生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
LEG稲沢キックオフイベントの衝撃
ロイロノートという授業支援アプリ・サービスを、愛知県の県立学校では使っています。 が、小中学校とは違って、あまり高校での授業実践例が少ないというのが実情です。
そこで、「情報が少ないのなら、情報を交換する機会を作ってしまえ」という考えで、LEG稲沢を立ち上げました。
そして10月23日の夜、そのLEG稲沢のキックオフイベント(最初のイベントのこと)を実施しました。 僕を含めて同じ勤務校の先生3人、他校の先生それぞれ3人、ロイロ社員の方1人が集まってくださいました。
まぁ僕が勤務校でどんな感じにロイロを広めようとしたかという話を30分くらいかけて行ったんですが、その後に聞いた名古屋市立矢田小学校の事例をロイロ社員さんから聞いたもので、その小学校での試みが凄まじかったんですよ。 僕が話したこと、全てが吹っ飛んだ勢いでした。 矢田小学校でのロイロノートの取り組みは、こちらで紹介されています。 https://bit.ly/2XOr1P1
もう・・・これまでの学校というのは、今後は無くなっていくのかもしれません。 知識の伝達だけに時間が割かれたような授業は、確実に終わりを迎えています。 今、本当に今、時代の転換期を迎えています。文科省も100年に一度の大改革だと言っています。
こんなにも今の小学生は、ICT機器を使いこなして、自分で問題を解決するような授業で勉強してんのか。 そしてその子たちが、少なくとも数年もすれば、高校に入学してくる。 それまでに、準備できるだろうか・・・。
そんな不安も少しありますが、今は割と、そんな子供たちが入学してきたら、きっと新たな試み、ワクワクする試みができるに違いない。そう思うようになりました。
今の小学生は、勉強にICT機器を1人一台使ってきた世代。そんな世代が大人になる頃には、どんな社会になっているのか。そして、高等学校という社会の一歩手前に位置する学校では、そんな彼ら彼女らに、どんな成長の機会が作れるのか。
学校の先生=知識の伝達者 という時代はまもなく終わります。偉そうに話す時代は終わります。
そんな時代の転換期に教師という仕事ができるのも、楽しいですよ。
愛知県の県立高校でObsidianの使用が許可された
Obsidianを使っていて、1つだけ不満があります。iOS版での同期に対応しているのが、iCloudとObsidian Sync飲みという点です。 まぁデスクトップ版もモバイル版も基本が無料なので、そういうところから収入を得る形にするのはわかりますが、少なくともデスクトップ版だけで運用するなら無料の範囲に収まってしまうのに、iPadやiPhoneからもObsidianを使おうとするとお金がかかるようになるっていうのは、iPadを日常的に使いまくってる僕としては、「頼むから、お金払うのも全然構わないから、Dropboxなどの他のクラウドサービスにも対応してくれぇ」と思うばかりでした。
とはいえ文句だけ言っても何も始まらないので、早期割引中にObsidian Syncにお金を払うことを決めました。 これで、iCloudよりも確実に同期してくれるようになりました。
ところが、Obsidian Syncを使う上で、問題が発生しました。僕が働いている愛知県立高校のネットワークからでは、Obsidian Syncの通信がファイアウォールの設定により遮断されていたのです。
愛知県立高校のネットワークについての内部事情をあれこれ書くと問題があるので、どの環境にも言える話として表現します。
多くの社内ネットワークの場合、ファイアウォールという不要な通信を遮断し、外敵から社内ネットワークを守る仕組みが導入されています。愛知県も例外なく、このシステムを取り入れています。 特にこれが学校のネットワークとなると強めに設定されて、他の現場よりも厳しめにルールが設定されていることが多くあります。このため、アプリはインストールしたものの、通信することができないという状態に陥ります。
県教委のICT担当の部署に調べてもらうと、Obsidianは次のドメインと通信しているっていうことがわかりました。
多分リリース情報関連
release.obsidian.md
アカウントでのログイン関連
api.obsidian.md
Obsidian Sync
sync-01.obsidian.md
sync-02.obsidian.md
sync-03.obsidian.md
こちらの使っている端末のホスト名を伝えて、あとはFirefallのログとのにらめっこ状態だと聞きました。
