモデルなので、割と手に入りやすいキットでした。
ニッパでパーツを二度切りするのは僕が担当。小さい部品同士をくみ上げるのもこちらで。それらのパーツ同士を取り付けていくのを息子担当にしました。新たなロマンへの出発です。
ガンプラは買って終わるフィギュアとは違います。作って、組み立てて、シールを貼って。その工程を踏むことで愛着が生まれ、完成とともに味わえる達成感。既製品では味わえない試行錯誤がプラモデルにはあるのです。
1つ後悔するといえば、PG(パーフェクトグレード)という1つ3万円ほどするキットを買ってあげられなかったことかな。誕生日で買ってあげるガンプラはロマンとか言いつつも、ここは妻と上限を決めました。まさにロマンと現実が交差した範囲内です。
親子で一緒に作るガンプラを通して、長男はどんなことを思い、何に苦労し、どんなことに喜ぶのか。新しい親子の物語が始まるのかと思うと、すごく楽しみです。
ジャパンマイコンカーラリーというロマンの塊
続いては職場で見たロマンのお話です。この前の土日、久しぶりにどちらも学校に出勤しました。土曜日は勤務校の文化祭、日曜日は「ジャパンマイコンカーラリー」の大会会場の係員として働きました。工科高校で情報デザイン課に席があると、こういう仕事も回ってきます。
正直、日程的に引き受けるんじゃなかったなと後悔しました。何せ新居の引き渡しが21日に迫っていますから。この配信日時点でまだ荷造りが終わっていません。どうすんのこれ。
でもね、それとは別に、この「ジャパンマイコンカーラリー」という競技に魅せられてしまいました。なんというロマンのぶつかり合いなのでしょう。少しだけこの競技について語ります。
まずこの競技はどんなものかというと、Arduino基板に電池とモーターとタイヤとセンサーをくっつけて作ったミニカーを、白線の上をたどらせてコースを走らせる大会です。コースアウトせずに走らせることや、完走したらそのタイムを競います。
マイコンカーの見た目はミニ四駆よりも大きく、電動RCカーほどの見た目をしています。ただしボディをつけていないので、基板や骨組み丸出しで走ります。面白いのは、車体の先端に白線を読み取るセンサーをつけていて、そこでラインをトレースしながら走るという点です。
つまり、車体の先端に「目」に相当する部品が付けられていて、走りながらカーブを検知して、即座に前輪の角度を変えたりするわけです。マイコンカー自体はコースの全体を知らずに走るので、すべての反応が反射だとも言えます。目の前の線が曲がったからその方向にハンドルを切る。目の前の線が直角に曲がるからそっちの方向に動く。
聞く話によると、トレースしたラインの通りに走るには、PID制御というのが用いられているそうです。比例・積分・微分を用いて制御することで、変化率や変化の差を計算しながら旋回時車体のふらつきを抑制するんだとか。普通科ではただ単にグラフを見ているだけの微積分が、工科高校ではマイコンカーの制御として実際に応用されているわけですね。
Arduino基板なので用いられているプログラミング言語はCです。選手たちがアルゴリズムを駆使して効率よくライントレースさせ、その速さと正確さを競っていく姿が、本当に見ていてただただ感動していました。
この大会で担当したのは、スタート・ゴール地点のゲートのカメラ撮影です。ゲートにはセンサーが取り付けられていて、タイムそのものは専用機で計測します。これのバックアップとして審判員長がストップウォッチを構え、さらにそのバックアップとしてiPadのカメラでスローモーション撮影を利用しました。
なので僕の当日の仕事といえば、選手がコースにマイコンカーをセットしたタイミングでiPadのカメラアプリの撮影ボタンをタップして、ゴールの1秒後くらいに撮影を止める作業を繰り返すことでした。
周囲の先生は結構この係に割り当てられた僕に同情されていて、「車が走るたびにiPadの同じ操作を繰り返す単純作業、辛いよね」とか「睡魔との戦いだよね」などと気を遣ってくださいました。
とんでもない。僕からしてみたら、もうどのレースもめちゃくちゃ面白くて、感動して、ときには涙が出そうになるくらいのドラマがありました。その光景を他の観客の誰よりも近い場所で、じっくりと見ることができた。もうそれだけでお腹いっぱいになったんですよ。
僕のとって、プログラムというかスクリプトは、ほとんどソフトウェア上での処理しかやったことがないので、プログラムで動いているマイコンカーを見るだけで感動してました。しかもそのプログラムの内容だって人によって工夫している部分が違うわけなので、腕の見せ所です。他の車よりも正確にラインをトレースするにはどうしたらいいのか。加速や減速をどう制御するのか。そんなことをずっと試行錯誤を繰り返してきた車が走るんですよ。もうワクワクせずにはいられません。
