DX本の校正はじまる
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
DX本の校正はじまる
ここんとこ、毎日のように学事出版の編集者さんと連絡を取り合っています。
内容は主に、DX本についてです。スクールプランニングノートの生みの親でもあるこの方とは、iPad本の出版後もzoomイベントを企画したり、他のプロジェクトに一緒に関わったりと、出版以外でもやり取りをさせていただいていました。
普段は気さくなやり取りを続けていたので、いざDX本についてのやり取りってなったときに、メッセージのやり取りの言葉遣いがいきなり敬語になったりして、仕事モード全開になったときにはちょっぴり緊張もしました。
でもそんな緊張感が、本を作るモードへの切り替えにもなって、心地良さもありました。
責任が伴う仕事には、それ相応の緊張感が必要です。そのピリついた感覚が心地良いと感じれば、ゾーンに入ることができる。
僕はそういう感覚で仕事をしています。
学校のことで言えば、高校3年生の担任としての責任。高校卒業後の進路というレールは、生徒の一生を左右します。
担任という立場は、他人と言えば他人ですが、子どもたちの進路選択に関わっている以上発言にはかなり気を使います。
目の前の子どもたちに向けて、何か伝えられる言葉はあるだろうか。卒業後も心に残るような、気の利いた発言はできないだろうか。
朝と帰りのSTで、何を話したらいいだろうか。
毎日、そんなことばかり考えています。運転中も最近じゃPodcastじゃなくてBGMにしました。自分が無意識に考え事をしてしまっているので、誰かが話している内容が頭に入ってこなくなりました。
そんな今の自分と編集者さんが、僕の中では重なって見えました。
この3年間、自分が勤務校で取り組んだ内容を1冊にまとめて、読みやすいパッケージに仕立ててくれているんだ。
そう思うと、いよいよだ!という想いが内側から出てきて、自然と拳にも力が入ります。
特に魚住の文章の編集は大変だと思う
今回の機会で、学事出版さんから本を出させてもらうのは2冊目ですが、2冊ともに共通するのは、編集作業の大変さだなと、僕は思っています。
どこかで書いたかもしれませんが、僕自身が編集作業が苦手なんですよ。
自分が書いた文章であっても、書いた内容の流れの調整を自分でやるとなったら、本当に時間がかかってしまうんです。
僕が本という大きな文章のパッケージを作る場合、最初にテーマを決めます。後にそれがタイトルになるようなテーマです。ディレクトリ構造で言うと、ルートにあたる部分です。
そのテーマ自身は、編集者さんから「このテーマについて書きませんか?」と言われたように、第三者からの提案されることもありますが、
最近ではデイリーノートやnewsletterで文章を書いていて、「これはもっと深掘りできそうだな。しかも自分の主張も伴う」と思えるものがテーマとなります。
今回のDX本は、編集者さんとは出版以外のプロジェクトに一緒に関わっていて、そこで僕が学校DXの導入の難しさについて語っていたところ、後から「それをテーマにしませんか?」と言われたことがきっかけでした。
それと同時に、”初めて本を書く著書がいきなりロングセラーを出した”と学事出版の社内でiPad本が評価され、社長本人から「そろそろ2冊目は書けないのか」と編集者さんに相談もあったそうです。
なので今回の本のテーマが”学校DX”に決まったのは、割と早い段階からでした。
ただ問題なのは、僕の文章の書き方でした。
訓練が足りないだけかもしれませんが、僕は本当に、フリーラーティングの後の作業が苦手なんですよ。
そのテーマについて、ただただ自由に喋っていたい。もうそれだけです。それが一番楽なんですもん。
もちろん大まかな流れは考えます。それは普段の授業も同じ。あの話をして、その後にこれも言って、最後にあれを話して終わり。でもそんなくらいです。
だからこれまで、トップレベルから第2レベルくらいまで、大まかなアウトラインを考えて、それをテーマにして文章を書きました。
でもその先の、内容を入れ替えたりする細かな作業は、全部編集者さんにお願いしたんですよ。
本の話が決まって、テーマが決まって、それについて書けることを書く。ある程度塊になったら、その書いた内容のmdファイルを編集者さんに共有する。もう僕がやったのはそれだけです。
編集者さんは僕から文章の塊を受け取って、受け取った中身の順番を考えて、入れ替えて、文章の表現を修正して、内容が伝わりやすいように、読者が読みやすい文章にしてくれました。
編集者さんって、本当にすごいなって思います。「お前それフリーライティングで出した文章そのまま送っただろ」って思われるような文章を送ったはずなのに、ちゃんと本として読める文章になって返ってくるんですよ。
僕は自分の文章が、そのままでは読みづらいことを誰よりも自覚しているので、読みやすい文章になって返ってきたのを読むと、本当に感動します。
自分の口調が残ったまま、ひょっとしたら元の文章よりも伝えたいことが伝わる文章になって、最高の形で戻ってきた。
