生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
教育実習がもうすぐ終わる
高校の教育実習は2週間です。先週の月曜日から始まったので、ようやく1週間経ちました。
そしてこれを書いているのは今週の月曜日。つまり後半戦がスタートしたタイミングです。
僕自身の大変さを少しだけ書きます。空きコマがなくなりました。休む暇がありません。授業の準備は、部活が終わった後か、授業中に生徒がタイピング演習をやっている間に行うしかありません。
まぁきっと、これまで授業をしてきた下積みがあるので、「この分野の授業か、それならあの話とこの課題と、あれに生徒を取り組ませたら良いよね」と、割と頭の中だけで授業が組み立てられるようになったからです。
じゃなきゃ、全てのコマで授業か指導かどちらかをしているなんて生活、成立しません。
これが所謂、中堅と呼ばれる存在に近づいたのかと、思うようにしています。
部活は部活で、最近力を入れている分野ができてきました。これも本当に時間が足りない。
今年は副担任で、本当に良かった。これが担任だったら、潰れていたところでした。
それでもね、教育実習生と一緒に過ごす学校生活は、楽しいんですよ。教えたいことがたくさんあるし、聞きたいことも山ほどあるし。近い将来、一緒に仕事をする未来の同僚に、一足早く会えたっていうのも、結構ウキウキします。
そして明日は大学の先生にも来てもらって、研究授業を行う予定です。これまで指導案を作り、僕の授業を中心に参観してもらい、授業を練習してきた成果を見せる場です。指導教官として、研究授業を見るのが本当に楽しみ。
あと個人的に思うのが、「あ、自分って意外と社会人やれてんだな」って思うところが出てきました。教育実習生を見ていると、まるで過去の自分を見ているようで、微笑ましいく思えます。
今日を含めてあと3日で終わると思うと、寂しいなぁ。自分の教育実習を振り返ると、かなり濃密な時間を過ごしたという記憶がありますが、今、指導教官としての立場としては、かなりあっという間に時間が過ぎていくのを感じます。
加齢と共に、人生の時間に対する尺度が変わってきているのかもしれません。そりゃそうですよね。年齢というのは過ごした時間の合計時間ですから、2週間という期間が、年を追うごとに相対的に短くなります。だからかなぁ、自分の頃はかなり長く実習先で過ごして、学校のことも結構分かってたつもりになって、立場は実習生だけどその学校の一員みたいな気分を味わっていました。
そのはずだったんですけどね、2週間は、おじさんにとっては一瞬でした。
情報モラル講座の質疑応答
先週の木曜日(6月9日)に、情報モラル講座を勤務校で実施しました。これまで情報モラル講座をやるとなると、生徒指導の先生が黙々と個人情報漏洩の危険性を話したり、LINEトラブルの事例などを話していました。しかし昨年度から魚住にお鉢が回ってきて、やっと情報科の教員として情報モラルについての話を子どもたちにできるようになったのです。
当日は話を終えた後に質疑応答の時間を設けたんですけどね、1年生全員が体育館に集まる中で、誰1人として手を上げてくれませんでした。そこそこ面白い話をしたのに、少し寂しかったなぁ。
ところが、生徒に感想文を300文字で書くという課題を出したら、質問が殺到しました。みんな200人が集まる中で、自分の疑問をマイクで話したくなかっただけだったんだね。文字だと気軽にコミュニケーションが取れるというのは、時代ならではの感覚だと思います。
今回は、このnewsletterの場を借りて、質問に対して回答していきたいと思います。
当日に話した内容
とはいえ普段からnewsletterを読んでくださっている方には、何を話したのかわからない状態で、ただの質疑応答を読ませられるのは苦痛だと思います。 なのでここでは、当日生徒に話した内容の概略をまとめておきます。
フォルダ型人間とタグ型人間
(e-messe kanazawa 2022の写真。被写体は若宮正子さんと弓月ひろみさん。)
最初に、若宮正子さんという87歳のプログラマーとして有名な方が話されていた、「フォルダー型人間とハッシュタグ型人間」の話をしました。
このお話そのものは、若宮さんが多くの場所で語られているようで、記事にもなっています。
86歳の現役プログラマー・若宮正子氏が説く 我が子に教えるべき、人生100年時代を生き抜く「学び」の力 - ログミーBiz
フォルダはいろんなものを箱に分類していく。会社の肩書きなどがそれ。だけど自分の肩書きがそのフォルダに分類されたものだけだと、退職後に分類を失うことになってしまう。
これに対して、ハッシュタグ型だと、好きなもののハッシュタグだったり、推しのハッシュタグだったり、趣味のハッシュタグなど、自分を分類するのではなくていろんなものに関連づけていく。
自分の好きなことをハッシュタグをつけて発信していくと、友達が増えて楽しいですよってうお話でした。
