生きることにこだわりを。魚住惇です。
iPad Proが自宅に届くのが、5月21日〜28日となっています。同じ11インチだし代わり映えしないんですが、M1搭載のiPadが待ち遠しいです。
とはいえM1が搭載されたデバイスを所持したところで僕本人がM1を搭載するわけではないので、使い方にこれまでと差がなければ、A12Zでも良かったのではないか?とも思うことがあります。
M1iPadに期待したいのは、USB4です。Thunderboltの帯域が使えるとなれば、その速度に対応するSSDを1つは持っておきたいものですね。物欲が湧いてきました。
僕は幼少期の頃から、予約とか新商品とかについて、気になることがあると毎日口にする生活を送ってきました。
新型ミニ四駆から今のiPadに至るまで、気になる商品についてずっと口に出し続けました。それも手に入るまで。家族にとっては大迷惑だと思いますが、今でも止められません。
僕が今も例外なくその状態であれば、もう寝ても覚めてもiPadiPadとうるさいんですが、最近はそうでもなかったりします。
自作キーボード沼の世界です。僕の心を鷲掴みして離さない、素敵な沼です。
しかしながら、今この文章を書くときに使っているのはHHKBです。革張ウッドパームレストが本当に心地よくて、そして自分のタイピングをしっかり受け止めてくれるのは、やっぱりHHKBだよなという想いがあるので使い続けています。
[手を置いた瞬間「あ///」となるバード電子製革張ウッドパームレスト「WP-HHK2-LB」 – さおとめらいふ](https://jun3010.me/wp-hhk2-lb-21152.html)
そう、僕にとってキーボード沼は、本来HHKBで終わりのはずでした。なのになぜ、HHKB以外のキーボードを試すのか。
そこにキーボードがあるからです。
なんか登山の名言見たいな発言をしていますが、本気でそう思っています。人間とコンピュータを繋ぐインターフェイス、その最たるものはキーボードです。ポインティングデバイスが存在しなかった頃から人類とコンピュータを繋ぎ続けてくれたのです。惹かれます。
それを、自分の手によって生み出すことができる時代になった。もう興味が湧かないはずがありません。
「やっぱりHHKBに帰ってきちゃった」でも良いと思っています。それでも、僕は自分の理想を追い求めてみたい。
そう思って、自作キーボード沼に身を投じるのでした。
今回もそんなこだわりに、お付き合いください。
キーボードのレイアウト
キーボードにおいて、どのキーをどの場所に配置しているかという話をするために、レイアウトという言葉を用います。 キーボードのレイアウトは主に、
Row Staggered(ロウスタッガード)
Column Staggered(カラムスタッガード)
Ortholinear(オーソリニア)
に分かれています。他にもまだありますが大まかには3つです。
ロウスタッガードは一般的なキーボードのレイアウトです。行に揃っていて、縦には揃っていません。
カラムスタッガードは縦に揃っているレイアウトです。
オーソリニアは格子状に、列と行の両方が揃っています。
どれがどんな形なのかは、サリチル酸さんのサイトに詳しく載っているので、そちらを参照してください。
あくまで僕の観測範囲での話ですが、多くの自作キーボードの開発者の方達は、ロウスタッガードに対して苦手意識があり、カラムスタッガードやオーソリニアのキーボードの設計に取り組んだのではないかと思うのです。
ビルドガイドなどを読み漁ってみると、市販品のキーボードが手に馴染まなかったことから、自分の手に馴染むレイアウトの設計を始めたと書いている方が多かったです。
僕にはカラムスタッガードが馴染めなかった
自作キーボードの沼に入るにあたって、Claw44の開発者であるふく@yfuku_さんという方から、Claw44の試作品をお借りすることができました。指の長さに対してカラムの位置が調整されたカラムスタッガードの代表格とも言えるキーボードです。
そもそも僕が自作キーボードに対して気になったのは、「HHKBのFnのようなレイヤーを分ける機能が自作キーボードには搭載されていて、そのレイヤーが3つも設定できるとなると、キーの数はもっと減らせるのでは?」と思ったからでした。
似たような考えの方は既に沢山いて、世の中には40%キーボードというものが存在していました。
Claw44は、その40%キーボードの中でも一際ファンが多いキーボードです。特徴的なのはカラムスタッガードのレイアウトと親指で押すキーの数。
Claw44が登場する前は、Corneと呼ばれるキーボードが有名でしたが、親指で使えるキーは3つです。そしてCorneは行方向に揃っていなくとも、そこまで指の長さを考えた配列ではありませんでした。多少波打ってるくらいです。
ふくさんはCorneを複数台作ってみて、これはもう自分で設計するしかないな。という結論に至ったそうです。
貸していただいたClaw44はキーボードとしての完成度が高く、液晶もあり、質感はもうはんだ付けして作ったとは思えないほどの製品でした。
