真剣に取り組んだからこそ、そこから見える景色がある
生きることにこだわりを。魚住惇です。 今回もちょっとしたこだわりに、お付き合いください。
万年筆のインクがかすれる問題を、ペン先を自力で調整して解決した話
先週の金曜日のことです。僕は年休を取得していつもより早く帰宅しました。学年末考査中だったので、昼からの授業もないし、それに僕の担当している情報の科学は最終日の実施だったので、成績処理もできないし。ということで、早く帰りました。
で、せっかく早く帰ったのだから、普段やれないことをやろうと思ったのです。
その時に思ったのが、万年筆の洗浄でした。
なんか最近、インクがかすれることがあるなぁって思いながら使っていました。
ちょうど、3Dプリンターでペリカンの万年筆のネジをしめる工具を印刷して、ネジをしめた頃からインクがかすれるようになったので、「これはひょっとしたら、ネジをしめすぎたか?」と思っていたのですが、そんなことではインクフローには影響は出ていないということが、洗浄してみてわかりました。
じゃあ一体、何が原因なんだ。
吸入したインクが古いからか?やっぱり2015年に買ったインクをまだ使っているのがよくなかったか? と考えを巡らせていたのですが、他のインクに入れ替えても、紙の種類を変えてもまだかすれる。
どうしたものか、これは困ったぞ。と思いながら、ペン先をみていると、ちょっとペン先がずれていることがわかりました。
これが問題だったのか・・・。というか、よく肉眼でそれが見えたなっていうことも自分でも思いました。
でも肉眼でもうっすら光の加減で分かったのです。万年筆のペン先の、左と右の高さがずれていて、ペン先が揃っていない。
だから紙とペン先の摩擦が変な感じになっていて、インクも出ないしなめらかに紙の上を走らなくなった。
本当ならペン先の調整は、メーカーに送るかペンクリニックを実施している場所に持っていって、お金を払って診てもらうのが筋というもの。
でもペンクリニックは急には実施してくれないし、タイミングもなかなか合いません。
どうしたら良いのか・・・。
と思いつつ、今回は自分の指先を信じて、ペン先を少しだけ曲げてみました。
これがなかなか繊細な感覚を要求してくる作業でした。本当にグイッと曲げてしまったら、一発でオシャカになってしまいます。かといって、ほんの少し曲げようとしても、金属の反発で意外とびくともしません。なのでペン先に力を微妙に込めて、曲がるか曲がらないかわからないくらいの力を、若干の強弱をつけながら入れました。
強い力を込めたら壊してしまうので、本当に本当に弱い力を、入れたか入れていないかくらいの行動を何度も繰り返しました。
その結果、以前のような滑らか書き味に戻すことができました。むしろインクフローが良すぎるくらいです。
今回の行動が成功だったかどうかはわかりませんが、ペン先がかすれる感じも伝わらなくなり、ぬらぬらとした書き味が蘇りました。
6万円ほどする万年筆が、一発で再起不能なものになってしまう。それがペン先の自己流調整です。できればもう2度とやりたくない作業です。
今回はなんとかなりましたが、次はペンクリニックまで待つか、信頼できる方にお送りして、ペン先の調整を依頼しようかと思います。
今思えば、ルーペもなしによく肉眼でペン先を見て調整してたなって思います。買おうかな、時計職人さんがよくまぶたに挟んでいるアレ。
もし僕が万年筆を走らせている姿を、見る機会がある方がいらっしゃいましたら、「あぁ、この万年筆が、あの苦難を乗り越えたやつかぁ」と思っていただけたら幸いです。
学年末考査が無事終了した
2月28日月曜日が勤務校の学年末考査最終日でした。しかも僕が担当している情報の科学が最終日の2限でした。その日は2限で終わる日だったので、まさに最後の最後に情報の科学のテストが実施された形になりました。
勤務校の学年末考査は5日間で実施されます。先週は水曜日が祝日だったので、最終日だけ翌週の月曜日に移っていました。つまりね、この前の土日は最終日の科目の勉強のためだけの2日間のお休みだったわけですよ。
そうかぁ、情報の勉強をたっぷりやる土日になるのだなぁ(ニッコリ みたいな感じに過ごしていました。
当然、夜になっても質問のメッセージが届いたり、ロイロノートのカードが届いたりしました。返せる分、返しましたけどね。
今この文章を書いているのが日曜日の夜なんですが、ちょうど今の時間は、誰も質問や嘆きのメッセージを送ってきていません。頑張っているのか、諦めて寝てしまっているのか。
今回の学年末考査は、昨年度と比べて大幅改定しました。まずプログラミング言語をScratchからPythonに変更しました。それに伴って、来年度の入学生から始まる「情報Ⅰ」を見据えて受験問題を意識した作りにしました。難易度は、そこそこ上がっていると思いますが、解き甲斐のある問題を用意しました。
特に観点別評価に対応できるように、「この問題は何を生徒に答えさせたいのか」というのも意識しながら問題を作成しました。