この話を聞いた時、「まさにこれだ。しかも自分が普段からやっていることそのままじゃないか!」と思ったのでした。HHKBが好きで、プログラミングが好きで、自作PCが好きで、カメラが好きで、教育が好きで。体を動かすことが好きで。いやもう、書き出したら終わらないくらい、僕には好きなものがあり、それらはフォルダでは分類できないんですよね。
そして、教師というハッシュタグも自分の中の一つです。それが全てではないし、かといって蔑ろにしていいものでもありません。教師という肩書きは僕を構成する大切な要素です。
この「フォルダー型人間、ハッシュタグ型人間」を生徒に話した後の感想では、「かなり納得しました!」や「なるほどな!と思いました。多くのハッシュタグを作れるようになると、人生が楽しくなるんだなって思いました。」という感想が相次ぎました。今の高校生には、この若宮さんの話はかなり刺さったようです。
リスクの話
それともう一つ。リスクの話をしました。
テクノロジーを利用するメリットとデメリット、そして利用しないことのデメリット、そして弊害のリスクなどの話です。
これについても元ネタがあって、伊藤淳一さんというRubyの本を出されているプログラマーの方が、情報モラル講座を行う際に使ったスライドを参考にしました。
Rubyプログラマが中学校で情報モラル講演会をしてきたよ - give IT a try
リンク先にあるスライドの飛行機が出てくるスライドが本当に分かりやすくて、リスクとメリット、デメリットの比較が大変参考になりました。
クエン酸キャンディーとHHKB
あとは、僕の身の上話を語りました。ブログやTwitterでHHKB愛を語りまくってエバンジェリストに選ばれたことや、スクールプランニングノートという教師向け手帳の使い方をブログに書いていたことがきっかけで出版社の方と繋がり、『教師のiPad仕事術』の出版に繋がったことなどです。
ハッシュタグ型人間として好きなことを発信して人と繋がる生活様式が、魚住惇の人生を確実に豊かにしました。SNSは炎上リスクなどももちろんありますが、活用すれば世界が変わって見える。これを僕自身が身をもって体験しているわけです。
もちろん、ネット上で知らない人と会うことへの危険性というのももちろんありますが、全てを一括りにしてダメだと否定するのではなく、リスクとメリット・デメリットをその都度考えて行動するべきだっていう話で締めくくりました。
今の高校生らにとって、SNSは当たり前の存在で、自分の生活に欠かせないものです。スマホは体の一部です。彼ら彼女らには、「SNSなんて危険なんだからやめなさい」という言葉は通用しません。かといって、なんでもかんでも好きに投稿しても良いというわけでもありません。
ただ、Twitterを使っていると、こういう出会いも稀にあるって言う例を語りました。例えば、「早乙女檸檬の挑戦状」というクエン酸キャンディーについて発信し続けたら、販売元の社員さんと仲良くなって、一緒にいきものがかりのライブに行ったのも、今となっては良い思い出です。
早乙女檸檬の挑戦状が好きすぎるから、株式会社リボンの社員と一緒にいきものがかりのライブに行ってきました! – さおとめらいふ
これも、今思えばリスクがないわけではありませんけどね。
質問への回答
ではここで、生徒から届いた質問への回答をまとめたいと思います。
クエン酸キャンディ系
今でもクエン酸を摂取していますか?
1日1袋食べていたら虫歯が増えたので、最近は買わなくなりました。暑くなったら買おうかな。
ところでおじさん方と行ったライブは楽しかったですか?
めっちゃ楽しかった。楽しすぎて、その後3人でご飯行きました。
先生が男性だったからトラブルが起きなかったという可能性もありますが、 そーゆートラブルは多いですか?また、ネッ友を作った方がいいとかありますか?教えて頂けると幸いです!
いきものがかりのライブの話にも共通しますが、ネット上では女性と出会いたいと願う男性がうじゃうじゃいます。特に女性は、出会い目的の男性とは会わない方が安全です。
いきものがかりのライブに男性で見に行ったときの感情はどんな感情でしたか?
意外と楽しかったです。
HHKB系
ウェディングケーキ🎂の上にキーボード⌨️をのせて奥さんや義父母、両親に何か言われましたか?
結婚式の内容について、自分の両親や奥さんのご両親には詳細は一切伝えませんでした。当日になってみんながキーボードのケーキを見て、ドン引きしていました。
いつからキーボード⌨️が好きになりましたか?この好きになったきっかけはなんですか?
3歳の頃に見た「高速戦隊ターボレンジャー」に出てきた博士が、キーボードをカチャカチャ打っている姿に惚れました。あの頃はキーボードを使うと巨大ロボットが作れるんだと本気で信じていました。
キーボードと出会ったのはいつですか??なんでそんなに好きになったのか教えてください
同居していた祖父(父方)の部屋に大型のワープロがあったので、小学校低学年でかな入力を覚えました。
先生のお気に入りのキーボードの形とか種類とかってありますか?
HHKB
キーボードケーキを作るのにどれぐらい時間かかりましたか?
金に物を言わせてシェフに作ってもらったので、制作時間はわかりません。
キーボードの魅力はなんですか?
HHKBを使えばわかります
小さい頃からパソコンを触っていたのですか?
