情報整理大全の話が進んでいる
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
これが配信される頃は、勤務校で1年生と2年生が学年末考査を実施している時期です。
プログラミング課題の提出期限を22時にしたらえらい目にあった話
今、学校は3学期です。勤務校は3学期制なので、4月〜7月を1学期、9月〜11月を2学期、12月〜3月を3学期と期間を分けて、成績をつけています。
その3学期の締めくくりとして、テストを実施するわけです。それが学年末考査という名前のテストです。
そしてテストだけではなく、授業中に生徒に課した課題などもこの時期に点数化し、5段階や10段階の評定を算出します。
今から話すのは、学年末考査に絶望しつつも何とか課題の点数だけは確保したいという動機で、プログラミングの課題をあの手この手でクリアしようと翻弄した生徒と、それを理解しつつも正面から迎え撃つしかない運命を辿る教員との戦いのお話です。
そう、あれは2月16日のことです。 情報の科学のプログラミング課題を16個ほど生徒に課しました。教材はScrapboxに入れて、iPhoneやAndroidでもPythonを動かす方法も説明済みだったので、家庭でも学習が進められるようにも工夫しました。
その課題の提出期限を、ロイロノート上で2月16日の22時に設定しました。パソコンからでもスマホからでも課題提出が行えるので、生徒は自宅にいながら課題に取り組めて、終わったと同時に提出できるわけです。
これがね、本当に便利です。これまでは夜に宿題をやったら、翌日学校でノートやプリントなどを提出する必要がありましたが、ICTを駆使すれば宿題が終わった瞬間に提出できることで「宿題になっていたノートやプリントを忘れずに学校に持っていく」というタスクがタスクではなくなりました。
ところが僕が出題したPythonのプログラムを作成する課題、これがなかなか今年度の生徒には難解だったようです。
21時を過ぎたあたりから、普段の授業ではプログラミングを諦めて魂がどこか遠くへ行っていた振る舞いをしていた生徒らが、一斉に課題の提出をし始めました。びっくりしました。10進数から2進数に変換するプログラムや、二分探索のプログラム、入力した数値が素数かどうか判定するプログラムなどが、分単位で提出されてくるのです。
もしスマホを片手にそんなプログラムをパパッと書けるのなら、将来はバトルプログラマーシラセになれるんじゃないかと思うほどです。
[BPS バトルプログラマーシラセ - Wikipedia]
まぁ冗談はさておき、中にはロイロノートのカードのスクショを提出してくる生徒もいました。ある意味強者です。
締め切りの時間が迫るにつれて、このコピペ大戦争(書いている今、勝手に名付けました)に参戦する生徒が増えました。提出された課題の内容を1人分チェックしたら、他の5人の生徒が新たに課題を提出してくる様子がピーク時には確認できました。
そのプログラムを、その生徒が本当に書いたのかどうかというのは、確認する術がありません。これは他の教科のノート提出も同じで、その生徒がオリジナルで書いたものなのか、それとも誰かのノートを写したものなのか、判断することはとても難しい問題です。答えが決まってくるような内容だと尚更です。
真面目に課題に取り組んで、進みが遅い生徒よりも、友人らのネットワークを頼りに課題のコピーを提出してきた生徒の方が、下手したら課題の点数が高くなってしまいます。 こればっかりは、課題によっては避けられない悩みです。個人的にはかなりモヤモヤしますけどね。
なので、その単元の実力を測るためにテストを実施するわけです。プログラミングとなると、当然ですがプログラミング的思考力を測りたいので、課題の答えとなるコードを丸暗記しただけでは解答できないものを出題する必要があります。
今年の学年末考査の内容は、自分でいうのもあれですが、良い出来のものが作れました。チームティーチングとして一緒に授業を進めてくださっている先生にも解いていただきましたが、解き甲斐のある問題だったと唸っておられました。
コピペをやっただけでは、赤点なんて到底回避できない。そんなテストに仕上げたつもりです。
今年の生徒がどんな点数を取ってくれるのか、今から楽しみです。(あれ、ちょっと悪役っぽい?)