毎週こうして書いているnewsletterも、1回書いた後に上から読み直すんですが、その作業が本当に苦痛なんですよ。気になるところを直さないといけないし、直したとしてもまだ直しきれてないかもしれない。もう本当に嫌。
でも、それをプロの方にお願いすると、こんなにも気が楽で、最高の形で文章が返ってくるんだって感動します。お金が発生しているので当然っちゃ当然なんでしょうけどね。
もうそろそろ、ゲラが送られてきて、いよいよ紙媒体での確認が始まります。いよいよだー!っていう気持ちが強くなってきました。
タイトルの方向性が二転三転
Twitterで少しだけ、タイトルについて困っている感じのツイートをしました。そう、ここ最近は、僕はあまりツイートしなくなりましたよね。
余裕が、ないんですよ。つぶやく余裕が。 newsletterのURLから生成されたサムネありのツイートが1週間に1回水曜日にあるわけですが、サムネからサムネまでのツイートの回数がかなり減っています。
話を本のタイトルに戻します。 『教師のiPad仕事術』のタイトルは、原稿を書いている時からほとんど決まっていました。学事出版の営業部の方からも、「これしかないよね」という言葉があって、あまり迷わずに決まったそうです。
ただし今回の本は、仕事術とは一言では言えないような内容です。
もちろん、テクニカルな部分もなくはないんですが、それよりも大事な「考え方」にかなりのページ数を割きました。そして、テーマに沿ったエピソードが多く盛り込まれています。
ノンフィクションで語られた物語と、内容を補填するための知識の部分の、両面から書いた学校DXの本です。
そのこともあって、タイトルをつけるのが難しくて、一筋縄ではいきません。
よくある学校DX本だと事例の紹介が主な内容になると思いますが、学校の現場というのは、そんな事例集がいくら出版されようとも、「よしその手法を取り入れよう!」とはなりません。
ここがね、本当に苦しいところで、どれだけ素晴らしい試みだとしても、何人の子どもたちがその改革で救われることになろうとも、それが導入できない。
そんな場面がしょっちゅうあるんですよ。
自分だけがチャレンジして、他に一切迷惑をかけない取り組みなら、いくらでもやって良いんです。でも、学校全体で何かに取り組むとか、これまでのやり方を変えようとか。そういうことをやろうとするだけで、後ろ指をさされます。
そのくせ、高校では入試の出願者数を増やすために、PRもやります。チャレンジを潰しておいて、何をPRするんだと言いたくもなります。
そんな悪しき学校文化を、どうやったら変えることができるのか。どうしたら、新しい試みを応援できる学校になるのか。
そんな内容を書いた本。もうこれは、学校DXの範囲を超えているんじゃないかと思いました。
学校DXを進めることができる学校はきっと、今後また新しい時代に移り変わる時だって、対話を重ねて、どんどん変わっていけるはず。
じゃあ、変われなかった学校は?たまたま新しい試みにご理解のない管理職がいる学校だったら。一部の先生方が、変えなきゃと思っていたとしても、誰もその考えに賛同してくれなかったら。
僕の周りでも、日々奮闘しているICT担当の先生がいます。
周りの先生方からの要望に応えることに一生懸命の先生もいれば、反対に何を言っても管理職の先生がNOと言い、心を痛めてしまった先生もいます。
今回の僕の本は、過酷な環境で、誰も認めてくれない中で、どうやって学校DXを進めることができたのか。多くのエピソードを交えて、これからの未来の学校の作り方について1冊にまとめました。
正直、まだタイトルが定まってないんですよ。
このnewsletterを書き始めたときは、実は結構タイトルの案が固まりつつあって、あー良かったよかった。一時はどうなるかと思ったよ。なんていう話を書く予定でした。
でもその中で、編集者さんと確認していくうちに、やっぱりタイトルは最初に出した案が良いんじゃないかという結論に達して、二転三転していくうちに一周しちゃった!みたいな感じになりつつあります。
ChatGPTに聞いても、ひたすら本のタイトルをあれこれ検索しても、自分が求めていた単語には辿り着けませんでした。
この文章を配信する2023年4月19日に、出版社の社内からの意見も再度頂戴して、ほぼ確定という流れに持っていく予定だそうなので、良い表現が何か、今でも考えています。
ちなみに、方向性は2つあって、 1つは、『教師のiPad仕事術』に寄せたものです。 実はこの本、角書きと言ってタイトルの前に「仕事がサクサク進む」がついてるんですよ。
Amazonに登録された書籍名は『仕事がサクサク進む 教師のiPad仕事術』です。
学校DXもこれに似せた方向にしようという話が、最初に出ました。
ただちょっと、今回のは仕事術系ではないし、僕以外の先生も登場するので、単純な仕事術ではないなというのが正直な感想です。
平たく考えるなら、iPadの部分を学校DXにするんですけどね、その後ろにどんな文字をつけるのか、今考えているところです。
