2学期期末考査から思うこと
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
2学期期末考査から思うこと
さて、勤務校では12月4日まで期末考査が行われました。家族全員がインフルにかかるという苦難を乗り越えている週が、まさにテスト週間と呼ばれる期間でした。
それまでの授業ではテスト範囲にしたい分野の学習が終わっていたので、僕が休んでいる間を全部自習にしてもなんとかなりました。
だからロキソニンを飲んで熱を下げた時も、体力に余裕があった時はテスト問題を作ったりしていました。長時間座るのがしんどかったですよ。
11月28日から12月4日までの平日5日間で行われた期末考査では、僕が作った科目が2科目行われました。1つ目が11月28日、もう1つが最終日の12月4日です。
まぁ最初の1科目は選択科目で少人数クラスなので、そこまで苦にはなりませんでした。僕の中での本番は、もう1科目である情報Ⅰです。
この時期の情報Ⅰではネットワークやプログラミングの単元を進めているころで、地区の研究会でもその分野の研究授業が行われます。
勤務校では、インフルで休んだ関係で全てのクラスがプログラミングに入ることができませんでした。なので今回の期末考査の範囲はネットワークです。
何を隠そう僕は大学時代にCCNAというネットワークエンジニアの登竜門的資格を取得した過去があります。有効期間が3年なので、もう失効していますけどね。
CCNA - Training & Certifications - Cisco
大学の集中講座でCCNA取得講座があったのと、サークルや組織でやり取りがある先輩方がこぞってこの講座を受けていたので、僕も流れで受けました。
教職の授業と重なっていた時期もあったんですが、そっちは大学4年生の時に履修しました。おかげさまで、CCNAを取得した情報の教員が出来上がったわけです。
CCNAはCiscoというアメリカの大手ネットワーク機器メーカーが、知識と実力を認定するというベンダーの資格です。国家資格ではありませんが、ネットワークエンジニアとして働く上で、最低限の知識があると見られます。
なんていうかな。この資格を受験するための講座を受けるまでは、まぁルーターの設定を自分でやって、ポートを開けるところまでできていればいいやって思ってたんですよ。
自分がやりたいことが最低限でもできれば、それでいい。
ところがその集中講座を受講したら、それこそ基礎の基礎からネットワークのことを勉強することになったわけで。
それがね、すごく楽しかったんですよ。もちろんテキストを読み込んだり、ずっと講義を聞くのはかったるいんですけど、機器演習の時間はすごく楽しかったのを今でも覚えています。業務用の機器を実際に触って、繋いだPCが通信できるようになるまで自分で設定したのが、当時の自分にとってめちゃくちゃ楽しかったんです。
検索して自分でやりたいことだけ調べて、中途半端な知識だけでいきなりやる。これでやりたいことができるようになるのも良いかもしれませんが、知識を基礎から学び、正しい道順で応用していくのもまた楽しくて、心地よい。
前置きがかなり長くなりましたが、僕は特にネットワークの分野がかなり好きになりました。今回の期末考査の単元そのものが、自分にとっては大好きな分野です。
もうね、今回の問題用紙、見ているだけで楽しいです。自分が解いていてやり甲斐があるなと思えるものに仕上げました。
ちなみに例によって考査問題はGitHubにて公開中です。
jun3010me/joho1-test: 情報Ⅰで出題した考査問題
Word形式で公開しているので、使いたい方はご自由にどうぞ。
最初の部分は、大学入学共通テストのサンプル問題をそのまま出題しました。会話文としては長めかもしれませんが、この文章を入れることで、ネットワークの知識が定着していない場合も、その後の問題を解くためのヒントとして機能します。
あとはその知識を活かしてひたすら解いていく流れです。ITパスポートや基本情報技術者試験の過去問からも引用しました。
情報Ⅰの共通テスト対策として、基本情報技術者試験と共通する部分があるなと、入試対策を考えるとどうしても思えてきたので、今回は割とIパスと基本情報から引用した問題を多めに出題しました。
授業中に進めた内容が定着していれば解ける問題だったので、やる気のある生徒にとって自信になれば良いなと思っています。
残りは過去に作った問題から流用しました。あまり大きな声では言えませんが、1年生に魚住の大ファンがいたとして、このnewsletterを必ず読んでいたらきっとGitHubに公開されている過去問に気づくはず。
そこまで僕のことを追いかけてくれるのなら、きっと過去問を使って対策してくれるんじゃないかと思うのです。僕としてはこうして情報を公開しているので、意欲が点数に繋がったと判断します。
要求レベルが高すぎる?
