パソコンをルーターにする試み1
生きることにこだわりを。魚住惇です。
今回の配信は、前回の冒頭部分に書いたルーターの話を、もう少し詳しく書いたバージョンです。ちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
業務用ルーターを家庭で使うという憧れ
アパートに住んでいた頃に、我が家のブロードバンドルーターをYAMAHA製のRTX830に買い替えました。というのも、それまで使っていたASUSのルーターを使っているとあるタイミングで通信そのものができなくなってしまい、家中のネットが止まるという自分にとって重大な事件が起こってしまったからでした。しかも対処法が、ルーターそのものを再起動するという極めて原始的なもの。これって対処法って書きましたけど、その場限りで全然根本的な解決になっていないんですよね。
そもそもスマホやパソコンなどをインターネットにつなぐ際に必要とされるルーターって、耐久年数が5年くらいだと言われています。Wi-Fiの規格の進化が早い上にセキュリティのバージョンも上がるという理由もありますし、1年間365日ずっと電源が入りっぱなしの電子基板って、そもそも一生動くほど耐久性が高くないんですよ。僕が見てきた限り、最初に寿命を迎えるのは電解コンデンサで、劣化していくにつれて電気を貯められなくなります。次に電解コンデンサや抵抗などが壊れて影響が出てくるチップなどです。どこかが壊れると想定外の電圧や電流がかかることになるので、1箇所だけ壊れたとしてもそれだけじゃ済まなくなるんですね。
僕がここ最近ハマっているのは、そういった特定の部品に寿命がきてしまったパソコンやグラボなどのジャンク品をはんだごてやヒートガンを駆使して部品交換を行い修理するYou Tube動画を見ることです。テスターやヒートマップを見ながら原因となる部品を探し出し、交換を行うことでそのジャンク品が動くようになる。その瞬間がたまらないんですよね。自分もいつかやってみたいジャンルの1つです。ヒートガン欲しいねヒートガン。はんだごてじゃ取り外せないICチップは、全体を400度で温めることでピンのはんだを溶かすんですよ。というか多分、勤務校なら電気科にヒートガンくらいありそうですけどね。
ただこれも考え方が色々あって。こうしたジャンクを修理して使うという営みそのものは僕は大好きなんですが、それを家のインフラなどに使っても良いのか?となると別の話です。ないものは作る。壊れたら直す。どれも「ものづくり」の観点としてはとても重要で、イノベーションそのものに直結します。ただし、安定したインフラを維持するとなればメーカー保証の恩恵を受けることもまた必要です。壊れたものを直している間は当然インフラは止まってしまうので、例えば同じ製品を2つ用意して、常用するのを1つだけにします。それが壊れたときにもう1つを使い、壊れた方をメーカー修理に出しておく事で、高い稼働率を維持するのです。
要はトイレットペーパーなんですよ。紙がなくなってからドラッグストアに買いに行くのでは遅いのです。
そうそう、同じ製品を2つ用意するというのは1つ目が壊れた時を想定した考え方ですが、それとは別に、なるべく品質の高いものを使うという対策もあります。長く巻いてあるトイレットペーパーを使う方が、そもそも取り替えるまで長持ちします。
僕がYAMAHAルーターにたどり着いた理由がまさにこれで、堅牢化(けんろうか)と言います。そもそも壊れにくいものを使ったり、セキュリティに強いシステムの方が良いよねという考え方です。安物買いの銭失いでは困るのです。特に企業内部で使われている、いわゆる業務用の製品だと、家庭とは比べものにならないほど通信するので家庭用のルーターよりも安心というわけです。普通の家庭よりも多く外と通信していて、家庭用ルーターが早く寿命を迎えてしまうのなら、耐久性の高い業務用のルーターを買おうという解決方法です。
ただしコスパの面ではどうかと言われると、YAMAHAルーターは家庭用と比べるとかなり高額です。なので企業が使っていたリース品が中古市場に流れるタイミングを狙ったりします。それこそ堅牢とか言っておきながら中古とかどうなの?という考え方ももちろんありますが、業務用製品って本当に耐久性が優れていて、中古買っても家庭で使っている分には全然寿命としては長いんですよ。そうは言ってもいつかは壊れてしまうものなので、その時がきたらまた中古の業務用ルーターを買えば良いかな。くらいに思っていました。
大量のトラフィックでRTX830が落ちる
そんな矢先に困ったことが起こりました。前回の配信にも書いた、特定の通信を行うとYAMAHAルーターがオーバーフローを起こしてしまい、しまいにはインターネットに数時間の間繋がらなくなってしまうという大問題です。
