生きることにこだわりを。魚住惇です。
先週も書いたかもしれませんが、昨日が勤務校の終業式でした。 同業者の方も、保護者の立場の皆様も、お疲れ様でした。 小中学生の児童生徒がいらっしゃる家庭では、今日から子どもたちの分の昼食を用意しなければなりませんね。
高校では終業式の前日までの4日間を保護者会期間としていて、授業は午前中だけでした。 担任の先生方は保護者会に専念するわけですが、副担任はというと、部活動指導か、もしくは校務に時間を割くことができる貴重な時期です。
僕は今年は副担任なので、部活動の活動場所で過ごし、生徒を帰したあとで校務に専念してました。主に2学期の準備です。 とはいえ部活動が通常日程よりも早く終わっているため、勤務時間終了とほぼ同時に帰宅できていました。普段よりも体と心に余裕がありました。
今回はその保護者会期間中の4日間で、僕が見出そうとしていた新たなこだわりに、お付き合いください。
内容が頭に残る読書法の模索
読書は好きな方です。小学生の頃から図書室はよく行っていました。情報整理系の本を初めて読んだのは大学1年の頃に手帳選びに苦労して、超整理手帳に辿り着いたことがきっかけでした。野口悠紀雄先生の超整理法を読んだのもその頃でした。実際に大学を卒業するまで、押し出しファイリングで書類を整理していました。
しかし、その頃読んだ内容を覚えているかと聞かれると、ほぼ覚えていないというのが正直なところです。大学の行き帰りの電車の中で読んでいた本の内容も、ほとんど覚えていません。今あるのは、その本を「読んだ」という感覚だけです。
『知的生産の技術』に書かれた内容の中で、「本を読んだ」と「本を見た」とで表現を区別していたのを思い出しました。ひょっとしたら最初から最後まで「本を読んだ」はずなのに、記憶が薄れていくにつれて「本を見た」レベルにまで落ちてしまうんじゃないかって、最近になって思うようになったんですよ。
教養として学べたと言えるレベルとは、その本を読んだ者同士が、本の中に書かれたことをある程度理解した前提で会話できる程度だと考えています。しかし「本を見た」レベルだったり、もはやタイトルしか覚えていないレベルになってしまうと、読み終わった直後の人と「本を読んだ」レベルでの会話が成り立たなくなります。
ここ最近思うのが、自分がそうなってしまうのが、嫌だなってことです。せっかくお金を出してその本を買ったのに、数ヶ月の間に「本を見た」レベルにまで記憶が薄れてしまう。これが勿体無いなと思うようになりました。
記憶の劣化を防ぐために取れる行動としての代表格が「読書メモ」です。
一言で言うと、読書して自分の脳が反応した部分だけを切り取ってまとめたものを作ることです。
本の内容を思い出そうとして、本そのものを見るのではなく、自分がまとめたものを見る。自分がまとめた内容を見ることで、霧がかかっていた記憶が鮮明になってくることを狙った手法です。
これをやるためには、「読書メモ」を作らなければなりません。そして問題は、どういう手法で、どんな「読書メモ」を作るかです。
紙の本を買うようになったきっかけ1
『知的生産の技術』では、1回目の読書では、本文中の気になった箇所を鉛筆でハイライトし、2回目の読書でハイライトした部分だけを読み、カードにまとめるという手法が紹介されていました。
まずこれを、紙の本でやってみようと思いました。Kindleアプリでハイライト作業を前提に読書をしようとすると、どうも手間だと感じるんですよね。長押ししないといけない。ページめくりのジェスチャーと区別する必要があるのはわかるんですが、鉛筆を持ちながら紙の本を読む方が遥かに楽でした。それと、ハイライトだけじゃなくて、文章に対するツッコミやメモ、疑問点などを気軽に書くとなると、電子書籍よりも紙の本の方が都合が良いなと思ったのです。
iPad1枚あれば何百冊の本を持ち歩くことができるというメリットも確かにあるんですが、紙であることの方が便利な点に気づけたのは良い発見でした。 ただ、紙をめくる感覚が良いよね、とか、紙の質感が良いよねとか、僕はそういうことには一切共感できません。流し読みの効率は明らかにデジタルの方が良いです。
ただどうしても、ハイライトやメモを残すことを考えると、紙の本の方が良いなと思ったわけです。なのでここ最近は、紙の本を選んで買うようになりました。
紙の本を買うようになったきっかけ2
紙の本を買うようになった理由はもう1つあります。読書という趣味を共有できる同僚と親しくなったことです。
今年度になって新しい学年に配属され、職員室内の席替えが行われました。昨年度までお隣さんだった方は同じ学年ではなくなったので、僕の周囲で新しい人間関係が始まりました。
今年度の4月から僕の隣の席になった先生が、僕よりも本を読む方だったんです。これまで同じ学年で仕事をしたことがなかった先生でしたが、席が隣になったことで、これまで以上にコミュニケーションを取る機会が増えました。
そこで分かったのが、かなりの分量の本を読まれているということ。僕も人並みには読書をしている方だと思っていましたが、それ以上のペースで驚きました。僕の場合は子供が小さいこともあって、やっぱり日中は読めないよなぁというのもありますけどね。