初めてパソコンを使ったのは、さっき話した祖父がインターネットで囲碁の対戦をやるためにWindows98のパソコンを買ったときです。
キーボードで使いやすさというのはあるのですか?
ある。今度、僕が使っているHHKBを使わせてあげよう。
タイピングが早くてよかったことはありますか?
頭の中で浮かんだ言葉が、気づいたら画面に出てる。
先生はいつから、どうしてそんなにキーボードへの愛が強くなったんですか?普通の日常を送っていたらそんなに愛することないと思います。なにか理由があるんですか? あれば是非聞かせてほしいです!
多分、僕が惚れやすい性格だからかなぁ。小さい頃から「これ好き!」って思ったら、止まらなくなっていました。それが今も変わらず、キーボードに向いています。
結婚式のウェディングケーキすごいな!と思いました!!奥さんの反応はどんな感じでしたか?
ドン引き
キーボードを愛してやまない先生は他にも新たに挑戦しようと思っていることはありますか?
勤務校のホームページのリニューアル
「いつから、どうして」キーボードを好きになったのか疑問に思った。
好きになるのに、きっかけは必要だけど、理由は必要ない。気がついたら好きになっている。それが「好き」という感情です。
最後に先生に質問です。なぜ、この前私の隣で急にタイピングの練習をしたのですか?気になりすぎて、ずっと友達と話しています。教えてください。
授業で欠席者がいると、その場所が空席になりますね。タイピング練習の時間に、たまに生徒の気持ちになってタイピングしたくなるんですよ。決してマウントを取りたいわけではありません。多分。
全般
メディアなどに取り上げられた時どのようなことを思いましたか?
いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉう!!!!!
新婚旅行は✈️はどんな場所に行き、どんな風に過ごしましたか?
イタリアに1週間行ってきました。ローマからミラノまで横断してきましたよ。
これがきっかけで出会った社長さんとはこの後何かありましたか?
定期的に連絡を取り合う仲になりました。
奥さんと出会った経緯が知りたいです
大学時代の友人からの紹介です。
鈴木先生、暗殺教室の他に好きな漫画はありますか??
地獄先生ぬ〜べ〜、進撃の巨人、宇宙兄弟
奥さんは嵐が好きとおっしゃっていたと思いますが特に好きだと思う人は誰ですか?
みんな平等に大好きって言っていました。
ケーキに嵐のプリントされたものはどこにあったのですか?
なかったことになりました。
奥さんはいつから嵐が好きなのですか?
大学生の頃と聞いています。 嵐結成前のジャニーズJr.にいた頃から、メンバーを応援していたそうです。
勉強で大変だと思ったことは具体的にどんなことですか?
暗記。僕は覚えるのが苦手です。
Twitterでもし生徒からフォロー来ても返しますか?
基本的に生徒はフォローしません。卒業した後にもリプを送ってきたりする人は、稀にフォローする場合があります。
Twitterのプロフィールに名前、生年月日書くの怖くないですか?
人によると思います。誰もおっさんの名前と生年月日を知ったところで悪用しませんでした。
歌ってみたで何を歌いましたか?
「エアーマンが倒せない」の替え歌です。当時のニコニコ動画で流行っていたので便乗しました。
授業では、リスクやメリットの例を聞き納得したり他にどのような例があるかを考えてみました。例、アニメやドラマを見た時のリスク、専門的な知識を得られる可能性があるメリット、続きが気になり見てしまうリスク、勉強がはかどらないリスク
映像は、見終わるまでに時間がかかるのがデメリットだと思っています。ただし、本と違ってBGMもあるし見栄えも良いので、見ちゃうけどね。 一方で、専門知識なら本の方が文字情報として入ってくるので、記憶に残りやすく、気になった部分を後から探しやすいのがメリットだと思います。
リスク・メリット・デメリットについて理解したとしても避けられない事もあるのではないかと思います、(例えば避けられない事故など)その場合はどうリスクと上手く付き合えば良いか、メリットを優先すれば良いのでしょうか。
どうしてもそれが嫌なら、諦めるのも一つの選択です。事故がどうしても怖いのなら、飛行機に乗らないというのも選択の一つです。危険性をわかった上で選ぶ時に必要なものは「覚悟」です。リスクを受け入れる覚悟があるならメリットを優先しましょう。
大人たちにスマホのリスクとメリットを正しく理解してもらうにはどうしたらいいのか、疑問に思いました。
無理。なので、私たちが大人になったら、その時の子どもが大事にしているものをわかってあげましょう。
今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。うちの自治体でも情報モラルの講座をやってほしい!と言う方からの連絡、お待ちしております。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。
いいですねー!!
うちの学校でも保護者として是非情報モラル教育をしていただきたい…!!(うちは小中学校併設校なので組み立てが難しそうですが)
まずは先生方にこのお話を聞いてほしいなぁ。
そして、小中学校なので情報の先生というのがいないのですが、情報の正確性とかウラを取る重要性を伝えてからネットでの情報収集をして欲しいと切に願っております…