一体どんな通信を行えばYAMAHAルーターRTX830が落ちてしまうのか。それは、LMStudioというローカルLLM(パソコン本体で動くAI)を使うアプリの中で、30GBほどの学習モデルをダウンロードしていたときでした。たまたまダウンロード先のサーバーの反応が良くて、かなりの速度でダウンロードできていて、1Gで回線契約していた中でもかなり理論値に近い状態でした。
というかね、原因の特定にもかなり時間がかかりました。自分の中では高々数十GBほどのファイルのダウンロードくらいは、今の時代では割とあり得るからです。今どきのPC用ゲームでさえ、50GBくらいの容量はありますからね。速度だって、UbuntuのインストールISOをダウンロードするくらいなら割と出てくれます。理研からダウンロードするときとかね。
たまたま光コミュファの業者から「何かお困りなことはありませんか?」という電話連絡が来て、そこで「たまに回線が落ちるんですが」という相談をしてみました。電話口の人はサポートの方ではなく、10G契約にしませんか?的な電話営業だったと今振り返ると思います。
業者「今、何かネットでお困りなことはありませんか?例えばWi-Fiが遅いとか。」
魚住「え?Wi-Fiですか。」
業者「今ならメッシュWi-Fiというものがございまして」
魚住「ELECOMの業務用APを屋内に3箇所設置したので、スマホ程度なら快適だと思っています。家族から特に不満も出ていませんし。それよりもYAMAHAルーターを使っているんですが、どうも通信が切断されるような挙動が起こっていまして、困っております。」
業者「10G回線にしませんか?インターネットがもっと速くなりますよ。」
魚住「今使っているYAMAHAのRTX830はWAN側がGigabitなので意味ないかと。スイッチはHPEの10Gを使っているので、もしこの先10G対応ルーターに買い換えることができたら検討しますね。」
業者「そうですか。では・・・、先日Netflixをご解約されたと思うのですが、Huluなどビデオオンデマンドも今や種類が豊富でございます。何か」
魚住「キャッシュバックを受け取るために回線契約時に申し込みましたが、実は別アカウントでNetflixに既に加入済みです。YouTubeプレミアムにも入っています。」
業者「DAZNなどもありますが。」
魚住「見たいジャンルが違います。」
とまぁこんな感じでPRしてきたので断ってしまったのですが、この中でも回線が途切れてしまう件については後日サポートに引き継いでもらうことになり、自宅にいる時間帯を伝えてその時の電話を終えたのでした。営業さんって本当に大変だよなぁと思います。需要がないところに新たな需要を開拓しなければならないのですから。オプションの申し込みがあればその方に嬉しいことが起こると思うのですが、サブスクにかかるお金はなるべく減らすのが良いこととされているこの時代にとって、お辛い仕事だと思います。少なくとも自分がこの仕事をしていたら心が耐えられません。
で、後日指定した日時に光コミュファのサポートから電話があり、原因究明を手伝ってくれました。元々コミュファのONUはWi-Fiルーターの機能もあるので、そのまま自分が使いたいルーターを使うと二重ルーターという扱いになります。ただし、ルーターからONUを経由してインターネットに接続する際に行うPPPoE認証の通信をブリッジしてくれる機能がコミュファルーターにはありました。物理的にはコミュファルーターの配下にはあるけれども、YAMAHAルーターが直接ONUを通してインターネットに接続している状態となるような設定ができました。
この状態で回線が落ちる時にやっていたことを思い出していたところ、「あ、そういえば、LMStudioで学習モデルをダウンロードしていた時だ」と原因が特定できたわけです。なので電話中に適当な学習モデルをダウンロードして、実際に我が家のネットが繋がらない状態を再現しました。
ところがその時にわかったのが、大元のコミュファルーター経由なら普通にインターネットに接続できるということでした。つまり原因はYAMAHAルーター、もしくはその配下にいるスイッチだろう。というのがコミュファサポートの見解でした。
個人的には大変ショックを受けました。なんでこの原因の特定が自分一人でできなかったのだろう。これくらいの調査なら、できたかもしれないのになぁ。自分ごとだったので冷静さを失っていたからでしょうか。ともかく原因が自分が用意した機器だったということがわかったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、電話を終えたのでした。
ちなみにRTX830のWAN側が落ちると困ることが2段階あって、トラフィックの警告が出ている最中に電源を落として再起動をかけたら、その再起動中にネットが繋がらなくなります。これが第一段階。トラフィックの警告を無視しながら通信をし続けると、今度はPPPoE認証が通らなくなってしまい、数時間の間ネットに繋がらなくなります。これが第二段階で、こうなるともうお手上げです。自然に回復するまで我が家のネットが音信不通になります。本当にこれがストレスで、アレクサが全く役に立たなくなります。家中の家電をアレクサに声をかけるだけで操作していた我が家では大問題です。地震発生時のオール電化住宅のようです。