情報整理大全の話が進んでいる
先週は情報整理学会の話を書きました。あの原稿を書いていたのが年末です。 そして年が明けてひと段落した後に書いていたのが、情報整理大全シリーズです。 既に5冊出ています。
これの6巻目として僕が書いたものが出ます。 まだ詳しい日程は話せませんが、3月中に出せたら良いなぁという流れです。
内容は、NotePlan3についてです。 僕は最近、NotePlan3を使っていなくて、Obsidianに以降してしまったんですけどね・・・。なので、僕がNotePlan3を使っていた頃から、それをObsidianに移行して使い続けるまでの流れを書きました。 NotePlan3、良いアプリだったんですよ。作者もすごく親切な方です。何度TwitterのDMでお世話になったことか。
NotePlan3がどんなことに使えるのか。どういう経緯で開発されたかについては、Youtubeで作者のエドワードさんがインタビューに答えているので、それを見ていただくのが一番勉強になると思います。
もう使わなくなってしまったんですけどね。 Obsidianの強みは、対応プラットフォームの多さだと思います。僕にとって、そのツールを導入するかどうかの重要ポイントが「iPadで動くかどうか」です。 僕にとってiPadはどこにでも持ち歩く相棒的存在なので、iPadで動かないものは受け付けることができません。
僕の中での転換期は、このツイートでした。 Obsidianの画面の中で、最初はCalendarプラグインを入れたものの表示が固定できなくて困っていました。その後で気づいたんですよ。ピンを刺せば良いってことに。 NotePlan3とはカレンダーの表示の位置が異なりますが、やれることはほぼ一緒。ここからObsidian人生がスタートしたわけです。
ただNotePlan3の頃と比べると、見出しの中の本文が、カーソル位置が見出しの場所にないと折り畳めないっていうのがちょっとまだストレスです。 NotePlan3の頃は、見出しの中身を頻繁に折りたたんでいたんですが、この挙動に馴染めなくて、Obsidianでは内容を折りたたむのをやめてしまいました。
Obsidianそのものは2021年7月頃から使い始めてはいるんですが、気分はまだまだ初心者です。
愛知県の高校入試の志願者数が発表された
愛知県教育委員会は、令和4年度入学者選抜の志願状況を発表しました。
リンク先には、PDFにまとめられた県立高校の倍率が公開されています。 これらの数字の読み方については、昨年末にブログ記事にまとめました。
定員割れを起こした県立高校が生まれ変わるための方法の模索 – さおとめらいふ
愛知県の県立高校は、多くの学校で定員割れを起こしています。定員が割れている理由はいくつかあります。
そもそも子供が少ない(教員や学校の数が多い)
その学校に魅力がない(他に魅力がある学校がある)
私学の助成金が充実してきた
今パッと思いつくのはこれくらいです。 この3つのうち、最初と最後の理由についてはどうしようもありません。
僕が学校経営者なら、あの倍率を見て、倍率が2倍や3倍を叩き出している高校が打ち出している特色をリストアップして、自分の勤務校でそれ以上の成果を出せることをやらせますよ。 発信する魅力もない学校がいくら魅力を発信しようとしても、何も出ません。
今後地方の過疎化が懸念されている日本で、愛知県だけ子供の数を増やすのは無理があります。
ちなみに愛知県の人口そのものは、微増しています。
令和2年国勢調査結果速報 -市町村別人口及び世帯数- (2020年10月1日現在) - 愛知県
つまり、亡くなっている方の数よりも、生まれてくるor引っ越してくる人の数の方が多いということです。
ただし、人口ピラミッドを見ると、あぁ日本だなという形をしています。
グラフ4 2020年 人口ピラミッド(愛知県)-人口 - - 愛知県
このグラフから、アラフィフ世代が多くて、年齢が下がるにつれて人口が少ないことがわかります。 深刻なのは15〜19歳の数よりも、10〜14歳の数の方が少なくという事実です。これを見る限り、今後高校に進学してくる子供そのものが少なくなり続けることが容易に予想できます。 教員が、余ります。
更に愛知県では、この危機に対して学校を統廃合する計画を立てています。 県立高等学校の再編について - 愛知県
もうこれだけで考えられる未来がイメージできてしまいます。 今後の愛知県では、アラフィフ世代がどんどん再任用教員として雇用されて残り続け、教員の数が減りにくくなります。その分、新規採用者の採用数が減ります。 教員の平均年齢は上がる一方です。デジタルネイティブ世代が入ってきたとしても、これまでの組織体制のまま、ニューノーマルな考え方にシフトできない学校が今後も根強く残るでしょう。誰が何と言おうとも。
ただ、このまま人口減少が続けば、自分が住んでいる地域に通える学校がないという世帯も出てくる可能性があります。考え方が転換できるのならば、オンライン授業が主体の通信制高校が一般的になることも十分にあり得ます。 それくらい学校の形を変えないと生き残れないというのが僕の私見です。
それかもう、その高校に通うとかではなくて、 住まいから通える学校の校舎に行って、自分に合うカリキュラムに沿って勉強を進めるような学校の形に変容すれば、もう学校という枠組みで教育を考えなくてもよくなるとも考えられます。これはちょっと僕の妄想に過ぎませんが。
今の学校制度は、人口ピラミッドがピラミッドの形をしていて、日本が経済成長していくのを前提としていると思うんですよ。しかしそれが今、衰退の道を歩んでいる。となれば、これからの時代と人にマッチする学校制度が必要だよなと考えてます。
ちょっと最後の方はかなり妄想が入っていますが、ICTを取り入れた教育と個別最適化を極限にまで突き詰めると、そんな考えに至りました。ある意味、個別指導学習塾みたいなビジネスモデルが、近いうちに普段の学校にも現れてくるなぁと考えている今日この頃です。
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