しかも、その設定には*.obsidian.mdみたいに、ワイルドカードが使えないので、通信しているドメインを割り出して、1つ1つ許可を与え、完全に動作するまで検証を続けるという地道な作業をしていただきました。
結果、これらのドメインを1つ1つ通信を許可してもらうことで、ようやくObsidianを愛知県の県立高校内のネットワークから使えるようになりました。 Dropboxなどの他のクラウドストレージサービスを利用するなら、こんな設定は全然不要だったんですが、Obsidian Syncを使うためだけに、かなりの時間を使って対応していただきました。
ちなみにこの対応に合わせて、愛知県の県立高校の先生向けに配備された端末にObsidianをインストールしてもOKというルールも設定してもらえました。 これで愛知県教育委員会が、教職員に対してObsidianの使用を正式に認めたわけです。
今後、愛知県の県立高校で働く先生方で、Obsidianユーザーがもっと増えると嬉しいです。
今回の申請も含めて、県教委の方に対応いただいているとき、ふと思い出したニュースがあります。
教師の副業・兼業の影響、是非について考える <育児漫画の出版が不許可になって係争>(妹尾昌俊) - 個人 - Yahoo!ニュース
育児についての漫画本を出版することの、兼職兼業の手続きが下りなかった、あのニュースです。
恐らくObsidianについても、ただ申請しただけでは、「インストールは許可できますが、一部使えない機能があります。ご了承ください。」くらいで終わっていたんじゃないかと思います。 僕はそれでは使う理由がなくなってしまうほど困るわけです。せっかく使うなら、ちゃんと使いたい。使わせてほしい。そう思って、県教委の方とのやりとりを始めました。
つまり、ただの書類上のやりとりのみではだめで、メールでも電話でも良いんですがコミュニケーションをとること。自分が望む状態になるまで続けること。そして謙虚でい続けること。これが功を奏して、Obsidianの使用許可に繋がったなって実感してます。
結果として、Firewallの設定で通信を許可するパケットを増やすということは、穴をあける箇所を増やしたということです。セキュリティのリスクがゼロからゼロではなくなります。obsidian.md系のドメインの通信がどれほどのリスクになるかは未知数ですが、ゼロではないことは確かです。 最初に県教委の担当の方には話をされ、それでもObsidianを学校で使いたい理由は何かと聞かれました。ロイロノートでもOneNoteでもない、新しいデジタルノートのアプリなんだということを、説明しました。 なんとか、なんとかお願いしますと電話越しに頭を下げる勢いで懇願しました。
「なんだ、Obsidianが満足に使えないのかこの県は。」と文句を垂れるだけでは状況は変えられません。僕は、もっと多くの人にObsidianを使って欲しくて、デジタルノートを日常生活で使えるような職場環境を実現したくて、何度も担当の方にお願いしました。
担当の方も、僕がこれを言い出さなかったら、もっと他のことに時間を使えたかもしれません。それでも教員からの要望があり、それが愛知県の教育のためになるのならと、時間を割いて対応してくださいました。
愛知県では生徒向けタブレット端末として、MicrosoftのSurfaceGo2が導入されました。Windows機です。個人的には最初はiPadが良かったなぁとも思っていましたが、Windows版Obsidianが動くわけです。それなら、子どもたちがObsidianを使っている授業が実現できるんじゃないか。もうそんな未来を想像するだけでドーパミンがめっちゃ出るわけですよ。 そんな未来を見るためには、どんな行動をとるべきか。正規のルートで申請して、動作確認のために検証作業の手伝いをすることではないか。という考えに至り、2カ月に渡ってやり取りすることになりました。
教員とて、県教委の方とて、愛知県の子どもたちのために、よりよい教育を実現するために働いています。Obsidianについて理解してもらい、子どもたちの新しい時代の教育に使えるという認識のもと、今回対応してもらいました。
規定外のことをバッサリ切ったり、ルールにないからダメだと言うのは簡単なことですが、人が働いている以上、それ以外の選択肢も出てくる。そんな人間くさいところが働いて、今回は良い方向に向かったんだなと思います。
そんな愛知県教育委員会に感謝しつつ、今回は終わりたいと思います。 「いいね」を押していただけると、大変うれしいです。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。
素晴らしい。面倒がらずに許可を求めて説明して回るのはダイジですね。