進まないプロジェクトは、進めるしかない
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
プロジェクトを進めるためには、やるしかないんだ
気がついたらもう12月。来週にはHHKBミートアップが開催されます。 HHKBユーザーミートアップ Vol.6 | PFU 僕も過去に2回ほど出演というか参加させていただきましたが、今回はただの参加者です。
PFUさんは毎年この時期にミートアップを開催してくれるので、僕にとってはミートアップの告知を見て、「あぁ、今年もそんな時期になったんだなぁ」なんて思うようになりました。
学校では期末考査が実施されている時期で、勤務校ではこのnewsletterが配信される週の月曜日までがテスト期間でした。
この文章を書いているのは12月4日で、明日がちょうど僕が担当している情報Ⅰの期末考査が実施される予定なので、ちょっとドキドキしながら週末を過ごしています。
テストを作る側をやるのって、結構不安になるものなんですよ。問題に不備があったら嫌だなとか、平均点が30点くらいだったら嫌だなとか。色々と思うところが出てきます。
特に、情報の教員は各高校に1人いるかいないかなので、出題する内容について相談する相手が勤務先にいないっていうのも悩みどころです。だからこそ研究会が拠り所なんですけどね。
毎年、期末考査を作る時には、情報が専門ではない先生に一度見てもらい、実際に解いてもらってからクラス数分の印刷作業をするようにしています。
となると、問題を実際に解いていただく先生の時間を考えた上で、少し早めに完成させなければなりません。
しかしお恥ずかしいことに、今回の二学期期末考査の問題要旨が完成したのは、12月2日金曜日のことです。月曜日がテストの実施日だというのに、前の週の金曜日の夕方に印刷していました。ちょっとこれは、僕としても失態だと思えるほど仕事が遅い。
前任校ではテスト実施日の早朝に印刷していたこともあったのでそれよりかはマシだなと思いますが、それはそれでギリギリセーフで、人としてどうなのと思われるレベルです。それを抜きで考えたら、今回も十分ギリギリだと思われるタイミングでの印刷です。
ただまぁ、言い訳が許されるとするなら、タブレット端末の整備や、情報Ⅰの内容で、これまで教えることがなかった分野をテストの問題に入れることにもなったからというのを理由にしたいところです。
タブレット端末の準備の期間中は毎日のように19時以降まで残り、割り振りも20時間ほどいただきました。普段なら17時半まで部活をやり、その後30分〜1時間ほど雑務や教材研究をやっていたところを、15時半から19時半までタブレット端末の設定作業に全振りしました。
そりゃ他のタスクが一切実行できていなくて当然といえば当然です。
普段通りに仕事をしていた頃に感じていた余裕は、全くありませんでした。体力的にも精神的にもカツカツな日々でした。
そんな中、全く作業が進んでいなかったプロジェクトがありました。
学校DXの本の執筆です。
newsletterも書いていて、ブログもたまに更新していながら、この「学校DXの原稿を執筆する」っていうプロジェクトだけが、全く進みませんでした。
いや、それだけじゃない。newsletterも実は、苦し紛れに文章を引き延ばして書いた感じが自分の中にはありました。
この生活は、長くは続けられないな。そう思っていた矢先に学校での仕事にひと段落ついて、目の前のプロジェクトに追われていた自分から、ちょっと全体を見通せる自分にまで回復できました。
今回は、自分の過去を振り返りつつ、「放ったらかしのプロジェクトを、どうやったら進めることができるのか」について考えていきます。
『限りある時間の使い方』
先週の金曜日のことでした。妻のゆかさんから、「この本、やっと借りることができたんだよ。ブログとかで整理術とか書いてる人の間で話題の本みたい。」と、1冊の本を持ってきてくれました。
タイトルは、『限りある時間の使い方』です。
限りある時間の使い方 | オリバー・バークマン, 高橋 璃子 |本 | 通販 | Amazon ふむふむ、なるほど。翻訳された本。しかもそこそこの分量です。
著書のオリバー・バークマンさんは、かつてライフハックなどで生産性を高めることが大好きだったようで、様々な手法を試したそうです。
でも、インボックスは絶対にゼロにはならないし、GTDでタスクをこなしていっても、タスクを実行するスピードが上がった弊害として、結果的にこなすタスクが増えてしまったとも告白していました。
なんかね、読んでいて、すごく人事じゃないような感覚があったんですよ。
自己啓発本を読むことが好きな人にも同じことが言えると思うんですが、「もっと仕事ができるようになるはずだ」なんて思っている人は、ある種の生産性ジャンキーになっていると僕は思うんです。
でもこの本では、自分の限界を知ること、それ以上の仕事をしないことで、生産性という言葉の魅力に取り憑かれないように生きることを推奨していました。
しかもこの本ね、ゆかさんが読みたいと思って借りてきた本のはずなんですが、読み進めていくと、デビットアレンが出てくるし、人間というものを理解しようという話のくだりにはハイデッガーも出てくるしで、ゆかさんには悪いんですが荷が重そうな本なのかもと思ってしまいました。
どちらかというと、日本で大量生産されている残念な自己啓発テクニック本の類ではなく、ブックカタリスト向きな本だと言えます。