情報Ⅰの考査問題は、完成したら印刷するまでに、TTで授業に入ってくださっている先生に一度解いてもらっています。
今年度僕の授業にサブで入ってくださっている先生方は全員で5人。その中でも、僕の授業の内容に興味を持ってくださって、毎回キラキラした目で話を聞いてくれる先生に、実際に解いてもらいました。
本当はTTの先生方全員に満遍なくお願いした方が平等かもしれませんが、できれば楽しんで解いてくれる先生にお願いしたいものです。そういった事情もあって、特定の先生にだけお願いするようになりました。
でも今回のネットワークの分野の、特に計算問題はね、かなり苦戦されていました。職員室では僕の右隣の席なので、ずっと横で問題用紙を見ながら頭を抱えていました。
んー、この先生がここまで頭をかかえる問題、生徒に解けるかしら。それでもこれ以上問題を簡単にするわけにもいかないし。
思うところは多々ありましたが、今回も「自分が解いていて楽しいと思えるテストの状態で出題しよう」というポリシーに従うことにしました。
ちなみに、今回の期末考査の平均点は、29点でした。普通、テストを作る場合は平均点が60点くらいの難易度を目指すのがセオリーとなっているんですが、いやぁ、今回も飛び切り低いですね。ははっ。
実施する前から分かっていました。平均点が低くなることくらい。明らかに定員割れを起こすようなレベルの学校で実施する難易度ではありませんから。当然予測もできました。
ここからは言い訳になってしまうかもしれませんが、どうしても難易度の高い問題を作っておきたかったんですよ。いつか進学校に異動した時にも、自分が苦労しないようにね。
それと、自分が仮に自分の授業を生徒として受けるときに、学力の上限を見透かされるような教わり方は、嫌だなとも思ったんですよ。「お前らにはこの程度の問題しか解けないんだから、簡単にしといたわ」なんていうメッセージが受け取れてしまうような問題を出題することが、目の前の生徒を馬鹿にしているような行動にもつながってしまうんじゃないかと思うのです。
あとは、情報Ⅰの範囲をなるべく網羅したい。「この分野は教えたことがないし、今から勉強するのもだるいから飛ばすわ。」とならないようにしたいのです。
情報Ⅰは2単位。つまり週に2コマです。教科書の内容は多岐にわたっているので、とても週2の授業で全ての範囲を終わらせるのは不可能です。時間は無限には増やせないので、どれかの単元に時間を割くと、その分他の単元の時間が少なくなります。
今は、なるべく多くの単元を進めたい。そのことに注力しています。そりゃ重要だと思っている部分の時間は多くしているので、犠牲になっている部分はどうしてもあります。そこは共通テストに出題される分野を意識するってことで。
なので、昨年度まで毎年やっていた単元を、今年度は省略してることもあります。これはいつか単位数が増えた時にも対応できるように。
情報Ⅰ、僕の感覚では2単位ではなく、3単位か4単位で実施したいなと思います。英語や数学で週に4回とかの授業をやってるんだから、情報だってそれくらいやりたいものです。
授業で全く同じ問題について進めた部分は、2枚目の右側から。ただし、この辺りも正答率はかなり低い印象でした。アセンブリ言語を実習なしで進めたので、生徒は動いたところを見ることなく学習を進めました。
プログラムを動かす部分も見て欲しいなとも思ったんですが、あまりここに時間をかけるとPythonの時間が減ってしまうので、少し省略しました。
この3枚目は実は前任校の頃に作ったものを、2年前に手を加えたものです。共通鍵暗号方式と、公開鍵暗号方式、最後はSSLについての説明文を穴埋めにしたものです。
文章としては長めですが、この3つの文章に単語を当てはめていくことで、それぞれの暗号化の仕組みの確認をさせたいと思いました。
受験指導がしたい
僕が学校の先生になりたいと思うようになったのは、小学生の頃。その頃はもちろん小学校の先生になるもんだと思っていました。
中学校に上がり、技術という素晴らしい科目に出会ってからは、「中学校の技術だ!」なんて思っていました。
でも高校は進学校に合格したものの、コンピュータにのめり込んだせいで成績はダダ下がり。本当に学校の先生になるんか?状態でした。でも2年生に進級して、1つ下の後輩たちから情報という名前の科目が始まって、情報の先生になりたいと思うようになりました。
気がつけばあれから20年。のめり込んだ世界を教える側として働いています。とにかく自分が夢中になったものを教える立場になって、年を追うごとに世間からは注目が集まり、重要さを増していく。
それが僕にとって、嬉しかったんですよ。だからこれまで夢中になれたものに全力で感謝しつつ、自分が打ち込んできたものを少しでも子どもたちに汲み取ってもらいたいと思って、情熱をぶつけるようになりました。
今はとにかく、自分が持っているもの全てを生徒にぶつけている状態です。勤務校では、それをしっかり受け取ってくれるのは、学年に数人というレベル。
情報という科目は近い将来なくなるかもしれない。そう言われてからのここにきてドンデン返し。嬉しかったんですよ。必要としてもらえるのが。重要視されるのが。
現状は、明らかにミスマッチだと思いますが、こちらが手を抜くなんてことをやったら、それこそ目の前の子どもたちには失礼です。
持っているものを全て注ぎ込む。遠慮しない。手を抜かない。それが、教師として目の前の生徒にしてやれる最低限の礼儀だと思うのです。
いつか進学校に赴任した時にも、徹底的に対策できるように、これからも準備します。
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