キースイッチを交換することができるホットスワップにも対応していて、カスタマイズ性の高さが伺えます。ホットスワップというのは、キースイッチをそのまま基板にはんだ付けするのではなく、後からスイッチを交換できるようになっているものです。
ちなみにこのClaw44に使われていたピンク軸は、HHKBの45gに慣れている僕からすると、結構重たいなと思いました。
Claw44を見ていて気になったのが、親指で押すキーの一番外側のキーです。ちょっとこれは遠いのではないか。と見ていて思ったのです。
そこでClaw44の代わりに気になったのが、Lunakey Miniという機種でした。
Lunakey Miniは、Yoichiroさんという方がClaw44に満足できないという理由から設計が始まったキーボードです。
キースイッチのホットスワップに対応し、LEDも標準で実装し、OLEDモジュールで液晶を取り付けたり、圧電スピーカーをも搭載できるつよつよキーボードです(実際に動作できるのはUnderglow LEDとスピーカーとOLEDのうち2つ)。そしてCorneと違って親指のキーは4つあります。
この、「自作キーボードで試してみたいことを、この1台で試してね」という気概が感じられる設計思想が、ド直球でした。惚れ惚れしました。
もし自分がお金を出して購入するなら、Lunakey Miniにしようと決めていました。
ところが、ふくさんからお借りしたClaw44を使ってみて、わかったんですよ。
僕の手には、カラムスタッガードが合わない。
これは使うための練習をしなければならなかったのかもしれません。指が既にロウスタッガードに慣れてしまっていて、使えば使うほどミスを連発してしまいました。
このことを妻のゆかさんに相談したところ、「あなたは元々指が長いんだし、ピアノをやっていたんだから、これまでのキーボードで良いんじゃない?」とのことでした。
この一言でハッとしたわけです。
そうか。僕は分割キーボードを欲していたけれども、そもそも指の長さに困っていなかったのか。
『教師のiPad仕事術』にも書きましたが、僕はローマ字入力で「ポップコーン」という単語を難なく入力できます。1段目の数字キーを押すことも、不満を持っていませんでした。
ロウスタッガードに対して困っていなくて、むしろ好んで使えるのなら、カラムスタッガードのキーボードに慣れるためにコストを割くよりも、ロウスタッガードを使い続けた方が良いのではないか。
という結論に至ったわけです。
ふくさん、Claw44を貸していただきありがとうございました。自分にはロウスタッガードの方が相性が良かったという結論が出てしまいましたが、それが分かったのが、大きな発見でした。
Yoichiroさん、Lunakey Miniの質問に購入前から色々と質問に答えてくださりありがとうございました。ChromeからQMKのキー配列を変更できるRemapは今でも愛用しています。
では、カラムスタッガードが自分の指に合わないということがわかったので、HHKBに帰っていくのかというと、そうではありません。
ロウスタッガードが自分に合っていることがわかったことと、自作キーボードを作らないことは別の問題です。ロウスタッガードの自作キーボードを作るまでのことです。
僕に必要なのは、「傾斜」だ
初めて作った自作キーボードChoco60の不満は、傾斜がないことでした。
前回のnewsletterに書いた通り、これについてはXDAプロファイルを購入することで、ある程度は満足していました。
でもね、いくら平なプロファイルのキーキャップに揃えたところで、やっぱり平だと奥にあるキーを「遠いな」と思ってしまうんですよ。
奥にあるキーは、手前よりも高い位置にいて欲しいわけです。これを叶えるためには、XDAプロファイルよりも高さがあるキーキャップを1列分購入する必要があります。これがすごく難易度が高いことで、そもそも無刻印のキーキャップの選択肢が少ないんです。となると、刻印ありのキーキャップしかない。それは数字の段のキーキャップを最上段にはめることを意味します。
・・・あまりにも不恰好すぎる。
最上段だけプロファイルを変えることは断念しました。
それならば、キーボードそのものに傾斜がついているものを選ぶ他ありません。 この時点で購入する自作キーボードの候補は、Zincと7sProの2つにまで絞ることができました。
7sProは、HHKBの形をした分割キーボードです。傾斜がついていて、さまざまなオプションに対応しているモデル。
それに対してZincは、片方で24キー、両方で48キーという40%キーボードです。こちらにも傾斜がついています。
どちらのキーボードも、ロウスタッガードで傾斜がある自作キーボードです。迷いました。かなり悩みました。しかし、HHKB型の自作キーボードは既にChodo60を所有しているわけです。
果たして僕が選んだ自作キーボードはどちらなのか。それを話すのは次回にしましょう。
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