「ブックカタリスト向きな」というのは、”五藤隆介さんと倉下忠憲さんが面白かった本について語るポッドキャスト:「ブックカタリスト」で紹介されそうな”という意味を縮めた表現です。普段からブックカタリストを聞いている人なら「あ〜」って思うはず。
なのでこの本を持ってきてくれたその晩に、基本的に僕が読み進めながら、ところどころ重要そうなところを隣のゆかさんに話すという、リアルタイム要約をしつつ感想を言い合うという、即興読書感想文的なことをやりました。
タイムマネジメントやタスク管理という、僕自身も長年追いかけてきたテーマに近い本だったためにできた芸当でした。それでも1時間かけて本の内容の半分も進められなかったので、全部を読みながら話し終えるのに何時間かかることやら。
進まないプロジェクトは、進めるしかない
そこで、今回の配信のタイトル回収になるんですが、この本では人間には限界があるとは言いつつも、
効率を上げていって1日により多くのタスクを実行したとしても、本当にやりたかったタスクは先送りされたままだ。
だの、
本当にやりたいタスクがあるのなら、今すぐ実行すべきだ。
だの。至極まともなことを言ってるわけですよ。
この言葉を読み上げた途端に、隣にいたゆかさんが「ほんと!それ!原稿書く書くって言っておいて、全然書いてないじゃない!ガオガイガーのプラモなんて買ってる場合じゃないんだって!私がどれだけ家事をやってる間に」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
引いてしまった。トリガーを。でもど正論です。何も反論できません。
普段から生徒には期限までに課題を提出しなさいとか、普段の生活の波にのまれてないでやりたいことをやりなさいとか言ってる自分が、2冊目の紙の本を出したいとか言っておきながら原稿が書けてないんですよ。
結局行き着くところは全て同じなんです。「それをやりたいなら、今すぐやれば?」なんです。
もし、やりたいことをやっているはずが、それが現実逃避になってしまっているのなら、「それが本当に人生、今、この瞬間にやりたいことなの?」と自問し続けるしかないんですよね。
この本を読みながら、ゆかさんにグッサグッサと刺さる言葉を浴びせられたことで、目が覚めました。お尻に火がつきました。
それにしてもこの本、倉下さんが書いた『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』に似ている気がするな。 「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書) | 倉下 忠憲 |本 | 通販 | Amazon
心の引っ掛かりを全部書き出す
手前味噌なテクニックですが、プロジェクトについてのノートをObsidian上で作るようになって、そのプロジェクトについてのMOCの役割としては完成しました。
ただしそのままでは、そのプロジェクトが進行中であることは認識できても、進めることができずにいました。
実際にどういう行動を取ったのかを詳しく語るのはナレッジスタック用として取っておくとして、ともかくそのプロジェクトを進めるにあたって、心の中で引っかかっていることを書き出すようにしました。
これについて不安に思っているとか、あの件がまだちょっとうまく書けないとか。いつもいつも本の原稿を書かなきゃなと思った次の瞬間に思うような「でもあれがまだなんだよな」みたいなみみっちぃ不安要素を書き出した上で、それらをぼーっと見ながら解決策を考えました。
と言っても大したことない問題なので、「それならそれを後回しにして、こっちから書くか」といった感じに、次に何をすべきなのかを明らかにした状態で、さらにその項目も追記していきました。
そうすることで、これまで止まっていたものが動き出して、次のアクションが明確になりました。明確になると不思議なことに、「なら今からこれができるか」と思いながら着手できるようになったのです。
本当にやりたいことは、今すぐにでもやらなければならない。この言葉は正論と言えば正論ですが、ただこの言葉の通りに動こうとすると重荷になってしまうので、「本当にやりたいことを実現するために、今やれる一番簡単なことを考えて実行する。」が自分にとって気軽に実行できそうだなという結論に辿り着きました。
そう思うと、このタイミングでゆかさんがこの本を借りてきたことに、運命的なものを感じます。
自分を物語の主人公だと考える物語思考
ちょっとスピリチュアルな考え方ですが、僕は自分の人生を振り返ってみると、「あぁ、あのタイミングであれを経験するってことは、今思えば意味があったんだな」と思うことが結構あります。
逆に考えると、自分の人生に降りかかったものを、意味のあるものにしようと行動してきた結果かもしれません。
よく自分の人生をゲームのストーリーのように見立てて、「お、これって何かのフラグか?」と思ったり、「このタイミングでこのイベントが発生したかぁ」なんて捉えたりします。
RGガオガイガーも買えて、期末考査も作り終わって、あとは成績を処理するだけでしょ?
そんでもって、HHKBミートアップのために時間を作らないといけないんでしょ?
原稿いつ書くの?ネトフリでジョジョ見てる場合じゃないよね?
一つやり終えたら、また一つやるべきことが出てきました。いや、目を背けていただけですけど。
まだまだこの物語は、終わりそうにありませんね。
今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。内容に関するご意見ご感想がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。あ、大掃除計画するの、忘れとった。