お互いに本を読む人同士が隣の席になったら何が始まるのか。本の貸し借りです。まだ読んでいないタイトルの本を相手に貸すわけです。妻のゆかさんは図書館で本を借りることはあっても買うことがないので、本好きな2人が出会うことで実現する「本の貸し借り」習慣というのを人生で初めてやりました。
本の貸し借りが始まると、本の買い方に変化が出てきました。これまでは本を買う際は必ずと言って良いほど電子書籍でした。Kindleセールの時に買ったり、自分が気になる本を見つけた時に本を買っていました。ところが電子書籍は他人に貸せません。端末ごと貸すことも現実的ではありません。Kindleでこれまで買った本全てを曝け出したいわけでもありません。ということもあって、最近は貸したい本であれば紙で買うことが増えました。自分にしか興味がないだろうなという本は電子書籍で継続して買っています。 それともう一つ、買う本を選ぶ際に、「これはあの先生も興味が出そうかな」という基準が僕の中に追加されました。自分のためだけに「本を買う」という行為をしていたのが、「あの人も興味が出そうな本で、自分も読んでみたいと思うのなら、買ってみようかな」と思うようになったのです。そういう条件で買った本をお互いに貸し借りしている状態なので、この考えで本を買おうとすると実質半額という気分を味わえます。紙の本を買うハードルが下がった気がします。
たまに、この感覚で本を買って「貸しましょうか?」と申し出ると「ごめんなさい、その本もう電子で読んだんですよー」と言われることがあるんですけどね。少し前に話題になった本は注意が必要です。
そしてもう一つ。人から借りた本って、「早く読み終わって返さなきゃ」って心のどこかで思います。これが読書の時間が増える要因となっています。
ゆかさんはコスパを重視しているので、僕がスイーツを早く食べ終わってしまうと「もっと味わって食べてよ!勿体無い!」と怒ってきますし、千円以上の本を買ったその日のうちに読み終えてしまうと「もっとちゃんとじっくり読んでよ!」と言ってくることもあります。どうやら効率化を図るよりも、時間をかける方が正義だと考えているようです。
それと比べて借りた本は、早めに読んで早めに返さなければなりません。人の所有物ですから。そう考えると、読書の時間をこれまで以上に確保せねば!という気になってきます。ただしこの本の貸し借りには終わりがないので、返したら次の本が待っています。つまり、これから少なくとも来年の3月までは、本を読む機会が増えることが決まっています。
この習慣、なかなか良いものでして、「タイトルとしては興味があるんだけど、買うほどではないなぁ」的な位置付けにあった本を借りる機会が増えました。向こうも僕の好みのジャンルやテーマがわかりつつあるので、お互いにメリットがあります。
ハイライト方式からメモ帳に記録しながら読書方式に変更してみる
本の中で気になった箇所を鉛筆で線を引くことでハイライトし、後からそこだけ読む。この方式もある種の正解だとは思っています。ただそれだと、1回目に読む時が流し読みのような感覚になってしまって、頭に入ってこないことがありました。
それなら順番を変えてみるかと考えて、最初からメモを取りながら読み進めてみることにしました。
これが、なかなか効果的だなぁと実感しています。本を読みながら、アクセスノートブックに内容を万年筆で書いていきます。もし疑問があったり、思うところが出てきたら、そのコメントも一緒にメモしておきます。これなら紙の本でもKindleの本でも同じようにやれます。
この手法で有効だったのが、書いているその瞬間に頭に入ってくれるような感覚があったことです。見て、書いて、内容について質問やツッコミを思い起こして書き残す。「なかなか頭に入ってくるじゃん」と感心しながら進めていたら、気がついたら1時間ほどずっとノートに書き続けながら読んでいました。読書でここまで集中できたのも久しぶりだなと思います。
ただこの手法だと、読み進めること自体に時間がかかります。内容を理解しながら少しずつ進めるので、普通に流し読む以上に時間がかかるのは当然のことです。いつも以上に集中力を必要とするし、絶えず書いていたので手首が痛くなりました。あと、これをやっているとかなり眠たくなります。エネルギーを結構消費する作業なのか、本当にしんどいほどの眠気に襲われます。あまり長続きできない種類の作業なのでしょう。
結論は出ず
結局のところ、読書の方法について、自分にとって最適な方法が現状で見つかっていません。この方法はどうだろうか、あっちの方法はどうだろうかと、試してみている状態です。
一つ大きな発見があったのは、紙の本のメリットの再認識でした。本が紙であることって、そこまで悪いことではないんですね。
ただし、Kindleの方が読みやすい。デバイスも選ばない。 今年度のお隣さんのおかげで、新しい発見ができました。
新しい読書法を試し次第、ここにまとめようと思います。
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