前回のnewsletterに書いた、なんとか課題の点数だけでも取ってやろうと課題の答えを入手し提出したであろう生徒よりも、普段から真面目にプログラミングと向き合って頑張ってくれた生徒が点数を取れるような問題を入れたりもしました。
どうやったら、生徒にプログラミング的思考能力を養う活動を授業で展開できるのか。今年度はかなり考え込んだと自分で思っています。
テストの問題用紙を作るっていう仕事、僕は今回は楽しんで取り組めたと思います。 情報の勉強を頑張ってくれてる生徒がいて、なんとか点数を取ろうとしてくる。その想いに向き合うということは、点数を取りやすい問題を用意して甘くすることではなく、勉強した人にしか解けない問題を用意して迎え撃つことだと思っています。
自分が担当している科目を真剣に勉強してくれているのですから、こちらも真剣に対応したくなります。まるで武道で師匠と弟子が試合をしている感じですね。こちらも真剣に問題を用意しないと相手に失礼というものです。
生徒たちは、先生方が本気なのか手を抜いているのか、本当に鋭く見破ります。僕も生徒だった頃は「あ、この人てきとうにやってんな」とか思っていたこともありました。逆に話している人が真剣だと、聞き手もその空気を読み、真剣に応えようとしてくれるものです。
自分でいうのもあれですが、今年度は来年度を見据えた授業展開を考えながら過ごしてきたので、昨年度よりも向上心を持ってやったつもりです。生徒は1年しか僕の授業を受けないので、昨年度と今年度の比較というのは生徒はできないわけですが、何やら真剣な空気感というのを感じてくれたら良いなぁと思いながら、気を抜かずにやってきました。
本当はもうちょっと実習などで生徒が楽しめる授業をやりたかったなっていうのもありましたが、今年度はそこまで時間が取れませんでした。
授業を真剣にやろうとすればするほど、時間が足りないと思うものです。 学年末考査が終わった後の授業が、実は1時間しかないクラスがあります。そのクラスは、テストを返して解説をするだけで、きっと時間が過ぎてしまうでしょう。 それがちょっと、今から心残りです。
もっと教えたことがたくさんあるのに。まだまだ取りんで欲しいこと、考えて欲しいこと、たくさんあるのに。
話したいこと、取り組んで欲しいこと、考えて欲しいこと。時間が無限にあったら、それこそ無限に出てきます。それでも時間が限られているから、少ない時間の中で、何を伝えるべきかを考えてきました。
その一つの答えが、今回の学年末考査だったと僕は考えています。 まさに渾身の一撃のようなテストを作りました。
真剣に取り組んだからこそ、そこから見える景色がある
で、そのテストを実施した結果どうなったかというと、 一言で言えば平均点が、そりゃぁもう酷いものでした。
共通テストを意識した難易度の問題を出題したため、かつてない低さの平均点になってしまいました。自分がこれまで作ってきた数々の考査問題の中でも、こんなに平均点が低くなることは初めてです。
ただ、プログラミング的思考能力があるなと思った生徒の答案を見てみると、ちゃんと取れているんですよ。点数が。どの生徒の答案も、その生徒の日頃の授業での様子を見る限り、納得のいくものでした。
能力を数値化するという目的では、十分に達成できたと思います。中には点数が低いとばかり思っていた生徒が意外と健闘してくれた場面も見えました。
自分が考えうる、現時点での良い問題というのが作成できたと思う反面、今後の課題としてどうやったら生徒らの理解力を高められるのかという課題が残りました。
平均点が低かった原因を生徒の学力だと断定することもできてしまいますが、僕はまだまだ良い教え方や授業展開の方法があったんじゃないかって思ってしまいます。時間が足りなかったというのも言い訳染みています。 来年度は、もっとわかりやすく、生徒がもっと意欲的に取り組めるようなプログラミング教育にしたい。この想いを胸に、来年度は情報Ⅰを教えようと思います。
そうそう、あまり前面に出したくないのですが、僕が今回、勤務校で実施した「情報の科学」の学年末考査の問題用紙(PDF)をGoogleDriveで共有します。 魚住が作成した問題を解いてみたいという方は、下記リンクよりダウンロードして取り組んでみてください。
https://drive.google.com/file/d/1q-JG-jbntPJ6JXmcuPpP-_6kISHcsxNa/view?usp=sharing
newsletterのタイトル、アクセスが欲しいなら「魚住惇が作ったプログラミングのテストの問題用紙を公開します!」みたいな文言の方がクリック率が高そうな感じがします。でも敢えてそういうタイトルにはしませんでした。問題用紙を公開したものの、あまり見られたくないので笑。
今回のnewsletterは以上となります。 「いいね」を押していただけるとうれしいです。内容に関するご意見ご感想、特に情報の科学の学年末考査の問題についてご意見がありましたら、「#こだわりらいふ」をつけたツイートや、Substack内のコメントまでお願いします。