それともう1つは、物語の内容を抽象化したようなタイトルです。
例えば、Linuxを作ったリーナス・トーバルズさんの『それがぼくには楽しかったから』 それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実 (小プロ・ブックス) | リーナス トーバルズ, デビッド ダイヤモンド, 風見 潤, 中島 洋 |本 | 通販 | Amazon
似た系統として、こちらの『だから僕たちは、組織を変えていける』 だから僕たちは、組織を変えていける ワークブック | 斉藤 徹 |本 | 通販 | Amazon
これらの系統も可能性として考えています。 僕はどちらかというとこっちのタイトルの方が好みなんですよね。
ただし、編集者さんが言うには、教育書としての出版で後者のタイトルをつけると、途端に”自費出版っぽくなる”という印象が持たれるようです。
つまり、学校の先生向けの本にはこうした意味深なタイトルというか、心に訴えるようなタイトルをつける風習がないということです。
角書きを見て、タイトルを見て、自分が働いている校種(小学校とか中学校とか)に関係があって、読むと仕事に活かせそうだと判断したら初めて手に取ってくれる。
この動きで考えた時に、「僕が組織を変えてやったぜ」みたいなタイトルにしちゃうと、教育書としては違和感が出るそうです。
で、自分がこれだけ頑張ったんだよというお話をまとめるような自叙伝的な内容の本を、著者が出版社にお金を払って出版してもらう自費出版という形で出したがる人がよくいらっしゃるようで、
その業界の人が見たら、「あぁこの人も、タイトルだけでは内容がよくわからない、感情全開の本を自費出版で出したんだ」と勘違いされる可能性があると聞きました。
僕自身が、自費出版と勘違いされるという可能性を考えていなかったので、自分にとって新たな視点でした。
そりゃ自分でお金出して本を出すなら、タイトルなんてなんだってアリですよ。でも僕としては、出版社からの依頼があって、お金をもらう立場で出版することが、自分自身への価値の担保にもなるって考えているので、ここは編集者さんの感覚を共有するしかないなと思いました。
自分だけの感覚で意見を言い続けていると、相手から「あーこいつ、何も分かってねーな」って思われちゃいますから、それだけは避けたいんですよね。
5月下旬納品
昨年の夏ごろから、ずっと原稿については執筆を続けていて、年が明けた頃にはもうほとんど書けていたんですが、全体の構成だったりタイトルに、結構時間を使ってきた感じがしました。
それもこれも、僕の文章の書き方の基本である、頭の中から流れてくる文章をたくさん編集者さんに渡して、その塊にタイトルをつけてもらうというやり方だからなんでしょうけど。
僕はやっぱり、その方が本になるくらいの文章が出てくるんですよ。「これについて書いて!」どーん!と言われると、うぅぅってなって、重圧がのしかかって、自由に書けなくなっちゃうんです。
ほんと、僕の文章の編集は、そういう意味で大変だなって思いながら、最近は編集者さんに感謝ばかりしてます。
スクールプランニングノートの公式ガイドブックがきっかけで出会って、もう7年くらいの付き合いになります。
たまに、近況報告も兼ねて通話もするくらいの仲なので、仕事だけの関係に留まってない感じがあります。
そうそう、ゲラが今週末にいよいよ届きます。1回目の校正の締切が来週の火曜日なので、次回の配信ではゲラの話をしている感じがします。
それが終わってGW前に2回目のゲラが届いて、GW中に直せるだけ直して、GW明けにはいよいよ印刷に入るそうです。
Amazonに本が登録された時に、そこに出た日付が公の発売日となります。
もの自体が出版社に納品されるのが5月下旬なので、6月の頭に発売です。
うおおおおおいよいよだああああという感覚で、ここ数日、編集者さんとラストスパートを一緒に走っています。
iPad本とは比べ物にならないくらい、僕も編集者さんも熱を入れています。教育書で、ここまで書いたのは見たことがない。そんな言われ方をされて、ウキウキしながら走ってます。
発売まであと1ヶ月。楽しみにしていてください。
そうそう、最後にちょっとだけ自慢させて。『教師のiPad仕事術』が、その出版社がこれまで出してきた本の中で、その著者が初めて書いた本にも関わらずここまで重版しまくったのは初めてだそうです。他の教育系出版社からの妬みもあるそうです。他の先生がiPadの本を出しただけで、僕の本のn番煎じになってしまうので、僕自身も他の先生方から相当妬まれてるんじゃないか。そんなことを編集者さんに言われました。
きっと僕のやる気を出すために言ってくださったんでしょうけど、いきなりiPadで出てきたスーパースター的存在みたいに見られてますよと言われて、ここ最近有頂天気味です。いや、ごめんなさい、今日も気を引き締めて仕事します。
学校DX本は、他の先生には絶対真似できない本だぞ。
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