ただ、現時点でわからないのは、今回のファイルのダウンロードを行うとRTX830が通信不能になるという現象が、僕が使っているRTX830だけ発生するのかどうか。これがはっきりしません。もし中古で買ったルーターなだけに内部の部品に寿命がきていただけなら、新品・もしくは別の中古のRTX830に買い換えるだけで済みます。ヤマハルーターは業務用ルーターとしては定番商品なので、中古市場に大量に出回りますし、その分新品もすぐ買えます。こうした入手性の高い製品を常用することで、冗長化を高めることができるのです。
10Gルーターの選択肢が少ない
コミュファのサポートの方が提案されていた今回の問題の解決方法は、2つあります。1つは、LMStudioの学習モデルをダウンロードする際、回線速度を意図的に制御すること。そしてもう2つは、コミュファルーターに接続した機器でダウンロードすることでした。
いやー、まぁ、言われたらそうなんですけどね。確かにコミュファルーターを使うならそれで問題解決かもしれません。いや、でもさぁ、ずっとYAMAHA使ってきたんだよ?それを今更家庭用に戻すったって、ねぇ?それに、またルーターの細かい設定をコミュファ用にやり直すというのも手間です。
試しにMacにApple公式の速度制御ができるアプリをインストールしました。でもこのアプリは元々はWi-Fi環境やもっとネットが遅い環境をわざとMacで再現して、アプリのダウンロードなどの挙動をテストするためのものでした。これを常用するのもなんか嫌だ。
これはむしろ、10Gルーターを導入するチャンスなのでは?この言葉が頭を過りました。なんだ、そういうことだったのか。RTX830でダメなら、それよりも上位のルーターにすればいいじゃない。
とも思ったのですが、これがまた新しい悩みとして始まりました。10G対応ルーターで業務用となると、途端に高くなるんですね。YAMAHAの10G対応モデルとなるとRTX1300で、これが新品で16万円ほどします。さらにポート数が多いRTX3510なんて定価90万円ほどしますからね。ちょっとこれはとても特定のダウンロードの問題を解決するためだけに投入できる金額ではありません。かといって、家庭用ルーターを買ってしまうと、最初のうちは速度が出るかもしれませんが、使っていくうちに動作が不安定になるのも同じことの繰り返しです。
要は堅牢と冗長のバランスが大切だということです。堅牢のためにお金を使ってしまっては、その冗長を維持するためのコストだって高くなります。かといって全く堅牢とは呼べないような機器を揃えてしまっては、今度はトラブル発生の頻度が高くなります。トイレの平和を守るためには、いつでもどこでも購入できる選択肢の中で、評判が良くて安いものを選ぶのです。
僕はこうした通信機器を選ぶ際は、まず価格.comを見ます。特にランキングや特定の機能に絞って検索することをよくやります。今回は10G対応ルーターを買いたいので、10G対応という条件のみでフィルタリングしてみました。実家暮らしの時代にはBuffaloを使っていて熱暴走を体験しました。コレガやプラネックスなどのBuffaloよりも低価格なルーターも試して、思った以上に動作が不安定だったことも良い思い出です。NECのAtermに総乗り換えしたこともありましたが、1年くらい使用してトラフィック過多で壊れました。最終的にたどり着いたのがASUSですが、10年使っていくうちに調子が悪くなりました。
そんな過去があったからか、価格.comのこの10Gルーターの検索結果を見ても、もう何もときめきませんでした(TP-Linkはかの国の製品なので避けています)。そもそもWAN側が10Gのルーター自体が、ここ最近になってやっと売られるような代物です。これ結構な闇だと思うんですよね。だって光回線業者さんらは10Gいいですよ!速いよ!とPRしているわけですけど、家電量販店やPCショップに行ってみたらその10Gに対応しているルーターなんてフラグシップモデルくらいですから。それと同時に10GのルーターのレンタルだってPRしてくるんだから。月額200円〜900円とかで。これにキャッシュバックなども絡んでくるからややこしい話になるんです。
果たして、お手頃価格で実現できる10Gルーターは存在するのか。文字数が結構増えてしまったので、今回はここまでにしようと思います。この文章が配信されている頃には、このお話は良い感じに解決できていて、今は快適なネット生活を送っています。
今回のnewsletterは以上となります。
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