マイコンカーのデザインも人によって全然違います。単三電池をどれくらい積むのか。車体のどの部分に搭載させるのか。タイヤの径はどれくらいにするのか。タイヤを取り付ける場所はどこが良いんだろう。同じ基板で走らせる車のはずなのに、どのマイコンカーもデザインが微妙に違います。
聞いた話では、上位層の選手はモーターのエナメル線を巻き直しているそうです。ギヤも自分が納得いくギヤ比があり、自分で金属加工して作るんだとか。ボディだって、アクリル板を加工して作ったものもあれば、カーボンを用いているものもあります。細かい部分を見れば見るほど、その作り手のこだわりが見えてきます。
そして実際に走行している光景は、本当にドラマの連続でした。カーブを曲がり切れずにコースアウトしてしまったり、制御のミスにより逆の方向に曲がってしまったり。走行中の選手の動きも様々です。コースアウトする可能性がある場所に一目散に駆けていき待ち構えている選手もいれば、コースの横を一緒についていく選手もいました。一緒についていく様子を見ていると、ミニ四駆の漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』を思い出します。みんな時間と努力を惜しみなくつぎ込んだマイコンカーを走らせていました。
スタート地点に車を配置するときの真剣な眼差しや、コースアウトしてしまったときの悔しい表情も見どころで、近くで見ていたこちらにもその緊張感が伝わってきます。コースを完走した際は会場では拍手が起こります。最初はこの拍手にもびっくりしましたけど、コースアウトがあまりにも多いのを見て、ラインを最後までトレースして走り切ることが、相当難しいことなんだなというのも理解しました。
昨年の全国大会で走行したマイコンカーが、実際どんな仕様で作られたのかは、公式サイトで公開されています。
こうして見てみると、結構情報が公開されていて、事前に学べることが多く用意されています。高校生がこんなえげつないマイコンカーを設計して走らせているのも驚嘆です。自分なんかよりすごいことを、この子たちはやってのけている。今よりも早く走らせるために何を工夫したらいいのか。そんなことを毎日試行錯誤してトライ&エラーを繰り返しているなんて。帰宅部でだらだらスマホゲームに時間を奪われている高校生と比べると、その差は歴然だと思います。
工科高校って、こうした普通科にはない分野の大会があって、僕も割と近いことには興味があって。もう魅力に取りつかれてしまいました。見ていて本当に面白い。知識と経験がぶつかり合って高みを目指していく姿は眩しくて美しい。他のスポーツとも引けを取らないくらい素晴らしい。そんな新しい世界を見た気がします。
そりゃ興味がない人からしてみたら、そんなミニカー走らせて何が面白いのってなるでしょう。でもそれは野球とかサッカーも同じはず。興味がない人にとっては、どれもつまらないもの。僕はたまたま趣味でArduinoとかいじってきて、それらが実際に動力に信号を伝えている様子を見て感動していました。それを真剣に頑張っている生徒たちの姿も、涙腺を直撃しました。
僕が教師として働いているからかなぁ。人が真剣に頑張っている姿って、美しいと思うんですよ。努力している姿は美しい。極めるための惜しまない努力ができる人は本当に尊敬します。あの職人技に到達するには何年かかるだろうとか、そういうのを考えるのも楽しい。
そこにはガチャでレアを引いたとか、そういう運要素ではなく、絶え間ない努力と高い志があったんじゃないかと思うわけですよ。だからこそコースアウトしてしまったときには悔しい想いをするだろうし、完走できたときには選手の応援に駆け付けた同級生たちが熱い声援を送ったりもしていました。工科高校にしか見られない競技だと思いますが、構造はスポーツそのもので、見ている人たちは感動していたと思います。
まだまだ知らない世界があるもんだなぁ。ちょっと僕もそのマイコンカー、作ってみたい。こだわりをつぎ込んでみたい。工科高校って本当に面白い。そんなことを思わせてくれる土日でした。
なんだかんだでね、僕の周りってロマンで溢れているんじゃないかと思ったわけです。しかもどのロマンも積極的に手招きしてきます。どれもやってみたい。チャレンジしてみたい。あぁでもまたゆかさんに叱られるのはだめだ。そんなロマンと現実が入り混じっている今が楽しいですよ。
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